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左利きに憧れて。


「あれ?もしかして左利きなの?」

そう聞かれることがよくある。いや、左利きではないんだけれど。

多分、腕時計を右手につける癖があるからだろう。今まで何回か左利きと間違われた。

でも、いつもそう聞かれるたびに実はちょっぴり嬉しかった。なんだか特別な感じがしたから。

そう、私は特別な人になりたかったのだ。

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私は昔から目立つことが苦手で、できれば皆の中に紛れて生きていきたいと思ってきた。

でもその反面、心のどこかで特別でありたい、という思いも持っていた。

だからか時折、委員会とか部活動で委員長や部長を務めたり、論文大会とかで代表になったりしていた。なんとも裏腹な思いを持っていたものだ。

特別な自分、個性がある自分に憧れていた。だから、ちょっぴり特別な左利きにも憧れを持っていたんだと思う。

左利きの人からは、改札を通る時とか、ハサミで切る時とか、不便だよと聞くけれど。でもやっぱり羨ましいと思ってしまう自分がいる。

今は、個性は誰にでもあると気づいたし、特別になりたいという思いも前よりは感じなくなった。でも久々に左利き?って聞かれて、小さい頃に抱いていた思いがふとよみがえってきた。

さて、たまには左利きの練習でもしてみようか。