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好きなことリスト100

気がつく時というのは突然やって来るもので、そしてそれは不意に訪れ、しかもなかなかに重要な事項だったりするものである。

仕事に向かう途中の電車の中で気がついたのは、人生の時間配分を好きなことを考えている時間だけにしても、そもそも根本的に時間が全く足り無いのではないかということ。
つまり嫌いなことを考えている余裕なんて無いのではないだろうかという話。

私は好きなことや楽しいことを考えるのだけで忙しい、はずである。

はずである、というのはやはり、時々は嫌なことで心が支配されそうになる時もあるからなのだが、気がついたからにはもう出来る限りそんな時間の無駄遣いはやめようと思った。

手始めに仕事から帰ったら「好きなこと100個を書き出してみる」というのをやってみると電車の中で決める。参考までにと検索すると同じように考える人も多くいるようで、好きなこと100個を挙げてみるのはそれほど珍しい行動ではないようだ。

さて、とはいえ100個というのは少ない数ではないだろう。
やはりネット上の投稿を見ると、何個か挙げてみたけれどなかなか100まで辿り着かなかったという話が多くみられる。

私もきっとそうだろうなと思いながらも、ひとまずやってみることにしたのだが
これがどうしたことか。
じゃんじゃん出てきてしまうのだ。
50個を過ぎたあたりで、残り半分しかないと思い、項目を慎重にセレクトするようになった。
あれもいいし、これもいいけれど、厳選しなければならない100に入れる価値はあるのかどうかという目線で50個以降進んでいく。

90個目まで到達してしまうとあと10個しかリストに入れられないと焦り、吟味に吟味を重ねる私は、書き終えてみれば、なんともわかりやすいことで、食べ物に関する項目がほぼ無い。
本当に生まれ付き、食というものに全く根本的に興味がない生命体として生まれてきたのだなと改めて実感する。
仕方あるまい。それはそうである、いくら一般的に必要不可欠で重要な項目であると言われているジャンルであっても、私の厳選された100項目の中に興味がないものなんて入れている余地はない。

以下に私の「100の好きなこと・もの」を書き留めておく。
極めて自己中心的に書き出したリストだ。
私の究極のわがままが詰まった珠玉の100選。
お暇な方は以下お付き合いください。

私の好きなもの・こと

1・てつ(夫)
2・ウイリアム(犬)
3・綺麗なお風呂
4・綺麗なトイレ
5・綺麗なキッチン
6・使いやすい洗濯機
7・綺麗な川
8・飲みやすい水
9・浴びられる滝
10・澄んだ神社
11・穏やかな湖
13・秋
14・冬
15・月
16・星
17・日の出の頃の空
18・鉱物
19・岩や石
20・レンガ
20・石畳の道
21・岩場の北方の海岸
22・水深18m
23・笹の葉の小舟
24・真夜中の雪原
25・歩ける程度の軽い吹雪
26・紅葉の山を下から眺める
27・偶然見かける鹿
28・花の種
29・書店
30・図書館
31・美術館
32・ゴッホの1889年から1890年の作品
33・ピカソのゲルニカ
34・長谷川等伯の松林図屏風
35・家で気兼ねなく大量に飲むお茶
36・整えられた爪
37・紫外線を避けながら水風呂に浸かる
38・モスグリーン
39・花束
40・白
41・保冷剤を体に当てる
42・エアコン
43・扇風機
44・Tevaのベージュサンダル
45・外気温18度
46・小さな丸いサボテン
47・タネタネちゃんが作ってくれた結婚指輪
48・山桜
49・鏡
50・清潔な玄関
51・冬の晴れた昼間に外を歩く
52・湯冷め
53・ロング丈ワンピース
54・ロングスカート
55・カーディガン
56・コーヒーの手煎りガス焙煎
57・長く使えて汎用性の高いカバン
58・作家手作りの食器
59・鎌倉
60・冬の江ノ島
61・白いカーテン
62・屋根裏部屋
63・黒いフラットバレエシューズ
64・シンギングボウル
65・白いシャツ
66・キャンドル
67・恐竜の骨
68・木の枝
69・紙
70・水彩絵の具
71・石のお城
72・睡眠
73・読書
74・コットンのエコバック
75・文章にすること
76・ピカピカに掃除された窓
77・土星
78・背骨
79・ソープナッツ
80・アレッポの石鹸
81・掃除機
82・文字
83・ブレスレット
84・木のしゃもじ
85・金属のティースプーン
86・ガラス
87・粉末洗剤
88・風速5メートル
89・針と糸
90・早寝早起き
91・ゴミ捨て
92・明るい照明
93・綿棒
94・夜の鶴岡八幡宮と段葛
95・空いている新幹線
96・冬の浜辺
97・自然の中で泳いでいる魚
98・秋に温かいペパーミントティーをタンブラーに入れて出かける
99・真冬の朝の仕事の前にカフェで豆乳カプチーノを飲む
100・年末年始やその他連休や記念日を家族だけで家で過ごす

食べ物に興味がないのに食器やスプーンには興味があるという謎が展開され、おそらくまだ挙げていいよとなればまだ出てきそうな予感もあり、しかしここはキリがないし、100しか挙げられないけどどれにしますかと考えることも重要だったようにも思うので、ひとまずこれで収めようと思う。

自分のためだけに書き出したリストなので、他の人から見ればなんだこれはという内容のものもあるかと思う。

例えば22番の水深18メートル。
これは昔撮影でダイビングの仕事をしていたときに感じた心地よい、深過ぎず寒過ぎず、水面にも近過ぎず、私にとっては純粋に楽しみやすい海中での水深だった。ここから先の深さへの潜水は特殊なトレーニング中のことが多くて、面白い景色も経験もたくさんあったが、やはりしんどいことがたくさん思い起こされる深度になってくるし、一般論として考えてみても、安全面的視点からも楽しいと言える深度と考えると、この辺にしておこうかという水深18メートルなのである。

他には23番の笹の葉の小舟。
小さい頃に世界遺産になる前の白神山地の近くの川で家族で遊んでいたときに、よく笹の葉の両端を切って重ねて作る小舟を作った。砂利が続く川原から笹舟を流して遊んだ思い出は心地よく残っている。今でもそんなことができる場所はあるのだろうか。

25番の歩ける程度の軽い吹雪は、やっぱり童心にかえるとニヤニヤとしてしまうもので、キャーだのワーだの冷たい寒いと言いながらもゲラゲラと笑いながら歩いていた思い出があるのだ。軽くない吹雪はもちろん泣きそうになるものだけれど、ちょっとだけ吹き付けられるような風雪の日は、実は好きである。

45番の外気温18度。あるとき自分がどれくらいの気温ならばストレスなく存在できるのだろうかと、心地よいと感じる日の気温を調べていたことがあった。
結果20度を超えたらダメで、18度くらいが暑くも寒くもなく、薄手の長袖を着て長く歩けて、生きててよかったなと切実に感じられる気温であることが判明した。特に秋の18度は本当に素晴らしい。

53番と54番、ロング丈ワンピースとロングスカート。私はパンツスタイルを滅多にしない。それは似合う似合わないの問題ではなく、純粋に心の底からパンツスタイルが嫌いなんだと気がついたからだ。どうしても仕方がなく用途があって履く場合もあるのだが、限られた時間を好きじゃない服を着て過ごす暇なんてないのであると思い、デニムのパンツもカーゴパンツもチノパンもショーパンも全て古着屋さんに売払い、大きく広がるロングスカートや裾がひらひら動くワンピースだけでなるべく過ごすようにしたら、まあ大変心地よい。家事も全てロングスカートで全く問題ない。現状パンツスタイルが登場するのは引っ越し作業と、ヨガや気功のクラスレッスンに出るときくらいだろうか。

77番の土星。惑星も星も銀河も全て好きなのだけれど、全部あげていくと100個の項目がどんどん減ってしまうと思い、断腸の思いで絞り込んだ結果、土星が残った。
やっぱりあの特徴的な形は、インパクトがあるものだし、あれがデザインではなくてナチュラルに成立している形態なのだと思うと不思議でたまらなく魅力的だし、何度見ても美しいと思う。

88番の風速5メートル。体感として3メートルだと涼しくならないし、7メートルの風だとそろそろ台風が近づいてますかというような、早く帰りましょうと思うような強風すぎるようにも思うし、間をとって5メートルくらいが、しっかり風が吹いているのを感じられて色々祓い流してくれそうで気持ちがいいなあと思えるかなという結論。まあこれは海岸にいるか住宅街にいるかによっても感じ方は違うかもしれないのだけれど。ビーチなら2メートルくらいでいいかな。砂が当たって痛いからね。

95番の空いている新幹線。コロナ禍の出張はガラガラの新幹線で今思い出しても素晴らしく快適だった。いつまでもあんな状態では経営難になってしまうから困るのだけれど、あのいつ乗ってもガラ空きの新幹線日帰り出張は、ラグジュアリーな経験だった。

100番は当たり前のこと過ぎてここに入れるか迷ったのだが、大切なことだと思ったのであえて最後の1項目に当ててみた。年末年始にどこかへ行かねばならないことの辛さを幼い頃より痛感して来たので、結婚したら絶対に夫と共に自宅に引き篭もるか、夫と2人だけでどこかにのんびり予定を詰め過ぎずに出かけるかという、極めてプライベートな時間を作ろうと決めていた。長期休暇は謎の親戚と顔を合わせて心身ともに疲弊するためにあるのではなく、心底休むためにあるのである。これだけは譲れない。

と目立ったところだけ解説してみたのだが、見返してみれば、自分のことながらなかなかの変人かもしれないなと改めて思ったのであった。
仕方がない、正直にわがままにリストを作ったらこうなってしまったのである。
だって「好きなことリスト」で空気読んで良い子のフリしても意味がないからね。

さて自分を俯瞰するためのリストでもあるこの100項目。
じっと眺めていたら何か見えてくるだろうか。

たまに見返して考えてみよう。

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