沖縄三島ツアーのこと6〜御舟に乗って〜
当日の朝、このコンサートが終わったらみんなとお別れかと思ったら悲しくなった。が、これが始まりなんだと思うことにした。ここに至るまでの半年を思い返して、胸がいっぱいになった。今のうちにいっぱいにしておかないと、万が一ステージ上で胸が詰まったりしたら歌えなくなる。
お昼を食べてすぐに会場入りする。家から近いこともあって、朝から綾野や真理野は様子を見に会場に行ったり、機材を運んだりと出たり入ったりしている。わたしは洗濯物を取り込んだり、洗濯をしたりしてゆっくり準備をした。
宮古島市未来創造センターは、新しい建物で楽屋やトイレもとてもきれい。広い楽屋をみんながまたいつものようにばらばらに使う。一生このツアーだったらいいのになあ。
この日のスタッフは六人。美和さん七重さん関係の人、そしてエイサーをやっている高校生たちが集まってくれた。自主企画だから、受付や席の誘導係なども必要だ。みんなてきぱき動いてくれて助かりました。音響は専門の方(ノブさんとつよしさん)に頼んだ。照明もやってくれた。ありがとうございます涙。
前日の夜中まで、チケットがあるかどうか聞いて来られる人もあった。完売だったが、コロナで濃厚接触者になって急に来れなくなった人もあり、当日になってみないと何人来てもらえるかははっきりしない。そんなこんなで幕は開けた。
前説に綾野がステージへ。オープニングは胡池マキコ。いつもは2曲だったけれど、今日は3曲歌ってもらった。3曲目は浜田も出て「流転」を一緒に歌う。
今回オープニングアクトがマキコちゃんで本当によかった。マキコちゃんの森林浴みたいな雰囲気と伸びやかな声が、これから素敵なことが始まりますよと告げてくれるようで。(ブレーキがないと叫び倒していた人物とは思えない)
Miuniの地元開催リスペクトということで、そのまま続けてハマダのセットに突入。トリはMiuniにとってもらいましょう。石垣空港で買った海亀のピアスをつけて出た。だってわたし亀じゃないですか。
宮古の人は歌が好き、昭和歌謡も、カラオケも、スタンダードナンバーも大好き、という真理野の助言を受けて、この日は「つぐない」や「ラストダンスは私に」をセットリストに入れた。綾野にも登場してもらって、オルガンの彩りを添えてもらった。
あっという間に終わって、しばしの休憩を挟んでMiuniの登場。いよっ!待ってました。たっぷり!
大盛り上がりで二部も終了。宮古のお客さん、なじみの宮古民謡を一緒に歌ったり踊ったりしたかったかもしれない。コロナめー。
アンコールがかかって、Miuniとハマダがまたステージに。実はこの日のために用意していた曲があった。「御舟(Miuni)」という歌だ。Miuniのテーマソングになったらいいなと思ってわたしが書き下ろしたものだ。詞は少しMiuniに手伝ってもらった部分もある。
御舟
海を渡りましょう 遥かな海を
青い空の下 あなたのもとへ
歌を届けましょう やさしい歌を
懐かしい心で あなたのもとへ
風に吹かれて 御舟に乗って
笑顔と愛で 越えて行きましょう
夢色をした 小舟に乗って
それから、マキコちゃんも呼んでまたみんなで「時代」を歌う。
Miuniは漕ぎ出したばかり。これからも喜びや悲しみや、いろんな感情を乗せて海を渡っていくことだろうと思う。健闘を祈ります。亀より。
たくさんのお出かけありがとうございました。真理野の高校時代の吹奏楽の担当の長浜先生がこの日もみえていた。とてもよかったと言ってCDもたくさん買ってくださった。ただ一つ、真理野に伝えてくれと言われたことは「シャツはインしなさい」ということだった。後で真理野に言ったら、「それについては、高校生の時からずっと先生と戦っている」そうだ。そういえば長浜先生はめっちゃ、シャツがインだった。
スタッフのみなさんもありがとう。片付けながら最後にみんなで記念写真を撮った。音響のノブさんとつよしさんは、シャイなようで写真には入らなかったけど、ありがとうございました。
誕生日
実はこの日、胡池マキコちゃんの誕生日だった。今回は、コロナのこともあるので、ツアー期間を通してあまり打ち上げ的なことはできなかったけれど、最終日なので、池村姉妹の家の前の「おかん」という店で食事を一緒にすることに決めていた。
食事をしながらマキコちゃんのサプライズ誕生会もしようねって、マキコちゃん以外のメンバーとは内緒で話していた。マキコちゃんがスタジオで練習している時などに、それぞれプレゼントを買いに行ったり、綾野がケーキを注文して、「おかん」に届けに行ったり、みんなでこそこそしていた。
サプライズってことは秘密ってことなんだけど、みんな正直村の住人だからか、挙動不審で参った。「おかん」のマスターはみんなでおとんと呼んでいるのだが、わたしたちが入店するとすぐに「じゃあ、まずは、食事からね♪」って言うし。「まずは」って言ったら後で何かあると思われるじゃないか。思わずマキコちゃんを見てしまった。
みんなポーカーやったら絶対負けるよ。食事を終えたころ、隣に座っている綾野がわたしに「そろそろ火つけますか?」と全くの無表情で、目も動かさずまばたきもせず口も動かさず首も動かさず話しかけてくる。なになに?なんかこわいよ綾野、不自然だよ。そのロボットみたいな動き、向こうに座っているマキコちゃんに気づかれるのではないかとどきどきした。
ケーキのキャンドルに火をつけるよって、テーブルを挟んで向かい側に座っている七重さんに合図をする。が、七重さんてば、ちっとも気づいてくれない。声を出さずに「たんじょうび、たんじょうび」と綾野と二人がかりで言うのだけど、また七重さんが、天然なのだった。
まりこ、あやの「た・ん・じょう・び(口の動きだけで)」
ななえ「え?炊き込み?」
って、誰が炊き込みご飯やねん!
確かに口の動きだけだと「たんじょうび」と「たきこみ」同じだよ。おもしろすぎる、死ぬ。綾野と笑いが止まらない。七重さんの隣にすわっているマキコちゃんにバレるではないか。そうこうしているうちに、美和さんが「あ、車の中に忘れ物した」と小芝居をしてウクレレを取りに行ったのだった。Happy Birthdayをウクレレで伴奏してくれるのだ。
美和さんが戻ってきてまだウクレレの準備ができていないのに、おとんがケーキを持って出てきたものだから、あわてたのなんのって。おまけに、美和さんが弾けるHappy Birthdayのキーが低くてみんなが低い声で歌うことに。もう、こんなドタバタ知らないよ。わたしゃ、笑い死ぬかと思いましたよ。
マキコちゃんも喜んでくれて、よかったよかった。みんなもキョドりつつ、よくがんばりました。おめでとう、マキコちゃん、そしておめでとうMiuni。楽しくて長い1日が終わった。
翌朝早く、マキコちゃんは宮古空港から帰って行った。みんなで見送ってそのあとマックでモーニングを食べた。
一人ずつ帰って行って、明日はわたしが帰る日。泣いてしまいそうだな。このツアーで本当にたくさんの贈り物をもらったような気持ち。遠い場所に暮らす同士がこんなふうに出会って一緒に音楽を奏でることができてほんとに幸せでした。ありがとうMiuni。またいつかどこかの町で、くぎくぎ一座の公演ができるといいですね。次は黒字で。スポンサー募集しています。よろしくお願いします。長いことお読みいただきありがとうございました。おしまい。
一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。