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「うつ」を生きる

「うつ」を生きるのは楽ではありません。

例えば、朝起きたときのあの何とも言えない絶望感は言葉で表現しようがありません。
「自分の人生はもう終わった」
「自分には何の価値も無い」
「もう何もしたくないし何も出来る気がしない」
「このまま死んだ方がましだ」

そのような考えが頭の中をグルグル駆け巡ります。
まるでこの苦しみが永遠に続くかのように感じます。


うつにはいくつかの段階があって、最初は軽い抑うつ症状から始まり、うつ状態、うつ病急性期となるにつれて症状が辛くなります。

急性期になると、布団から出ることすら出来なくなり、トイレに行くのがやっと、という状態になる場合があります。
意欲がかなり低下してしまうため、日常の簡単な作業ですら行うことが困難になります。

私自身も、コロナ禍でリモートワークを行っていた2020年11月13日の金曜日の朝に突然うつ症状が現れ、それ以降ほとんど何もできなくなってしまいました。

普通に生活ができるまで回復するのに数か月は要しましたが、あれから2~3年経った今でも、時々、抑うつっぽい症状が出始めるのを感じることがあり、そういう時はとても焦ってしまい恐くなってしまいます。

「またあの地獄のような辛さがやってきたらどうしよう・・・」

この気持ちは経験した人にしか絶対分からないことです。

コーヒーを一度も飲んだ人にコーヒーの味を説明しようとしても完全に伝えることができないのと同じようなものです。

人生の中で、うつというのは経験しないのであれば経験しない方が良いと思っています。

いつもポジティブにいろんなことに挑戦して行動できる人がとても羨ましいと感じることがあります。

しかし、「うつ」というものは経験したのであれば経験したなりに得られるものも多くあります。

その多くは精神的な気付きや他人への思いやりの心など、内面的のものが多く、物質的なものよりもこういった内面的な財産の方が、長い目で見て人生を豊かにすることができます。

また、「うつ」を生きるとは、「弱さを認める」ことでもあります。
本来、人間は誰しも弱い生き物ですが、みんな自分が弱い人間だなんて認めたくありません。
でも、弱さを認めることができる人間は、同時に強い人間でもあります。

「うつ」を体験するご縁のあった方は、うつから逃げようとする代わりに、いかにして共生して生きるかによって、人生に深みが増します。

と、こんなことをふと思った土曜日の朝でした。

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