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モスクワの新しい地下鉄の駅 Part-2

パート2では、2023年3月に全線の運行が開通した、モスクワ地下鉄の大環状線の駅をメインにご紹介したいと思います。
パート1では、ハイテク系の駅が多かった気がしますが、パート2の動画では、ハイテクだけでなく、アート、SF、未来空間のイメージしている面白い駅を紹介しています。


  1. プラスペクト・ヴェルナツコボ (大環状線の駅として2021年12月開業)

大環状線南西部にある地下鉄の駅。この駅はハイテクスタイルでデザインされています。幾何学的な形状の、天井、床、柱の装飾。シルバーメタルの天井。線路の壁のオレンジ、ブラック、メタルの組み合わせ。壁の上の方にある、オレンジ色と赤のラインの組み合わせは、乗り換え通路部分にも利用されています。
ホームに入ってくる電車と、ハイテクイメージのホームがマッチしています。


2.トロパリョーヴォ(2014年12月開業)

主な装飾は、プラットホームに並ぶ巨大なツリーの形をした照明器具です。それぞれの「木」の根本には流線型のベンチが装備されています。線路の壁には鏡が飾られて、ホームのツリーランプを写しています。
 列車から降りて、ホームに立った時、美しいツリーランプの木々に目を奪われました。これが地下鉄のプラットホームなのかと思ってしまいました。自然の木々をハイテクに解釈するとこうなるのでしょうか。


3.カシールスカヤ(大環状線の駅として2023年3月 改装後、再オープン)

  大環状線の地下鉄の駅の一つです。
改装されたカシルスカヤの地下鉄のプラットホームのデザインのポイントは、黒い壁と白い柱。ホームには、彫刻家ゾーヤ・ヴェトロヴァによる社会主義リアリズムのスタイルのソビエトのメタルアートが残されています。メタルアートは、「惑星と衛星」や「電力線」など、科学の進歩の分野におけるソ連のさまざまな成果を描いているそうです。普通の駅のように見えて、普通でない駅です。


4.クレノヴイ・ブリバール(2023年3月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。プラットホームにある石のベンチが特徴的です。新しい地下鉄では、プラットホームのベンチも、単なるベンチではなく、アートの構成要素として、構成されています。
ホームを仕切る黒い壁、白い天井、灰色の壁と床。白い石の形をしたベンチ。
天井照明の明かりが、効果的に床に反射しています。
また、ホームから上がった地下ロビーの天井は、星空を表現しているのでしょうか。
駅を設計するにあたり、デザイナーは、かつてのコロメンスコエの古代村のディアコフ集落の発掘調査で発見されたメッシュセラミックのサンプルに触発されたそうです。
このような陶磁器の表面は、布地や漁網で装飾された凹凸があり、「メッシュ」という名前が付けられています。
駅のデザインでは、床や壁にタイルを斜めに敷き詰めるなど、そのモチーフが表れています。地下鉄の駅の外側のパビリオンも珍しい形をしており、皇帝アレクセイ・ミハイロヴィチの宮殿の天井のシルエットに似て、コロメンスキー公園を連想させるものです。


5.ナガーチンスキー・ザトン(2023年3月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。駅の壁はモザイクで飾られています。
ナガーチンスキーバックウォーターに生息する12種の魚が描かれています。
大環状線の開業直後、SNSではこれらの魚の写真でいっぱいになったそうです。
私が行った時も、ホームでは魚の写真をスマホで撮影している老夫婦がいました。
魚のモザイクは、石、スマルトや、貝殻、コイン、バッチ、色ガラスの破片など風変わりな装飾物が使われていました。
地下鉄の出口も変わっています。 そこには金色の魚の鱗を模した天井です。
  この駅は、アートそのものと感じました。


6.アビアモトールナヤ(2020年3月に開業。2023年2月から大環状線として機能する。)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。簡潔なデザインで、黒と白のカラーリングが特徴的です。
天井には、飛行機が空に残す軌跡が描かれています。ハイテクなイメージの駅です。


7.エレクトロザボツカヤ(大環状線の駅として2023年2月に開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。
駅は、モスクワの地下鉄で最大のパネル「英雄の戦い」を特徴とします。
プラットホームの片側の壁のほぼ全体が巨大なパネル「英雄の戦い」で占められています。高さ7メートル、長さ163メートルです。
それは祖国防衛者達のイメージが描れています。 
駅のパネルには、絵画の内容と共にその迫力に圧倒されます。 
このパネルを作成する際、モスクワの地下鉄で初めて、ガラスに印刷する技術が使用されました。
ホームの柱の間にある、壁の丸い楕円の装飾が、独特の雰囲気を出しています。


8.ソコーリニキ (大環状線の駅として2023年3月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。ホームの壁には、1930年代のソビエトのコラージュポスターが描かれ、天井には、モスクワ地下鉄の最初の路線の路線図が描かれています。
最初の路線は、ソコルニチェスカヤ(Sokolnicheskaya)と呼ばれ、ソコルニキ駅からクルトゥリ公園(Park Kultury)まで走っていました。
1935年5月15日に運航が開始しました。
ソコルニキには、最初の地下鉄建設業者のシャフトがありました。
この駅は、モスクワ地下鉄の最初の路線を作った建設業者を称えています。
駅のデザインは1930年代の雰囲気が染み込んでおり、ロシアの前衛主義や構成主義、タトリンやエル・リシツキー風のポスターやコラージュなどが含まれています。
労働を称える独特の雰囲気です。
駅の壁に見えるロシア語のスローガン。
「地下鉄、ありがとう。」
「地下鉄建設者、英雄に名誉を」
「美!」
「地下鉄がある!」
「地下鉄を作ってください!」
「我々は地下鉄が必要です。」
「地下鉄建設の記録」
なんとなく感じがわかっていただけますでしょうか。
動画に出てくるチブラーシュカのポスターは、親から離れて迷って困っている子供達に対して、「もし迷子になったら、ここにいてね。知らない人についていったらだめよ。助けてくれるのは、お巡りさんと地下鉄の職員の人だけだよ。」という案内。
このようなポスターは、地下鉄の駅でよく見かけるものです。


9.リーシュスカヤ(大環状線の駅として2023年3月開業)

大環状線の地下鉄の駅の一つです。
この駅は、建設の際に使用したパイプを仕上げ材で覆うことなく、そのまま残している一方、アーチ型のステンレス製の枠が設置されています。
その枠の中にはLED照明。その照明の明かりが鏡のような床の表面に反射しています。プラットホームから枠を見るとなんだか宇宙のようなハイテクのイメージです。


10.マリーナ・ロシャ(大環状線の駅として2023年3月開業)

  大環状線の地下鉄の駅の一つです。
  この駅は、モスクワで最長のエスカレーターと、地下鉄の建物に使用されている金属ボールが特徴です。
モスクワの地下鉄で最長のエスカレーターはここにあります。
長さが130メートル。5メートルごとに、移動距離のマークがあります。
エスカレーターでの移動に3分くらいかかります。また、この駅は、大環状線の駅としては最も深い(72メートル)駅で、モスクワの地下鉄の中では、2番目に深い駅です。
エスカレーターの両側の照明が、このまま宇宙空間に登っていくような印象です。
プラットホームの柱が丸みを帯びて輝いています。
柱は、細かい白い大理石でおおわれています。
線路のチューブは、リーシュスカヤ駅のようにむき出しです。
木の座布団を置いたベンチも特徴的です。
巨大な金属球の形をした支柱を備えたマリナ・ロシチャの外側のパビリオンも非常に印象的です。


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