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コロナで自主自粛!(早口言葉みたい(笑))その3

”いよいよ大変なことになるなぁ”

とは言え、自主自粛生活は考えていたよりも随分と静かに淡々と進んでいった。
自主隔離部屋に籠る主人。隔離部屋から漏れてくるコロナニュースやワイドショーの音・・・。
必要な時にご飯や物品を届ける家族・・・。
その繰り返し・・・。

4日目の朝、突然、主人が隔離部屋から出てきた。
「会社に出勤する」と言う。
戸惑う私。
「え?微熱とはいえ発熱があってからまだ4日だよね?」
「・・・」

「突然コロナ感染宣言をして、家族巻き込んでの対策をとっているんだから、明確な根拠とか理由が無く勝手に解除って、それは説明がつかんのとちゃう?」
「俺だって、充分考えてるんだ!それなら、どうしろっていうんだ?!」
彼は隔離部屋に戻って行き、バン!と大きな音を立ててドアを閉めた。

“あれ?ひどく感情的になってしまっているなぁ。何かおかしいぞ?”私は思った。主人は何故かひどく気持ちが追い詰められているようだ。

マスクを装着して、隔離部屋に入る。彼がベッドの上に座って俯いている。

「大丈夫か?」声をかける。

「俺だって考えてるんだから。何もかも手探りで何を基準にしたら良いかもわからんし、もう、考えすぎて頭ン中ごちゃごちゃだ。情報を得ようと思ってテレビ見てたら一層不安になるし」

「あぁ、そうか。考えすぎてわからなくなったんだね。まず、何を一番大事にするかをマトメてみようか。どっちみち、未知の病原性なんだから、現時点で手元に得られる情報を最大限に使った上で判断していこうよ」

「・・・そうだね。俺が参考にしたのは、日本渡航医学会 産業保健委員会/日本産業衛生学会 海外勤務健康管理研究会が2020 年 2 月 20 日付で出しているー企業と個人に求められる対策ーという文章だ。https://plaza.umin.ac.jp/jstah/pdf/coronavirus03.pdf」

「うん、うん」

「それによると、個人の感染予防で、症状が軽微で自主自粛の場合は、症状消失確認日を0日として、3日目から出勤可となっている」

「ほう、ほう」

「だとしたら、もう出勤できるだろ?」

「なるほど、なるほど」

「・・・長く休んでいると風評被害が起こりそうだし、かと言って、しっかり休まないと本当に出勤してきて大丈夫なのかと気持ち悪がる同僚が居るだろうし、俺、どういう行動を取れば良いのかわからん!!」

「本当に困るよねぇ。すべてが初めての事で世の中の誰にも良し悪しの判断がつかないからね・・・。でも、この際さ、しっかり自信を持って説明出来たらそれで良くない?」

「う~ん・・・そうだね。ま、現状、仕方ないからね」

「あなたが言うように、一応、“企業と個人に求められる対策”で、ある程度の指針を示してくれている訳だから、それを根拠にしてお話しても現時点では全く問題ないと思うのですよ。人によっては気持ち悪いと言ったり、風評流したりするかもしれないけど、文句を言う人は何を如何しても言うので、そこは割り切ろう!誰にも何もわからない手探り状態なんだし、今の状態では仕方ない!」

「そうだよね。仕方ない・・・」

「ま、一応、指針に沿って症状消失後3日間様子見たってことで、さらに自主的に+2日猶予を持って様子見たって事にして月曜日から出勤したら?」
「月曜からね・・・。うん、じゃぁ、そうするか」

かくして、無事、自主自粛期間が明けて、主人は会社に出勤したのでした。でもやっぱり心配性の同僚からは「俺なら2週間は休むよ!」と釘を刺されたそうで、ちょっち凹んで帰ってきましたね(;´д`)。


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