見出し画像

いなくなるって、そういうこと。


父が亡くなって、3ヶ月が経った。突然の出来事で、死に目には会えなかったけれど、通夜や葬儀を通して、しっかり見送ることができたので、悔いはない。

とは言うものの、最初の頃は後悔ばかりが頭に浮かんでは消えてを繰り返した。

孫の顔を見せてあげたかったな。もう一度、家に帰してあげて、たらふくビールを飲んで、タバコを吸ってもらいたかったな。

そうして、気づくと涙を流している。そんな日々が続いた。

でも日にちが経つにつれ、そういうことはなくなり、普通の毎日を過ごすようになった。

思い出さないわけではなく、死を受け入れたという感覚。今日は月命日だと思ったり、お父さん昔こう言ってたよね〜と妹と話したり。そういうのが当たり前になった。

でも、最近また父がいなくなったことを実感する出来事があった。父の日だ。

日にちが近づき、テレビとか雑誌とかで特集が組まれるようになると、ふと寂しい気持ちが湧き上がった。

そうか、もう今年は父の日を直接は祝えないのか。毎年、母や妹と何を渡すか相談して、シャツやネクタイなどを手紙と一緒にプレゼントしていた父の日。

そんなに高価なものは渡せなかったけど、ありがとう、と言って喜んでくれていたことを思い出す。

でもこれからは、そういうことはもうできないんだ。そう思うと、父がこの世からいなくなったということを改めて実感した。

今まで当たり前にやっていたことが、突然できなくなってしまうこと。それがいなくなるってことなのかな。

もう直接は渡せないけれど。でも今年はお墓の前で何を渡そうか。喜んでくれる笑顔を思い浮かべながら、今年の父の日のプレゼントを考える。