歌うことば〜作詞ワークショップ②
第二回 あなたの好きな歌 7月30日(金)
第一回の講座の終わりに、次回は自分の好きな歌詞を持ってくるよう宿題を出しておいた。A4の紙に手書きでもコピーでもいいので、好きな歌詞を写して来てもらう。そのアーティストの歌声や、演奏や、メロディさえも忘れて、歌詞だけに注目してもらいたい。簡単な宿題を出したつもりだったが、結構悩んだ人もあった。普段歌詞のことをあまり考えずに歌を聞いているという人もいて、いざ歌詞をと言われて戸惑ったようだ。好きだと思っていた歌の歌詞をあらためて文字だけで読んで、こんな歌だったのかと驚いたという人もいた。
中島みゆき、斉藤和義、忌野清志郎、高田渡、あがた森魚、宇多田ヒカルなど、それぞれがばらばらに持ち寄ったものを、スクリーンに映し出してみなで鑑賞した。知っている歌もあれば知らないものもあった。それぞれ、なぜそれが好きなのかということも合わせて語ってもらうと、さっきまであんなに、自分を曝け出すのを恐れていた人たちがかなりつっこんだ話をしてくれて興味深かった。好きな歌(歌詞)というのは、その人の内面に強く結びついているのだな。
あ、そうそう。「禁じ手ですが」と言ってわたしの歌の歌詞を持ってきてくれた人もいた。錚々たる作家に並べてもらえて感謝です。その人が持ってきたのは「のこされし者のうた」だった。この歌詞、その方にとって衝撃だったという。その衝撃は衝撃でも、うまく書けていての衝撃とかじゃないんです、これが。歌詞はこうだ。
夜空の星も 朝の霧も
みんなみんなあげるから
ああわたしを置いてゆかないで
その人の言い分がおもしろい。
「自分のものでもないのに、人にあげるだなんて、そんなことを詩では言ってもいいだなと衝撃を受けました」
全員で大爆笑でした。わははは。確かにそうですね。でも例えですから。自由ですから。そしてそれが詞じゃないかな。Fly me to the moon だってそうでしょう?おもしろすぎて、わたしはなぜだかとっても嬉しくなって、帰り道はずっと「自分のものでもないのに」という言葉が頭の中でリフレインしていた。歌詞の鑑賞会はとても盛り上がった。
この日はまた、シンガーソングライターの多久和千絵さんにも話を聞いた。彼女はわたしと同じ、ピアノの弾き語りさん。どんな時に歌詞を書いているのかの質問に、水のあるところにいると詩が浮かぶと答えた。人との出会いでと言っていた奥田さやかさんとはまた違った視点だね。ちなみに、千絵さんは詞先なんだそうだ。もしかしたら、シンガーソングライターの場合の歌詞が先か曲が先かの問題は、楽器とも関係があるのかもしれないな。
多久和千絵さんと。
第三回 作ってみよう③テーマを決めて 8月6日(金)
この講座では2曲作ってもらう予定だ。まずは強制的にテーマを決める。「恋愛」とか、「家族」とか、いくつかの言葉をわたしが提示して、それを選んでもらおうとばくぜんと考えていたのだが、いざ言葉をカードに書き出すと楽しくなって止まらなくなった。そうだ、どうせなら人数分作って、くじびきしてもらっちゃおう。夜中に一人そんなことを考えてにやにやする。みんなびっくりするだろうなあ。うふふ。
この日はマリノも参加する。ミュージシャンの数は多い方がいいかなと思い誘ってみたのだ。彼女が引いたカードは「珈琲」だった。初回からずっとコーヒーを提供してくれているIMAGINE.COFFEEさんにちなんで。さてどんな歌ができるだろう。
ちょっとのぞいてみたら、「深入り(深煎り)しないでわたしに」と珈琲の豆目線(笑)の歌詞を書いていた。なんて斬新なんだろう。
シンガーソングライターの奥田さやかさんは「動物」というカードを引いて、彼女が以前税関で一緒に仕事をしていた麻薬探知犬・マーカーのことを歌にしていた。なんか、すごい。そんな歌、誰にも書けないです。
注:「マーカー」という歌、後日メロディがついて、わたしの配信ライブのゲストで来たときに披露してくれた。11月14日まで見ることができるので、ごらんください。
書き終えたらお隣さんや、前の人と交換して感想を話し合ってもらった。みんなわーわー楽しそう。テーマカードは人数分より多く作っていたようで、ちょうど1枚余った。よっしゃ、その余ったカードの言葉を使ってわたしも書いてみよう。。。
そのカードには「命」と書いてあった。ぁー。命ねえ。ぅぅ。命のポーズではだめですか、だめですよね。(歌うことば〜作詞ワークショップ③に続く)
一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。