北海道ツアーのこと④美瑛からの東川町
美瑛のペンションの名前は「We」という。1988年オープンでご夫婦で経営されている。ここに2泊の予定。ここはドートレトミシーのせらよこさんに紹介された宿だ。部屋はいくつもあったが、初日は他に宿泊の人はなく貸切みたいだった。広い裏庭からは大雪山十勝岳連邦が見渡せる。
ドートレトミシーは長尾匡祐(キョウスケ)さんと、せらよこさんの二人組ユニット。匡祐さんの出身は香川県高松市で、よこさんは兵庫県の宝塚市だ。大阪での音楽活動を経て東川町に移住して地域おこし協力隊をしながらここでも音楽活動をしている。小西健二音楽堂を拠点にして、音楽家を日本中から招いてライブを開催している。
コンサートのできそうな広々としたWeのロビー&食堂には、グランドピアノがある。夕食もここで食べた。美味しいだけではなくて、すみずみまで丁寧に作られている感じがする。ピアノを弾いたり、ステレオで音楽を聞いたりしてしてゆっくり過ごす。外は静かで、窓を開けるとひんやりとした風が入って少し寒い。
朝食も美味しい。お部屋にはテレビはないし、wifiもロビーだけなので、メールを送ったりするときはロビーにパソコンを持って行って作業した。こんな素敵なところに来てまでパソコンに向かうなんて無粋の極みだと思ったけれど、連載コラムの原稿の締切が来ていたのだ。
締切といえば、作家の川上弘美さんが「締切には本物と嘘のがある」と言っていた。以前エッセイの締切がせまっているのに全然書けない時はどうしたらいいのでしょうか、というアホみたいな質問をしたとき、川上さんが凛としてそう言ったのだった。今回のは本物の締切なので笑、がんばってロビーでコラムを書いた。
マリノは、庭に作られたデッキの上の椅子に座って、のんびりしたり、サックスを吹いたりしていた。誰もいないし最高。マリノは自然の中で吹くのが似合う。数年前、出雲の康国寺の庭園でライブをしたとき、マリノのソプラノサックスに合わせて向こうの山から鹿の声が聞こえてきたことがある。鹿って鳴くんだね。
あら、いらっしゃい。って、自分の家みたいに。
さて、夕方になると、ドートレトミシーの二人がやってきた。今夜はここでみんなで泊まって明日は東川町に行くのだ。初めてお会いする二人はとてもさわやかな方々だった。夕食を一緒に食べたり、ロビーに置いてある木のパズルを解いたりしながら雑談する。
サラダのキャベツみたいに見えるのは、実はじゃがいもなのです。さくさくした食感がnice!
誰も解けなかったパズル。
翌朝は早起きしてせっかくなのでウォーキングをしてみた。熊に遭ったら目を見て静かにあとずさりをするよう習う(無理!笑笑)朝の空気が気持ちいい!!既に痩せた気持ち。
みんなで朝食を食べて、いよいよチェックアウト。ここでの滞在は短かったけど名残惜しい。また来たい場所ばかり増えて困る。宿のご主人は東京の方だけれど、ルーツが徳之島だそうだ。顔立ちがくっきりとしているので、マリノが「どおりで顔が親戚のおじさんに似ていると思った」とか言っていた。
さて、今日はどこへ行くのだろう。東川町には向かうのだけど、その前に「お連れしたいところがあって」とよこさんが言っている。どこと尋ねてもどうせわからないので、どこへでもお連れされようと思う。
まずは、青い池へだそうだ。青い池って?
青い池だ!(驚!)
ここは美瑛町白金の美瑛川の辺り。川の上流の硫黄沢川のアルミニウム成分が光を反射して青く見えるのだそうだ。光の具合によってはターコイズブルーだったり、エメラルドブルーにも見える。
なんか、合成写真のよう。宮古島の珊瑚礁の海もバスクリンが入ったみたいな色だったけど、ここもだなあ。安い表現ですみません笑笑。この青はBIEI BLUE というのだそうだ。お土産ショップには、青いクッキーや青いソフトクリームがあった。なんでも青い。
ついでにその流れでそこから車で数分の白髭の滝にも行く。あたりは温泉が湧き出るそうでホテルもいくつかあった。滝が髭のように見えるのがネーミングの由来だろう。橋があまりに高くてちょっと足がすくんだ。
よく見ると川の水も青い。ああ雄大、広大。
それからランチをよこさんが予約してくれたとのことで、小高い丘の上のコテージのようなレストラン「La Paix」へ。平和という名の通りの落ち着いた優しい佇まい。ここはお花の好きなマダムがお花をたくさん飾ってるそうだ。どひゃー、きれいー!
マダムの写真を撮るのを忘れたけれど、お話の好きなとても素敵な方だった。マダムは最近宮古島にハマってるそうで、マリノと話に花が咲いていた。お腹いっぱいでやっぱりダイエットは北海道では無理だ。
いろんな写真を家族のラインに送っていたら、妹から「SNSへの投稿は気をつけてね」と返事が来た。全国的に緊急事態宣言が出ている中、楽しそうな写真はあんまりあげないほうがいいよというアドバイスだった。旅先で楽しくなかったことなんてないし、もてなす方は全力でもてなしてくれるのだから、お礼の気持ちもこめて写真の一枚でもアップしたくなるのが人情だけれど、一方で一生懸命いろんなことを我慢して自粛している人にとっては神経を逆撫でするようなことになるかもしれないのだ。ごめんね。気をつけます。
道々の景色を楽しみながら東川町に向かって宿に到着。東川町のみならず、北海道は美味しいものがたくさんあるのでふるさと納税が盛んだ。そのお金で町内の施設がきれいに整えられている。今日から宿泊する宿は、町営で町の仕事のために訪れたゲストが泊まる。ふるさと納税をした人も泊まることができるとのこと。もともとはどこかの会社の寮だったようで、入り口は団地の感じだが中がすごい。
ちらかしてますが。
部屋のデザインはどれも同じだが、木工の町らしく各作業所の家具がそれぞれ置かれている。部屋によって家具のデザインが少しずつ違うらしい。広いし、きれいだし、ここに住みたいです。サービスで部屋に置いてあったコーヒーを飲んで、ゆっくり寝た。
明日からいよいよ水のまち音楽祭3daysが始まる。(北海道ツアーのこと⑤水のまち音楽祭に続く)。
追記:おかげさまで9月30日に57歳になりました。コロナ禍でも誕生日は来るんですね。このままコンサートができないまま静かにフェイドアウト、引退になるんじゃないかとおびえましたが、少しずつ活動も再開できそうです。こうなったら死ぬまで生きるつもりです。緊急事態宣言が解除になりましたが、あまりうかれポンチにならないで少しずつやりますね。これからもどうぞよろしくお願いします。
一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。