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エビ食うオスは嫌われる

ここ数日で最もTwitterを賑わせている件について


飲食チェーン店くら寿司・スシロー・はま寿司の店内で撮影されたイタズラ動画が立て続けに拡散され(投稿元の大半はTikTok)、イタズラに関わった中高生たちは爆発大炎上、氏名や学校まで既に特定される騒ぎになっている────ことを知った。

投稿者や動画に出ていた本人たちがアホなのは言うまでもないことだけど、少し思うところがあったので書いてみたい。

一連の件に興味を持ったきっかけは、TLに流れてきたはま寿司でのイタズラ動画だった。
動画の内容は客の1人が回転チェーンに並ぶ皿を取ることなくお寿司を食べる
というもので、本人たちによればこれは自分で頼んだ寿司を一度わざとレーンに置いて、「他人の寿司を食べたように見せかける動画」だったそう。
これが事実だとすれば、金銭的な詐欺行為はないし、他の客の邪魔になっている可能性もほぼない。もちろん何の犯罪にもあたらないので、問題があるとすれば、このようなイタズラ動画で、お店へのイメージが下がり、風評被害になる、という点だろう。
というかそもそも、店員に見つかれば注意される程度のことで、SNSに載せなければこうも炎上しなかった気さえする。

悪事は糾弾されなければならない。けれど、やったことと批判のされ方が釣り合ってなくないか(?)というか、リプ欄での叩かれっぷりはかなりのものだったので、そこに少し違和感を覚えた。

はま寿司は断固として許さない、法的措置を続けるというスタンスを表明し、Twitterでは称賛されているっぽい。

なぜここまでの炎上になっているのか?

考えてみれば、回転寿司でイタズラしてる中高生ってSNSが普及する前から絶対いたし、友達の前じゃないとやらないというか、承認欲求が加速させてるとこあるから、SNSが顕在化/加速させた両面があるように思う。

誰もイタズラしなくても回転寿司なんて昔から衛生的な不安はあるわけで、そういうシステムを受け入れる客が行く場所でもあり、客は常に衛生面への不安を抱えている状態だった。そして、そういう不安は誰も口にしない、そもそも考えないようにする、というのが暗黙の了解でもあった。

今回の炎上は、今まで見えなかった他の客への不安を潰したいって客層心理の表れなんだろうね。今まで見えなかった衛生面への不安が、実際にこうやって目の当たりにさせられると、拒否反応が出るのは当然
隠蔽していた内なる不安を突きつけられると、人間は怒る
と、どこかで読んだ本にも書いてあった。

一方で、回転寿司等の飲食店は衛生に関する責任を客に丸投げしている形になる。
悪いイタズラしたやつを見せしめに損害賠償で処刑すれば被害は減るだろうけど、それって企業側として正しいスタンスなのか、とも思う。


Twitterでは店でのイタズラには「厳罰化して対応すべき」「損害賠償請求しろ」みたいな、
人生を終わらせろとでもいうような勢いで怒りの感情が拡散されている。

この手のツイートは、不安や責任をたまたま見つかった悪い客に全部押し付けてるように感じられて、それが嫌だと思った。

この構造は、みんなで自動車社会を選んでるのに、死亡事故を起こした1人だけを責める構図に似ている。

自動車社会では必ず毎年誰かが交通事故で死ぬと分かっているけど、それをやめようと言い出す人は殆どいない。自分が自動車に乗らないという選択をしても、自動車社会が公共の利益になっている以上、その生活からは逃れられないからだ。
もちろん事故を起こす人には何らかの問題があることが殆どだけど、不運だった、という確率的な要素も必ずある。誰かが貧乏くじを引く社会で、その責任を1人だけに押し付けてもいいのかな。

回転寿司での衛生は、多くの客の善意と良識の元に成り立っていて、これは確かに日本人に特徴的なものかもしれない。(だから文化として回転寿司を守りたい、という気持ちも分かる。)しかし反面、責任が宙吊りになっていることで、今回のように分かりやすい"悪者"が見つかると、やり過ぎだと思うくらいに一気に叩かれる。所詮子供のイタズラだって言ったら甘過ぎだけど、人生壊すくらいまで大人が叩くくらいだったら回転寿司なんてやめちまえ



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