読書の秋から読書の冬へ
肌寒くなってきた頃から、私は10冊以上の本を読んだ。これは今までの私の人生の中で(16年しか生きてないけど。)「最も短い期間で最もたくさん」の記録に残るだろう。
前々から吉本ばななさんの書く本は感動するだの、泣けるだの、いろいろ聞いていたので、読んでみたいと思っていた。今年の冬に、と編んでいたマフラーも、いいところまでできたし、肩もこりぎみだったので、本を読むには、ちょうど良い機会だった。
私は学校の帰りみち、ぷらっと近所の古本屋に寄った。そこは最近できたばかりの小さな古本屋で、キレイで入りやすい感じだ。
たくさんある本の中で、吉本ばななさんの本が五、六冊きちんと並んでいた。聞いたことのある題名の「つぐみ」や「N・P」もあったのだが、私はなぜか「アムリタ」という本を手にとっていた。今思えば、友人の勧めていた本もあったのに、初めてみる「アムリタ」を買ったのは、ある種の私と”何か”の出会いだったのかもしれない。
その夜から、ゆっくりじっくり読み始めた。今まで読んだことのない不思議な気持ちになる本だった。そして、今までの自分の考え方や、物の見方を変えた。
それから毎日、家でネコとこたつにもぐり、本を読むというのが私の生活の中にしみこんでいった。
本を読み始めてから、時間がゆっくりと流れているような、毎日充実しているような気がする。読書の秋から読書の冬へと移り変わろうとしているが、読書の春とまでなるかは自分でも分からない。でも今は、このおばあちゃんのようなほのぼのとした時間が、とても心地良く、気に入っている。