ヘッダーイラスト

【第4回】高校入試作文:あなたが目指すやさしさとは(600字)

さまざまなジャンルの文章に、自分なりの赤ペンを入れていく企画です。マガジンの詳細については【はじめに】をお読みください。

第4回目のテーマは、高校入試作文を選んでみました。

お題:「声がやさしい」、「やさしい人」、「体にやさしい」、「(地球)環境にやさしい」などのように「やさしい」にはたくさんの意味合いがあります。では、あなたが生きる上で目指したい「やさしさ」とはどのようなものですか。(600字)

2018年度の都内江戸川高校の入試で実際に出題された作文です。

評価の観点も公表されていました。
・思考力、判断力、表現力
・出題テーマの把握力
・課題意識及び課題解決に対する意欲

私も早速書いてみようと思ったのですが、なかなか考えがまとまりません。
そんな難しいテーマに挑んだのは、何度もこの赤ペン教室で登場している、個性豊かなMちゃんです。

正直、優しさの正解がわからない。
これに尽きる。なぜなら、私は人間関係でこれを意識しすぎて失敗しているからだ。
手前味噌ではない。

「相手を思いやり、いたわり、全てを尽くすこと。」が私は完璧な優しさだと思っていたので、困っていそうな人には率先して手を差し伸べたし、友人の悩みもしっかり聞いたし、好きな異性へはいつでもイエスマンでなんでもした、が。

違った。全然違った。

異性からは鬱陶しがられた挙句、都合のいい奴ポジションにされ、友人からは頼られすぎて毎日ご相談のLINE祭りになり、ストレスが溜まってハゲかけた。
唯一、電車の中で席を譲ったおばあさんとはwin-winを保っている気がする。

優しいはときに鬱陶しいなのだ。
例えば親からの細かな心配や注意は時に
「あーもう!!UTTOUSII!!」
になってしまう。優しさの押し売りは受け手が疲れる。これが恋愛ならば餌の投げすぎで魚は逃げるし、逆にこの慈善事業に甘えられすぎると与え手が倒れてしまう。とにかく受け手と与える側のバランスが難しい。距離感が難しい。

こんなに悩むことなのかと思ったりもするが、「見守る」も優しさの一つだし、手助けする、注意する、一緒に笑う、泣くetc...いろんな動詞がここに含まれるのでセンスが求められる。過保護=優しさではない。
相手との関係性や状況を見極めて優しさカードを切れる人になれたらいい。そんな人いるのか…いや、私はなりたい。

この文章に、赤ペンを入れてみます。

ここから先は

3,011字 / 2画像

¥ 100

ノンフィクションを書きたいです!取材費に使わせていただき、必ず書籍化します。