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錆びついた心が動いた音楽の話。〜あの3ヶ月の音楽についての記録〜

2020年4月からの数ヶ月の間、
正直、コロナ以前の想い出が詰まった音楽は、積極的に手を伸ばせなかったし、通常な気持ちでは聞けなくなっていた。

あれだけ愛していたものが、それがもう元の形では戻ってこないかもしれないという事実に、とてもじゃないけど向き合うことはできなかった、目を逸らしていたかった。

大好きな音楽家の10周年記念ベストアルバムでさえ、最初に一度聴いて以降、通しては聴けなくなってしまった(たまに精神状態がいい時に曲を単発で聞くと、ものすごい破壊力である。)


中学の頃、自分の部屋でラジカセから流れる歌を聞きながら、誰にも知られずひとり泣いていたことから始まり

3両編成の列車に乗って片道一時間の高校通学途中、本来勉強のために聞くクラシック音源はさっさと聞き終えて、
BUMPやスピッツ、ミスチルあたりを聞きながら自分を保っていた名残もあり(それでも全国大会で完璧なソロをこなすような子だった)

今でも東京の人混みは基本イヤホンがないと居られないので、通勤などの移動時はほぼ100%、毎日音楽を聞いていた
(たまにあえて街の音を聞きながら歩く時もあるが)

音楽を聞いているときは、目に映る世界の色が変わったり、自分が「無敵」になったり、自分の周りだけ別世界が広がったりする。

あるいは、頭の中でその音楽から様々な空想が広がり、「いつかその空想の世界に入る(あるいは現実にする)」と思い続けて、それを糧にして生きてきた。



その生活も毎日在宅に代わり、何だかんだで音楽を聴きながらできるほど仕事に余裕もなく、
必然的に音楽を聴く何度が減っていた。

ただでさえライブがない。それに加えてこの様である。

唯一、大好きな志磨遼平のラジオ、Twitterで流れてくるわくわくする試みや新音源(そんなに多くはなかったし、弾き語りやバトンにもすぐ飽きた、私がというより世間が。でも素敵だったよ。)、など、何か特別なきっかけで新たな音に触れては、生き返る。ひたすらその繰り返しだった。

ただし先の見えない世界の中では、その効果もほんの数日に過ぎない。

今まで興味があったことに興味がなくなる、何事にも関心が薄くなる。
これ、よく言う鬱の初期症状ですな。みんなこんなかんじだったのでは。


そんな中でも、錆びついた私の心を動かし、希望をくれた音楽がいくつかあり、それは良くも悪くも、この頃の思い出としてずっと忘れないだろう。
それをここに記録しておくことにする。

先ほども書いたように、過去の記憶や思い入れがある曲はあまり聴けない状態になっていたので(自分の曲は除く)、この時だけの感情や、新たに出会った音がバシッとハマったものである。



◆折坂悠太「朝顔」
聴きながら、弾き語りながら、その祈るような優しい歌に、静かに泣いた。

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からの配信ライブ(((どうぞ)))、そしてトーチ。

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◆ドリフの早口言葉
ソウルじゃん。鳥肌。(ジュリーの回をTwitterで見た)
これをお茶の間に流してたなんて、なんてかっこいい人なんだ、と。

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◆ベタですけど、源さんの「うちで踊ろう」(うち=inside)
一番最初に動いたのが源さんなのでは。

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◆ドレスコーズ「ピーター・アイヴァース」
まだ思い出が浅いから聴けたというのもあるけれど、
音楽を愛する根源的な気持ちは、ちょっとやそっとじゃ壊されないんだな。

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◆ちょっとズレるけど、平田オリザ氏のクローズアップ現代
(画像はないが、とても素敵な言葉が聞けたのだ)


◆サカナクション「ミュージック」
"いつだって僕らを待ってる  まだ見えないままただ待ってる
だらしなくて弱い僕だって  歌い続けるよ"
(思い出が大アリの曲だけど、聴けた。アカペラカバーもした)

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◆lady gaga「smile」
ガガ様主催のチャリティーイベントにて。この時の鳥肌は忘れない。
(JOKERの記憶も相まって)

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◆Sia「Chandelier」
なんかもう、とにかく表現したくてうずうずして。(カバーもした)

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◆ドレスコーズ「恋愛重症〜りびんぐでっど〜ダンデライオン」from IDIOT
新録2曲と、秀逸すぎる曲順のせいでダンデライオンは新たな文脈で聞けた。音楽の魔法と恋の魔法に同時にかかってしまい、足元がふらつく夜道。

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◆Los inferno
謎の覆面バンド、for紅布。かっこよすぎるでしょ。

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◆1975「Notes On A Conditional Form」
彼らの音楽はどうしてこんなに胸がぎゅっとなるのだろう。

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◆My French Film Festivalの映画と音楽たち

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◆大森靖子の弾き語り
毎日弾き語る姿に、印象が変わった。なんて強くて優しくて美しい人。
ここから色々なことに繋がる(ミスiDなど)

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◆The Flaming Lips「Race For The Prize」
しゃぼん玉ライブ、これは鳥肌立った。ディストピア感もありつつ、夢の中みたいでもありつつ、でも、ライブってこうだったよねって。

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こんな期間を経て、これらに心を少しずつ生き返らさせてもらいながら少しずつ動けるようになっていって、またやりたいことが色々見えてきた。

これから何をかましていこうか。夢みたいな案は溢れるくらいいろいろあるのですが。手伝ってくれる方募集中です。



ここからは余談になりますが、この時期はいろんな事実を目の当たりにして、考え方や感じ方が色々変わった時期でもありました。

・今までは、音楽や芸術は桃源郷を作るもので、現実から隔離された場所にあるべきものと思っていたけど、
音楽や芸術は、社会の一部であるということ、そして改めて、こんな世界で生きづらい人々に生きる希望を与えるもの、という意識に変わったこと。

・ひとつの物事の捉えるのにも、本当にいろんな立場や見方があって(自分の想像が及ばない範囲まで)、疑う・自分で確かめることの必要性、とにかく想像力が大切であるということ。

・やはりこの世界はクソだということの再確認。

・もはやこの世界には、万人にとっての「正解」や「正義」など存在しないということ。そして人々は一生ひとつにはなれないということ(そんなのはなからわかっていたけど)

・でもその中でも自分を持って生きていくということ。自分の中にしか正解はない、それぞれ自分の信念を持って生きて、時にはそれを示すことも大切であること(それは誰かの何かに繋がるかもしれない)




失ったこと、悲しかったことばかりじゃなかったよきっと。

また新しい世界で、色々なものが見えてきたので、次へと進んでいきます。一緒についてきてね。

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2020.8.27
6.12の下書きを、調整加筆して

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