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すき間家具に日本の建築を思う

すき間家具。
冷蔵庫と壁の間の、わずかな幅に収まる調味料棚(車輪付きで出し入れラクラク!)。
洗濯機の上の空間に、引っ張り棒で固定した棚(高さの調整自由自在!)。
日本って、わずかな空間も見逃さず、収納利用することが得意だ。

これは日本の建築にも通じると思う。狭小住宅や、細長いビルディング。
見た目は良くない。すき間家具も、狭小建築も、美観はその主眼ではありません。目的は、容積率の最大利用。どんなすき間も逃さない。

バカにしてはいけません。世界中で、大都市の人口が増加トレンドにある昨今、住宅難が大きな問題になっています。分譲や賃貸などの住居費が大幅に値上がりし、庶民が苦しい思いをしている。若者がいつまでも実家から出られない。もしくはずっとシェアハウス住まい。高騰する家賃を払えずに、普通に働いている人がホームレスになるケースも見られる。

翻って日本では、住宅難なんて聞いたことがありません。もちろん不動産が高騰している地域はありますが、場所を選べばリーズナブルな物件を見つけるのはそう難しくありません。

これは、誇っていいのではないでしょうか。ヨーロッパやアメリカの大都市が、美観に重きを置くあまり、住宅開発がなかなか進まない状況がある中、日本の大都市では、どんどんすき間利用的な住宅供給がなされている。

それに気づいたとき、日本の街や建築の一見美しくないところも、温かい目で見られるようになりました。

東京は、一面灰色。底知れない不思議な魅力。

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