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新米
新米が出回る季節になりましたね。
透き通って艶やかな色合いで、噛むとほのかな甘みと上品な香りが口の中に漂う。
「秋は新米の季節」と言われておりますが、梅雨の時期の雨を吸い取り、夏の太陽を浴びて、涼しゅうなった頃に収穫される。自然の恵みですね。
ところで美味しいお米の産地は?と尋ねられたらなんと答えますか? 新潟県や山形県を思い浮かべる方が多いのでは?
いえ!その地方だけやおへんえ。
京都の北部、丹後のコシヒカリも最近は「特A」を幾度も頂戴し、京都市内の料理屋では地元丹後のお米を扱うお店が多くなっているんですよ。
新米の季節になると、料理屋で育った私には別な思い出があります。
私の小さいころの朝ごはんは「冷やご飯」が当たり前。
前日の夜、お客様に用意したご飯が残ってそのご飯を翌日の朝に食べます。
「炊きたて」のご飯が食べられるのは、用意したご飯が残らなかった日だけ。幼心に「忙しかったんやな」「良かったな」とおもたもんどす。
でもね…
新米の季節だけは別なんです。
朝から炊きたてのご飯を食べさせてもろたんです。
朝、ご飯が炊ける匂いで目が覚めます。
釜からもうもうと湯気が立ち上がって、蓋を開けたら白いネバネバが衣のように立ち上がる、むかしはそれをお櫃(おひつ)に移していただきました。
美味しいもんを美味しいときに食べ、味を覚えさせてくれたんですね。
「新米はおかずがいらん」「米だけで食べられるの」。
祖母と母の台詞です。
新米の季節になると思い出す、二人の口癖と美味しそうに食べていた笑顔です。
#京都 #料理屋#女将#新米
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