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【レースレポ】TransJeju by UTMB~レース編~

レース前日までのことは、こちらにまとめています。今回は、メインのレース編!最初に言っておくと、とても長いレポートになったので読んでくださる方は覚悟してお読みください。


TransJeju 100kとは?

「韓国のハワイ」チェジュ島にて、韓国最高峰の山ハルラ山を2回登るコース。

2回のドーン⛰ドーン⛰が終わったらあとはなだらか。

100㎞, D+4020m
制限時間28時間

詳しいレースプロファイルは公式HPにて。

持ち物とドロップバッグの中身

持ち物は基本的に必携品のみ。補給はジェルを4つとマナバー1つを持ち(マナバー美味しいよね!)、ジェル6つを40kmで受け取れるドロップバッグに入れておきました。ドロップバッグに関しては、テーピングとそれを切るはさみ、痛み止め(塗る&錠剤)、着替え上下も入れました。

スタートまで

レーススタートは5時50分(本当は6時だったのですが、3日くらい前に変更の連絡が来ました)。いつもレースの3時間前くらいに朝ごはんを食べるのですが、それだと起床も結構早くなってしまうため、今回は2時間前、ということで4時前に起床して朝ごはんを食べました。

  • バナナ

  • ベーグル

  • 韓国おにぎり

  • おもちみたいなもの

合計で700kcalくらいでしょうか。ほぼ炭水化物です。ちなみにこれでもいつもより少なめです(笑)

荷物などの準備は前日に済ませていたので、食べてちょっとしてからホテルを出て、5時にはスタート地点へ。ドロップバッグを預けて、結構時間あるな~知り合いでも探してみよ~、なんてぶらぶらしていたら…。他のランナーがザックにつけているものに目がいきました。そう、これです。

レースでチェックされなかったし今考えてもなぜ必要なのか分からないけど、レース中に不安になるのは嫌だった。

ええええ!これ、捨てた気がする!!と焦りMax。ただ、捨てたとしてもホテルの部屋のごみ箱。とりあえず、ダッシュでホテルへ帰りました。近くで本当に良かった。焦りつつも気分はポジティブだったので、「いいアップになってる!」と思えました。無事にゴミ箱で発見し(やっぱり捨ててたw)、自分のザックにつけて、再度スタート地点へ。このときすでに、スタート5分前。間に合ったので一応OKです。

スタート前。

当日のスタート時の気温はだいたい20度、ジャケットを着るほど寒くはなく、半そで短パンで十分。走りやすくて本当に恵まれた気候でした。

さて、レース本編ですが、写真は1枚も撮っていないし、今回に限らず私はあまりレースの内容(コースだとか)を覚えている方ではないので曖昧なところも…。ご容赦ください。

レースプラン

プランというプランでもないですが、ロングトレイルではCheckPoint(以下CP)ごとの到着時間を計画していて、今回もプランを立てました。過去に日本で100㎞(D+6500mくらい)のレースを走った時は18時間。今回はレースプロファイルやTransJejuが出しているFastest Runnerの各CP到着予想時間を参考にして、自分が1年以上の故障明けということを加味しながら、タイム予想表を作成。その結果、15時間くらいでのゴールと算出しました。

ちなみにランナーとしての私自身の自己分析は

  • かなり後半型(ペースが落ちることはあまりないけど逆に最初から突っ込めない)

  • (特にテクニカルな)下りが苦手

です。

レースレポート

スタート~CP1

オリンピックスタジアムを出発し、まずはロードを5㎞ほど登ります。そのあとは、ゴザみたいなものの上をひたすら走ります。がたがたの岩場よりは走りやすいですが、慣れが必要かも。ゴザの凸凹にたまに躓きそうにもなりました。

最初のロード登り

CP1@6.9km

予想時刻は6:40、実際の時刻は6:34。おっ、ほぼほぼ合ってる!計画通りにいこうとしているというよりは、時計はあまり見ずにその時の気分のペースで走っているわけですが、予想時刻とほぼ同じだったので、まずは自分の計画は割と参考にできることを確信。エイドは小切りのバナナやチョコ、マスカット、アクエリ、水、コーラなどがあり、ここではバナナとお菓子を食べました。

CP1~CP2

ひたすら登りパートです。ここでもゴザ多め(笑)、シングルトラックっぽいですが抜かそうと思えば抜かせるくらいの幅のトレイルを進みます。Healing Forestという森のようですが、木々が綺麗で気持ちよかったです。

CP2@20km

予想時刻は8:40、実際は8:30。精度高め!ここのエイドもCP1とだいたい同じで、フルーツはバナナとマスカット(これまじで美味しい)、お菓子はチョコレートやクッキー、あとはエナジーバーもあった気がします。そしてトイレに行った気がします。いや、色々曖昧すぎww

CP2~CP3

3kmほど登って、韓国最高峰の山、ハルラ山のほぼ頂上までいき(ちゃんと頂上まで行くのは2回目の登り)、5kmを下ります。この区間のことはあんまり覚えてませんがw、岩場も少しありつつ、木の板の上をずっと走れたり、走りやすい(下りやすい)階段があったり、案外スムーズでした。すれ違う一般の方々は「ファイティン!(韓国語)」と言ってくれてとても元気をもらえます。一方で、こちらから挨拶しても思ったほど返してもらえず、ここらへんは日本の登山文化(すれ違う人と挨拶)とは違うのかもしれません。
また、整備された公園の中を走るのでトイレも頻繁にありました。

木の板ってこれのことです。

CP3@28.2km

予想時刻は10:10、実際は9:56。ちょっとだけ巻きました。バナナやお菓子を食べて、エイドを出ます。

CP3~CP4

ほぼロードで、12㎞下ります。前後にランナーがいたので、かたまりになったり離れたりしながら、結構あっという間に次のCPに。トレイルの下りが苦手な私にとっては、ロードの下りは安心感がすごい。

CP4@40.6km

予想時刻は11:40、実際には11:04。ズレ始めましたが予想より早いのは悪いことではないです。

ここがドロップバッグ受け取りができるCP。エイドに入る直前で必携品チェックもあり、レインジャケット、サバイバルブランケット、ヘッドライトを確認されました。ドロップバッグを受け取って、左の腸腰筋が張っていたので、まずテーピングを貼りました。ただ、腸腰筋の場所的に、ショートパンツを脱がないと貼りづらい…のですが、更衣室みたいなものはなかったので、その場で丈をせいいっぱいめくったりしながらなんとか貼りました。後から考えると、近くのトイレで貼ればよかった(笑)着替えはせず、テーピングを貼ってドロップバッグを戻します。

ここはエイドとしても大きく、韓国のスープやエナジーバーもありました。私はバナナとエナジーバーを3個ずつくらい食べ、トイレに行ってCPを出ました。

NAAKのエナジーバー。美味。

このCPでは、これまでコース上では見かけなかった数人の女性選手と一緒になりました。やっぱり女性同士、意識しちゃいますね(笑)結構焦ってる感じでエイドを出る人もいましたが、私としてはまだまだアップ(と考えないとちゃんと走り切れない)という感じだったので、「たくさん食べて、焦らず行こう。ここで焦ってる人はあとで潰れるぞ~(失礼w)」と自分に言い聞かせました。

CP4~CP5

CP5までは18km、エイド間が一番長い区間に入ります。ハルラ山の頂上に行くパートです。頂上までは約9㎞、階段多め。走れなくはないので、走れる登りは走ります。が、階段の最後の方は前の選手も歩いていたこともあり、なんとなく歩いてしまいました。足の温存という意味ではよかったのかな。
また、このパートでやっと、自分で持ってきた補給食(ジェル)を一つ食べました。そしてレースを通して、自分の補給食を食べたのはこれだけ。あとはエイドだけで十分だったのでコスパ良し。

頂上近くは標高1900mにもなるので、少し肌寒かったですが、ジャケットを着るほどではありません。少し曇っていても景色は本当に素晴らしく、登山客も結構いて、階段の途中の休憩所ではコーヒー飲んだりお昼を食べて素敵な休日を過ごしている人も。その横を汗だくで通りました。仕方ないけどごめんなさい。

頂上についたら、50㎞と100㎞でコースが分かれ(案内してくれる方がいました)、階段+岩場をひたすら下ります。もう、ここが本当につらかった!!!階段は走りながら下れるのですが、岩場がこんなに走れないなんて。岩は大きめで、ゴロゴロ動くわけではないので、走れる人は全然走れます。もともと下りは苦手ですが、この岩場は結構な恐怖感を覚えてしまい、一度怖いと思ってしまうとスピードが上げられず、他の選手にたくさん抜かれました。下りは練習して恐怖感を拭わなきゃ..。

階段と岩はこんな感じ。この階段が途切れるところが度々あり、そこは岩場が露わに。

下っていたら韓国人の女性選手(めちゃくちゃ可愛い。Aさんと呼びます)に追いつかれ、先どうぞと合図しましたが、一緒に行こうと言ってくれて。かわいくて優しいって、何事?一気に好きになりました。ありがとう。いいペースで前を引いてくれて、その後、韓国人の男性2人(Aさんのお友達)に追いつき、4人でひたすら岩場を下ります。前に人がいると、足の置き場が分かるので、恐怖感は薄れます。

このレースで結構びっくりしたのが、海外選手が登山客スレスレのところを猛スピードで駆け抜けること(笑)日本だともう少し登山客ファーストな感じもしますが、このガシガシ感が海外wayなの?

なんて考えてたら、盛大にこけて、岩に顎と胸を強打。一緒に走っていた3人とまわりの登山客に超びっくり&心配されました。カムサハムニダ。これは走っているときはそんなに痛まなかったのですが、翌日から超痛むことに..。検査の結果、肋骨が折れてました(笑)

ただ、いつもそうなのですが、1回こけると何かが吹っ切れます。恐怖感が吹き飛ぶというか。なので、ここから岩場がそんなに怖くなくなり、すこーしだけスピードアップできた気がしますが、同時に右ひざ(腸脛靭帯)に少し痛みが。このあと階段こないでくれーと願うばかりです。

ハルラ山の上の方からの景色。

CP5@58.7km

雨も降り始めた頃、CP5に4人そろって到着。予想時刻は15:00、実際は14:50。やっぱり下りでだいぶ時間がかかったみたい。

韓国のカップラーメンがあったので迷わずそれを食べました。海苔がたくさん入ってて美味しい!そして、チョコレート付きの食パンと、ジャム付きの食パンも発見。パン好きの私としてはこれは逃せません。どっちも2つずつくらい食べました。あとは変わらずバナナとクッキーを食べて(食べすぎww)、Aさんとエイドを出発。Aさんにジャケット着たら?と言われたのでレインジャケットを着ました(後にすぐ脱ぐことに)。

CP5~CP6

この区間は13.3km。出発のタイミングが一緒だったもう一人の韓国人女性選手、Bさんと、3人でロードを少し下ります。2,3㎞いくと、めちゃくちゃ走りやすくて気持ち良いトレイルに入ります。基本は下り基調、たまに少し登るくらいで、神聖な森の中っていう感じがしてひたすら楽しかったです。雨も寒くはなく、むしろジャケットを着てると少し暑かったので、結構すぐ脱ぎました。

Bさんが少し前で引っ張ったり、私が前に行ったりしていましたが、Aさんが途中で遅れはじめ、先に行ってと言われたためBさんと二人で進みます。このパートはかなり楽しかったのか、あっという間にCP6に。

CP6@72.1km

予想タイムは17:00、実際は16:27。チョコレート付きの食パンと、ジャム付きの食パンをここでも発見!パン最高!他の女性選手(私がたびたび抜いたり抜かれたりしていたモンゴルの選手)がいて先にエイドを出発していましたが、Bさんとたくさん食べて、また一緒にエイドを出ます。

CP6~CP7

ここもまた気持ち良いトレイル。アップダウンがあり、岩場は歩いたり走ったりしながらBさんと一緒に。Bさんは登りをPushしていて、私が遅れそうになると振り返って「いくよー!」と合図。本当にかっこいい。惚れました。私は英語、彼女は韓国語でしゃべっていて、多分お互いにあんまり通じてなかったけど(笑)、それでもいいんです。伝えたいことはお互いになんとなく分かって、そんな空間がとても好きでした。ここらへんはもうだいぶ暗くなってたけど、ギリギリヘッドライトはつけずに走り続けました。

CP7@81.6km

予想は18:30、実際は18:06。Bさんとエイドへin。ここはそんなにゆったりせず、雨の中バナナやマスカット、クッキーを食べて、Bさんとエイドout。エイドの方々も明るくて優しくて、韓国語はやっぱり分からなかったけど、なんだか暖かな気分になりました。

CP7~CP8

もう真っ暗に近かったので、ヘッドライトも付けていましたが、なぜかライトの部分がバンドから取れてしまい、手持ちで使うことに。こけたらライト吹っ飛ぶなーなんて思いながら、でもバンドに付ける手間はなんだか惜しかったです。正直、後ろに追いつかれたくないという焦りもあったんだと思います。

エイドを出てすぐのロードの登りをちょこちょこ走っていましたが、Bさんは歩いていたため遅れ始めます。少しペースを緩めて振り返ると、前に行け!と手で合図が。迷いましたが、ここは自分のペースで、つまりそのままどんどん行かせてもらうことにしました。こういうのって難しいですね。Bさんはさっき待っててくれたけど、みたいに考えちゃったし、終わった今でも正解は分かりませんが、この時はこの時のベストな判断をしたのだ、と思いたいです。

ロードが1~2kmほどで終わり、トレイルへ入ります。ライトで照らす足元しか見えなかったからか、ナイトトレイルでテンション上がっていたからか、はたまた後半型のパワー発揮の瞬間だったのか、足元は岩場でしたが、昼間の岩場での走り(というか歩き?)が嘘のように、何も怖くなく、突っ走れました。もう無我夢中で走っていました。

すると、前方にちらつくライトを確認。結構すぐに追いつき声をかけると、50kmあたりの下りで私を抜いていった女性選手でした。「一緒に行こう」と言うと「いや、行って!」との返答が(in English)。そのまま走り続けると、また別の女性選手に追いつきました。ここはもう抜いて突き放すしかない、とガンダッシュです。この時、足はすごく軽くて、メンタルも前向き。楽しくて仕方ありませんでした。

CP8@90.9km

予想は20:00、実際は19:32。この最後のエイドは、ほぼスルーです。クッキーをつかみましたがその場では食べず、すぐスタート。

CP8~フィニッシュ

あとは7㎞下るだけ。あぁこの楽しい旅が終わっちゃう、なんて考えながら、トレイルを抜けて、始めに登ったロードをひたすら下ります。最後は誘導員の方々も結構いて、右に曲がったり左に行ったりしながら、ゴールのワールドカップスタジアムが見えた!というところで、なぜか信号待ち。「それまでは赤信号も通してくれていたのに…まぁいっか〜」なんて呑気に考えて1~2分ほど立ち止まっていたでしょうか。青になって走り出すと、なんと後ろから二人の選手が迫ってきました。しかも一人は女性。えーーーーー!ゴールまであと200mくらい。ここで抜かれたくない!と競争心メラメラでダッシュ。ギリギリ抜かれることはなく、無事フィニッシュしました。

例のBさん。彼女のおかげで楽しさは倍以上。

14時間23分27秒。
下はCPごとの順位表(順位上がる=線グラフは下がる)。

やはり後半型で、順位は徐々に上がっていったみたいです(走っているときは順位は全く分からなかった、かつ今回は気にしませんでした)

それにしても、長い!!!レポが長い。すみません。でもレースも長めなので許してください。そんな今回のレースを無理やり一文でまとめると、

自分史上最も楽しくて幸せなレース

でした。

故障で一年強の間まともに走れなかった分、走れていること、体が動いていること、それがもう幸せで仕方なかったし、私は走るのが好きなんだと再確認。こう思うことができたのも、レースが素敵だったからです。運営、ボランティア、他のランナー、などなど、どれをとっても素晴らしかったです。

まとめ

思ったことを箇条書きにします。

  • 長い距離は絶対に自分のペースを守ること。100㎞の場合、本番は70㎞から(と考える)。

  • とはいえ、誰かと走れるときは、多少のプッシュであれば一緒に走るとペースも気分も上げられる。

  • 登りは普段のロードバイクの練習でなんとかなった気がする。*このレースまでに練習という練習をしておらず、1回、20㎞のゆるいトレランをしただけでした

  • 逆にトレイルの下りの練習はトレイルでしかできない。怖がらない。

  • 他の選手やエイドでは積極的に声をかけると自分が元気をもらえる。

  • Jejuはトレイル率低めなので走れるトレイルが好きな人によりおすすめ。

  • 補給食を食べられるときは食べまくる!固形物が胃に優しくBetter.

  • トラブルも楽しむ!楽しいが一番✨

楽しんだ!!!


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