«Le Petit Prince» をよむ 2
(まえのページ)
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さて、はじめに決めたルールのその1(なるべく週に1文はよむ)をあっさりとやぶってしまったわけだが、ともかくやっていく。きょうは献辞だ。
献辞のもつ魅力は筆舌につくしがたい。白いページに小さな文字でごくかんたんに綴られたものがとくにすきだ。本をだす予定など人生のなかにあるはずもないが、もしもその機会をえたならばわたしはどんな献辞をつけるだろう。
(献辞がすきな方は、はくる(@silonica)さんの「献辞収集」をぜひみてみてほしい。)
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逐語をみていく
*イタリックをボールドで表記する
この作品の献辞は有名だけど、訳は意外にゆれている。とくに最後の()のところに解釈のちがいがでるらしい。あたまからみていく。
À Léon Werth.
もうこれだけでちょっと胸にくるものがある。だいじなところだ。À は「対象」でいいね。
Je demande pardon aux enfants d'avoir dédié ce livre à une grande personne.
avoir は複合時制をつくる……。このレベルから思いださなくては。
demander pardon à … はひとまとまりとして、つぎの de はなんだろう。《(不定詞とともに)意味上の主語》かな? “献呈したことを~” としたいから、これでいいようなきがする。
J'ai une excuse sérieuse : cette grande personne est le meilleur ami que j'ai au monde.
この une excuse にはわずかなひっかかりをおぼえる。なぜ une raison ではないのだろう。かたいからちがうのかな~。あとはまえの文との関係だとおもうけど。「自然な」日本語として後者の訳をつかいたくなってしまうが、ぐっとこらえる。
つぎも、なぜ il ではなく cette grande personne なのだろう。わざわざくりかえすなんて。しかもこのあともずっとそうだ。おとなであることがだいじということ?
au monde は “世界で” “この世で” の意の成句。j'ai とのあいだに省略されているのは……ふつうにかんがえれば直前の名詞? でもそれなら le meilleur ami au monde でよさそうなきもするけど……。辞書には《tout, rien, aucun, personne, seul, unique などを強調する》とある。meilleur や ami には直接かからないのだろうか。おなじような語にみえるけどな。que までで「最良の友」なのはいいとして、関係詞で修飾することでどんなちがいがあるのかがわからない。ここは保留にしよう。献辞をさいごまでみたらわかることもあるかもしれない。
私訳をこころみる
レオン・ウェルトに
この本をひとりのおとなにささげたことを子どもたちにはゆるしてほしい。これにはちゃんとした言いわけがあって、そのおとなはぼくの世界でいちばんの友だちなのだ。
きょうはここまで。これは時間がかかるな~。でも、もう意味がとれている箇所のことをこんなにじっくり考えるなんてふつうはしない。ぜいたくな時間だ。たぶん第二言語の取得の方法としては適当ではないとおもうけど、わたしはこの作品をしりたいのであって、フランス語が読めるようになりたいのでも、まして話せるようになりたいのでもない。
いそぐ旅じゃない、のんびりいこう。
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(つぎのページ)
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