〈カラーストーリー青〉 砂時計
キッチンに青い砂時計を2つ置いている。
友達からもらったシンプルなものと、
父に買ってもらったペンギンの絵のもの。
観賞用ではなく、パスタを茹でる時にちゃんと使っている。
友達からもらったのは卒業式の日だ。手作りの絵本とお菓子も入っていた。私たちは創作のパートナーであり、普通なら親友と呼ぶのかもしれないけど、それを誓い合ったことはない。
でも無口な彼女からのプレゼントは特別だった。本当に嬉しかったのを覚えている。
ペンギンのものは、父と水族館に行った時に買ってもらった。父との旅はいつも2人だった。当時は母を仲間外れにさせられている気がして嫌だったのだが、今思えば、母の方が「行かない」と言ったのかもしれない。
私は父とは正反対に生まれてきた。お互いに価値観が合わず辛い思いをしたけれど、家族という執着がなくなってからは緩和している。
遠く離れてその本心を確認できなくても、ここにこれが在るということは、過去には確かに愛情があったのだろうと思う。
砂がさらさら落ちるのはとても綺麗で、「ちゃんと愛はありましたよ」と、聞きたい言葉をくれるような気がする。
私は何度も引っ越しをしているが、いつも2つの青が私のキッチンに並んで、遠くから彼らが元気で幸せでありますようにと祈っている。
〈青〉 砂時計
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