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Blenderで360度アニメーションを作りたかった話〜私の青学VRラボ最終回〜

 こんにちは。あっという間に大学生活3年目が終了しようとしています。
総合文化政策学部の通称”青学VRラボ”に入ってからは2年。最後にトライしたい制作物は何だろう?と考えて、今年の頭にやってみたいこととして挙げていた、Blenderを使った360度アニメーションの制作をしてみました。

完成したものがこちら

 中身はとてもシンプル……何故そうせざるを得なかったかは後述。降る雪と飛んでくる綿……簡素なものですが少し考えてみたかったことが360度空間での視線誘導です。
 ただ技術として360度にできるから……ということで作品を360度にしたところで意味のあるものにはなりません。大抵周囲の人に「360度動画ってどう思う?」と尋ねると「面白いけどどこ見たらいいかよくわからない」と返答されることが多いです。
 バーチャルな空間で制約なくインスタレーションが行えるというのがVR作品を作ることの意義の一つではあると思うのですが、動画という媒体でVRに触れる人の多くはもっと領域の狭い、自分の手元だけで作品を楽しむものだと思います。そこで、わざわざぐるりと辺りを見渡さなくても、手元で少しの角度の変化だけで空間的な「体験」ができるものにしたいと考えたのが作品づくりの取っ掛かりでした。

視線誘導のアイテム

 では人の視線を動かす時にどうすればいいか。とりあえず難しく考えすぎずシンプルに案内表示をしてみよう!ということで作ったのが謎のロボットのような何かです。

 マテリアルとかでデジタル表示みたいにすることもできましたが、アナログっぽく面が回転することで画面が切り替わる感じにしました。個人的な趣味です。

制作手順はこんな感じ↓

面の表と裏で色を変えるのはこちらのツイートを参考にさせて頂きました↓

 これに従って上空を見上げたり横を見たり……ということを試したかったのですが、動画を30秒程にしたためやや時間が足りず……上を見てるうちに綿を見逃してしまうというフィードバックを頂いたので反省です。上から下に視線を戻す仕組みも必要だったかも。

Blenderで360度動画を書き出す

 さて、駄々を捏ねたのはここから先の話。360度動画を作る上で問題なのが圧倒的にマシンパワー。

レンダリング設定についてはこちらのサイトを参照させて頂きました。↓

 現状、Blenderでパノラマの設定をするにはレンダーエンジンをCyclesにする必要があります。これがまたあまりにも重たい。

 実は当初は違うプロットを用意していたのですが……あまりにも重すぎて断念しました。列車の内装を作って中にカメラを置こうとしていました。変更して完成品のようになるべくシンプルにオブジェクトだけ配置することに。
 背景を星空にするのにはこちらのサイトを参照しました。↓


 それから一応Eeveeのエンジンを使う方法もあるようです。下記サイトを参考に。

 これをフルで書き出すにはうちのMacじゃ無理!ということで……総合文化政策学部の施設「アスタジオ」にてグラフィックボードが強めのPCをレンダリングのためにお借りすることに。これで書き出しができる!やった〜!
 ……書き出しに3日かかりました。当然画質を下げれば速くなるのですがどうしても見るに耐える画質で書き出したい……!と駄々を捏ねたらこうなりました。3日もPCを占拠してすみません。卒論作業をしていた顔も知らぬ先輩に申し訳なかったです……

 それでもやや画質が微妙で……と言っていたところで宮田先生に「良ければうちのPCで試してみますか?」とありがたく声をかけて頂いたのでお願いしました。
 ……3時間10分で終わりました。そんなに差出る!?とひっくり返ってしまいました。強いPC、欲しい……
 本当はBGMもつけたかったのですが作業とレンダリングを別のPCでやったら音声ファイルがすっこ抜けました。これも反省…… 

制作体験を通して

 2年間青学VRラボで様々な技術に触れ、デジタルカルチャーに対する視野が広がりました。今回の360度動画もそうですが、凄そうに見えるものも実際に作ってみると見た目よりも簡単に手が伸ばせることに驚く部分が多かったです。ソフトやツール、参照できるインターネットソースが無限に出てくるので、「これをやってみたい」と思ったら、そのために必要な手順をプログラミングのように分割して書き起こして、それを一つ一つ調べて試せば作れてしまうわけです。例えば多くの人が憧れるキャラクターの3Dモデルも、去年正式にリリースされたVRoidを用いれば、ある程度のものは本当に誰でも簡単に作ることができます。
 
 デジタルカルチャーを実践する上で、普遍的に誰もが使える技術が発達してきた今、「それを使って何を作るか」という発想力の方がクリエイターには必要であると、実際に簡単な制作体験をして私は感じました。しかしもちろん、作る過程自体を楽しんで作りたいものを作る、ということも同じくらい大切なことだと思っています。

 遠いものに感じていた技術が一気に身近に感じた、そんな青学VRラボ生活でした。私自身創作活動をすることが好きで、自分の表現したいものを表現するために使えるツールがまだこんなにたくさん、それも思っていたより身近で手に入るということを知り、今後も余暇のある限り、まだまだ色んなことを試してみたいという気持ちになりました。作るところまでいかなくても、技術を知って「こんな使い方ができそう」とアイデアを出してみることも、自分の視野の広がりに繋がっているような気がしてワクワクします。
 実際に手を動かしてみないと分からないことも多くある。トライ&エラーの心意気とその楽しさは他の様々なことにも通じると思います。体験をして、その上で得た感覚も大事にしながら文化を考える視点を持ちたいです。

 そして何より、今年は去年よりも多くのラボ生と活動を共にし、良い刺激を得ることができました。ありがとうございました!

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