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本当にあったシンクロニシティ。大雪の日のこと。

何年か前の冬の話。

「米国の東海岸一帯が22日から23日にかけて記録的な大雪となった。
5つの州で90センチ以上の降雪を記録し、11の州と首都ワシントン周辺で非常事態が宣言された。
各地で停電や交通機関の運休や欠航が相次ぎ、約8500万人が影響を受けた。
降雪の影響による死者は少なくとも28人。
月曜日に向けて各地で 除雪作業が続いている」(BBCニュース)

アメリカに留学中の娘、まさにこの大雪の影響を受けた8500万人の中のひとりでした。

スノウ・ストームと言われたその日曜日、娘は大雪のために非常事態宣言が出されたワシントンDCにいました。で、翌日には大学のある街に帰らなくてはいけません。月曜日午後に大学でテストがあり、このテストを受けないと進級できないのだと。そんなところに、この記録的な大雪です。

月曜日の早朝、ようやくつかまえたタクシーで駅に向かいました。ところが、なぜだかチャイナタウンの真ん中で降ろされたんですって。駅じゃないの、チャイナタウンだった!

大学のある街までの電車のチケットが取れるかどうかわからない。それどころか電車そのものが走っているかさえもわからない。そんな不安定な状況の中、タクシーでチャイナタウンに降ろされちゃったわけです。アジア人だからチャイナタウンでいいんじゃなね⁉ みたいな感じで。見も知らぬチャイナタウン…。

娘は初めてのワシントンDCの、まったく知らないチャイナタウンをうろうろしながら、ようやくメトロの入り口を見つけ、電車の始発駅に向かいました。そして、なんとかキャンセル待ちのチケットを手に入れたのだそうです。余談ですけど、通常よりも20ドル以上も高かっただとか。ぼったくり!
しかし電車は1時間半遅れ。これじゃ授業に間に合わないかもしれない。進級できないかもしれない…。

「大雪の中の電車にテレビ局の取材が入ってきたよ」
半べそをかきながらのそんなLINEが送られてきたほどの大雪だったのです。

状況報告と、不安や落胆、期待とがないまぜになった娘からのLINEは、次々と送られてきました。そのとき、東京にいる私は車を運転中。
LINEの着信音が鳴るたびに車を路肩に止めてスマホを開き、
「チャイナタウンに降ろされちゃった(涙)」
「メトロの入り口を探すよ」
「メトロに乗った!」
「チケットが取れないかもしれない(汗)」
なんて文字を追ったものです。ハラハラ・ドキドキの実況中継みたいなもんでした。

娘が大雪の中、無事に大学のある街に帰ることができ、午後の授業に間に合うかと心配しながらの車中、カーラジオから某評論家のこんな話が流れてきました。

「先週末、山形から東京に帰ろうとしたら雪で山形新幹線が止まってしまった。
東京に戻ったらすぐに講演会の予定があるのに…。
思案しつつもグーグル検索した結果、長距離バスで仙台に出て、そこから東北新幹線で帰京。
約束の時間に20分遅れで講演会に間に合った。
しかも講演会は異常な盛り上がりで、大成功だった」そんな話でした。

日本とアメリカ、所は違うけれど、娘とよく似た状況です。
お! これは…!?

偶然耳にしたことが、今、直面している事柄の行く末を示している、そういうことがあるのです。シンクロニシティ、ですね。偶然の一致。
そしてシンクロニシティの一分野に「外応」というものがあります。偶然に遭遇した出来事が、その人の未来を予言しているという、言ってみれば占いの一種、かな。私は、これこそ外応だ! と思ったのです。

さて、娘。
うんと遅れてワシントンDCを出発した電車に乗ったはいいけれど、「もう授業には間に合わない。進級は諦めたほうがいいかも」とLINEで告げてきました。
でもね、私はそうは思いませんでした。だって評論家の「雪の中の山形新幹線の話」を聞いたんですもん。
確かにハラハラドキドキするし、ちょっと遅刻したり、多少のトラブルはあるでしょうけど、授業にはちゃんと出られるだろうし、テストの結果は上々のはず。…そう思いました。
とはいえ本当にシンクロニシティ・外応が起きるのかどうかは、結果を見るまではわかりません。遠く日本から、気を揉んでいた私です。

数時間後、娘から届いたLINEには「無事に帰り着いて、授業もギリギリで間に合って、先生から“You made itやったね!”と言われたよ!」と。

ホッとしました。と同時に、占い師である私の見立ては正しかったとも思いました。
授業に間に合っただけでなく、テストの出来は上々で、みごと進級した娘です。それも好成績で。

やっぱりシンクロニシティ・外応はあると確信を持った冬の日でした。

以来、何か問題を抱えたときには、周囲の様子に敏感になるようにしています。犬の鳴き声とか、時計の針が指した数字とか、目の前を走り去った車の色とかね。

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