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世界はこんなに美しい。


この前、久しぶりにバスに乗って、まちなかへ出かけた。

家から最寄りの駅までは約30分。バスに乗っている間は、自由な時間だ。音楽を聴いても、寝ても、本を読んだっていい。誰にも邪魔されない、自分だけの時間。

今日は風景を眺めよう、と思った。普段車で走ることが多いと、こんな贅沢な時間はなかなか訪れない。

席に座って窓の外に目をやると、春が近いからか、明るい日差しに、澄んだ薄青い空が見えた。なんて穏やかな日なんだろう、と思う。

好きな音楽を聴きながら、ゆっくりと風景を眺めていると、見慣れた景色もなんだか違って見えてくる。

窓枠をフレームにして、流れてくる景色を目に収めれば、まるで写真を撮っているようだった。まばたきをするたびに、シャッターを切っていく。

柔らかな光に包まれた、淡くて、儚い風景たち。おしゃれな西洋風の建物、古びた看板、遠くの田園風景。すべてが美しく見えた。

少し視点を変えれば、日常はこんなにも美しいのかと驚く。まるで異国を旅したかのような気分になった。

気がつけば終点。あっという間の30分だった。

今度は、あてもないバスの旅でもしてみようか。きっと、新しい世界がみえてくる。