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写生大会

(同内容を私の声で収録したものはこちらから)

春めいた穏やかな日。新緑の香りが、ふと懐かしい感覚を運んでくる。ツツジの花に囲まれた公園で、写生大会があった。小学校低学年だったと思う。絵の具は水彩。いつもサインペンや色鉛筆で細々と絵を描いていた私にとって、水でどんどん滲んでいってしまう水彩が苦手だった。鉛筆で綺麗に下書きをしても、いつの間にか紙が歪み、思い描いていた透明感は何処へやら。

そんな私だったけれど、つい数年前、ふと水彩がやりたくなった。結局まだ絵筆をとってはないのだけれど、今ならあの「滲む」感覚を楽しめるのではないかと思える。自分ではコントロールできない偶然を、今なら受け入れられるのではないか。そして、その成り行きをそっと目を細めながら、優しく見守れるのではないかと。

音に対する感覚も、同時に変わってきたように思う。自分がしがみついているような感覚を手放すことも、昔より怖くなくなった。音そのものに「どこに行きたいの?」と訊きながら、歩みを揃え、音に添えるようになってきた。なんとも言えない、幸福な感覚。

おそらく、人との接し方も変わってきた。変えてもらった、気付かせてもらった、と言った方が正しいかもしれない。今までの自分を振り返ると、あまりにも反省点が多すぎるが、きっと数年後は、今の自分をまた同じように省みるのだろう。この文章もきっと少しむず痒く感じるのだろう。でも、それでいいと思うし、そのように成長していたいと思う。

今までの全てに、ありがとう。そう思える感覚を、日々更新していきたい。

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