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「開校 100年 きたれ、バウハウス ー造形教育の基礎」展をみた

「開校 100年 きたれ、バウハウス ー造形教育の基礎」展が東京ステーションギャラリーで開催されていたので、密に気をつけて行ってきた

これがチラシである

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そもそもバウハウスとは

デザイン系やアート系の方は知っている人は多くないかもしれないが、アートとデザインの新境地を開いた造形学校である。

1919年、ドイツの古都ヴァイマールに、建築家ヴァルター・グロピウスにより造形学校「バウハウス」が開校されました。

わずか14年しか活動できなかったにも関わらず、造形の教育はその後のデザインやアートの学校でお手本とされるようになった。要するに、その時代ではとても先進的な学校だったのだ。 ちなみに私の母校である、九大芸術工学部は日本にバウハウスみたいな学校をつくるという目的で設立されたと授業で聞いた。

展示の内容について

残念ながら、この展示は一つの場所を除いて写真不可だったので言葉で説明していく。
まずは、このバウハウスのカリキュラムを見てほしい

4重丸のカリキュラムなのだ
中心に建築
2層目 鉄、ガラス、金属、石材,織物 色粘土
3層目 材料及び工具 自然研究 色彩理論 構成理論 布について
4層目基礎練習

となっている。言葉で説明しにくいので図を作った。

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(公式HPの1922年のバウハウスの教育カリキュラム図(「学校便覧」)をGoogle翻訳で日本語にしたもの)

是非公式のカリキュラム図と見比べてほしい。
これが展示の最初に紹介されている。この展示会に行くときは是非この図を頭に入れから見ると4倍くらい楽しめる。

意味としては、一番円の外側の基礎練習からはじめて、次に3層目の知識や技術を習得し、2層目で、それぞれの専門の工房で加工技術を習得し最終的に中心の建築ができるようになるというカリキュラムだ。

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カリキュラムはピラミッドみたいに描くのがいいのかなと思っていたが、丸の状態で定義されている意図はこの展示会を見終わったあとに鳥肌がたつくらいわかる。

前半:初等教育部門のフロア

前半のフロアでは主に、造形の授業、バランス、人間、デッサン、素材、加工、色彩、タイポグラフィ、観察の基礎練習の二年間の作品と授業の展示が行われていた。

なぜ2年間の初等教育が必要かというと、学生それぞれに同じ土台を作る必要があるからと書いてあった。

数ある展示の中から、特に印象に残ったものをあげていく。

紙による素材演習
この項目では、一枚の紙から、他の紙をくっつけること無く、切る、曲げるだけでどれくらいの表現を生み出せるかという授業だったようだ。作品自体がどんなものだったかというと、下記リンクの「紙による素材演習 アルバースの授業」を見てほしい

なぜ紙で、切る曲げるのみだったのかというと、紙は手に入れやすく安価で、制限の中で生み出す、無駄なことをしない、素材を使い切るという能力を発達させるためと書いてあった気がする(うろ覚え)

芸情の授業でいうと「基礎造形(平面)」に近く、一枚のケント紙をカッティングナイフを使って形を生み出していったな・・・とおもいだした。

モホイ=ナジ の バランスの習作

「バランスの習作」と呼ばれる実習は、様々な材料を組み合わせることでバランスの取れた構成を組み立てるという課題だった。ここでは空間構成とともに、強度、柔軟さ、弾力性など材料の特徴を把握して加工する力がもとめられた

これは、芸情の授業でいうと「基礎造形(立体)」に近く、驚いた。展示は木と、金属を組み合わせたものだった。

色の授業

後半:工房での教育&バウハウス展&バウハウスで学んだ4人の日本人フロア

後半は、基礎練習で培った知識をいかして、プロダクトの製作、舞台芸術、空間、織物、を学び、最後に建築にたどり着く流れだった。

基礎練習のところを見ていてこれが一体どういうプロダクト作成につながるんだ…と思ってたら、基礎練習の展示にあった要素を生かして、プロダクトを作っていることに気づいた。

椅子を作るにしても、
無駄なことはしない、バランスのとれたもの、鉄の加工の知識、人間の体の知識など、基礎練習で学んだことが組み合わさって作られていることがわかる。

工業製品をつくるプロダクト制作だって
無駄なことはしない、バランスが取れたもの、ガラスの知識、人間の体の構造の知識、これも基礎練習で学んだことが組み合わされている。

カリキュラム自体が全て繋がってる…デザインされている
カリキュラムを円で表現してたのはこういうことだったんだ…と気づいた

見に行く際は是非、カリキュラムをじっくり見て、この基礎練習の授業は、次のフロアのここで生かされているということを発見するとかなり面白いので、基礎練習のフロアをじっくりとみてほしい。

まとめ

これまでバウハウスでの具体的な教育がどんなものかを知らなかった。今回の展示で、カリキュラムの内容が取り入れられているのをみて、たしかに源流にだったんだなということがわかった。

九大芸術工学部は印刷施設も撮影施設も舞台実験場も金属木工焼き物工房もあるし、音響も環境の実験場も住まいと建築の実験場もあって本当に充実していた。バウハウスを目指していたのだ。

もっと工房と、他学科の授業使い倒せば良かったな・・・
授業も造形や色彩や制作やったけど、この展示見る感じ全然時間数足りなかった。もっと自分で作って先生に見せて指導して貰えば良かったなと今更の後悔をした。

また、何にしても基礎練習大事ということがわかった。

先人たちの道筋をみて、私もがんばっていきたい。


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