PINK HOUSEよ永遠なれ❤︎

 PINK HOUSE生誕50周年おめでとうございます。私がPINK HOUSEと出会ったのは1982年。PINK HOUSEが誕生して10年の時だったのですね。その頃私は20歳前で、地方からファッションというものを全く知らないまま、東京の大学にやってきました。大学のキャンパス内は当時大人気だった『JJ』というファッション雑誌に出ている、ハマトラ、ニュートラというスタイルの人が多かったです。それもそのはず、そういうトラッド服を着た人が出てくる『なんとなくクリスタル』という小説がヒットした頃で、私の通う大学はその小説の舞台だったのです。そして私はそのトラッドスタイルが全然好きではなくて、かといってトラッド以外に着たい服があるか、というとなかったんです。

 が、ある日運命の出会いが訪れました。キャンパスのなかで、一度だけとても可愛い服を着ている学生とすれ違いました。揺れるロングのプリントワンピースに、髪は刈り上げ(テクノ時代だったので)。その後学内の購買部で立ち読みした雑誌『non-no』で、1枚だけ思わずページをめくる手が止まる服が掲載されていて、そこでかつて見た刈り上げの学生が着ていた服と同じブランドのもので、PINK HOUSEという名前だということを知りました。私は20歳にして初めて「この服、素敵だなあ」と思える服と出会ったのです。

 大学を卒業し就職して、お給料をもらうようになってから、東京の生活の楽しさも知るようになり、着てみたい服もいろいろみつかるようになっていきました。当時「DCブランド」と呼ばれ始めた服を、渋谷PARCOやマルイで買っていましたし、毎週雑誌『anan』を買って読み、モデルの甲田益也子さん、くればやし美子さんなどが着るPINK HOUSEにはこと憧れを募らせるようになりました。最初に手に入れたPINK HOUSEは、テリア犬のプリントがついたスカートで、ベルビー赤坂で購入しました。

 服はどんどん増えていって、PINK HOUSEを着て、当時勤めていた雑誌『ザ・テレビジョン』編集部にも通いましたし、その姿のまま、今となっては伝説の、新宿のディスコ、ツバキハウスのロンドンナイトにも通っていました。私の青春時代はPINK HOUSEと共にありました。死んで棺桶に入るときはPINK HOUSEを着させてもらおうかな、と思っていたほど……。

 その後はいろんな服を着るようになっていましたが、2015年頃になって、またPINK HOUSEとの出会いがありました。私はずっと雑誌編集が仕事で、この頃PINK HOUSE CHELSEA(PINK HOUSEの妹ブランド)が誕生したことを知り、ぜひ私が作るファッション雑誌『ETERNITA』に掲載させていただきたいと思ったのです。この時CHELSEAの広告写真に関わったヘアメイクさんがいつも私と一緒に仕事する方だったこともあり、ご紹介をいただいてプレスご担当さんに直接お会いしに行きました。そしてCHELSEAとPINK HOUSEをどちらもブランド紹介させていただけることになったのです(その時の喜びたるや……!)。

 それから折に触れ雑誌掲載のためPINK HOUSEをお借りするようになり、私個人はINGEBORGも着るようになりました。当時立川ユリさんが着るINGEBORGは20歳の頃の私にはちょっと大人っぽすぎたけれど、今の私にはすごくちょうど良くて、年をとることによって「似合う服がない」「着たい服もない」と思い始めていた私に、救い主的な存在の服だということも実感しました。

 フリルやレースに、過剰すぎない甘さと上品さを重ね合わせた、まさに、尊ぶべき「大人の女に息づく、少女性」を讃えた服。ヴィンテージ物も手に入れて着るようになりましたが、その写真と、この愛してやまない服への気持ちをTwitterで投稿したらバズったことも度々です。コンビニや雑貨屋さんで働く二十代のお洒落な店員さんからも「どこの服ですか?」と聞かれることも。

 そしてとても嬉しかったのが、2021年からスタートしたPINK HOUSE×misako&erinkoの登場でした! 青木美沙子ちゃんは高校生の時に、私が創刊編集長をつとめた雑誌『ケラ!』からデビューしてもらい、その後20年もの間、『Gothic&Lolita Bible』ほか原宿系ファッション雑誌を出版するたびに出演をお願いしたモデルさんだったからです。

 私が人生で最も憧れて心血まで注いだブランドさんに、およそ40年後、自分がこれまた心血を注いで作った雑誌のトップモデルが深く関わっているだなんて、と……。PINK HOUSEが生涯一番のブランドで、かつ雑誌編集者である私は、二つを重ねたゴールに立っている気さえしました(笑)。

 仕事を通じて、アパレルのデザイナーさん、芸能人などと知り合い、PINK HOUSEに熱狂していた人が多いことも知りました。今日もこれからそのひとりと、PINK HOUSE合わせをして、銀座のSalon de thé Laduréeにお茶をしにいく約束をしているところです! PINK HOUSE forever! この本を手に取っていらっしゃる方も、きっとそう思っていらっしゃいますよね?

※こちらは「ピンクハウス50th絵本」に寄稿した文のオリジナルバージョンです

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