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記憶力の三つの秘密

好きなこと、興味があることは どんどん覚えられるのに、覚えなければならないことは なかなか覚えられない。
人の名前を覚えられない。
あるいは「若いころに比べて、記憶力が落ちたな…」と感じたり。
「ウチのおじいちゃん 認知症で、1分前に言ったことも忘れちゃうんだけど、昔のことはよーく覚えてるのよね」なんてこともあり。

生活にも仕事にも「記憶力」はついて回ります。

記憶力が悪いと、仕事の要領は悪いし、生活でもトラブルおきがち、だけど 記憶力はもともと備わった能力だから仕方ないよね。

うーん、確かに。それは否定しきれない…
でもね、記憶力の秘密を知って、メカニズムを理解すれば、かなり効率よく物事を覚えられるようになりますヨ!

記憶力の秘密

人間の記憶は、3つのステップをたどります。

  • 感覚記憶

  • 短期記憶

  • 長期記憶

この三つです

1.感覚記憶


*すぐに消えちゃいます

感覚記憶は 五感を通して入ってくる情報を、そのままの形で数秒間だけ覚えている記憶のことです。たとえば、通勤のときにすれ違った人の顔や、聞こえてくる音。
一瞬で消えてしまう記憶です。
記憶というより、ただ情報を受信しただけのレベルです。

2.短期記憶


*メモが必須です

感覚記憶よりも少し保存時間が長い、と言っても15秒から数分!。しかも、一度に最大7個まで、という制限付きです。
驚きの短さと少なさです。

これでは感覚記憶と大差ありません。
これを知ったとき 私は、
人間の記憶なんてこんなものなのか…と愕然としました。

そう。
人間の記憶なんてこの程度。
だから、受け取った情報を忘れてはならない!と思ったときには、迷わずメモを取るべきです。
これは、人さまの話を聞く姿勢云々ではなく、自分の記憶力をカバーするために必要な行動です。

3.長期記憶


*容量は無限大です!

記憶は 感覚記憶、短期記憶を経て、長期記憶へと進みます。
長期記憶は、保存期間は無期限です。そして、容量も無限大。
感覚記憶と短期記憶の差があまり感じられなかったのに、長期記憶になったとたんに 突然、急激なアップグレードです。

長期記憶にまで移行すれば、情報はいつまでも記憶され、いつでも自由に引き出すことができます。
たとえば、自分の名前や生年月日などは、長期記憶化された情報の代表です。

情報が長期記憶になるカギ

情報が感覚記憶から短期記憶へと移行するきっかけは、「印象に残った」みたいな曖昧なものです。
そこから長期記憶へ移行するためには、ある条件が必要です。

それは、脳が
「この情報は生きるために必要」と判断することです。

たとえば食べ物の情報。
一度食べて 中毒を起こした、という記憶は、生命の危機と直結しているので、直ちに長期記憶の保管場所へと送られます。

では、生命の危機とは直結しないけれど 覚えておきたい情報を長期記憶にするためにはどうすれば良いのでしょうか。

脳をだまし続ける

たとえば、英単語。
中学・高校生の頃は、試験のために覚えました。
決して生きるために必須なわけではない。でも、膨大な量の英単語を、長期記憶として保管したい!

そのために、何をすればよいか。
ずばり、脳をだませばよいのです。

英単語を覚えておかなければ、生命の危機にさらされる!
脳にそう思い込ませるために、繰り返し繰り返し脳に情報を送り続けます。
すると、同じ情報にさらされ続けた脳は、ついに
「こんなにしつこく入ってくるということは、生きるために必要な情報に違いない」と思い込んで、英単語を長期記憶として保管します。

この作業を、私たちは一般的に「復習」と呼んでいます。

復習のタイミング


記憶の話から「復習」へ。
「復習」だいじヨ!って、子供のころからイヤと言うほど聞かされました。

そう。
記憶を維持するためには、復習するのが一番なんです。

エビングハウスの忘却曲線 というのがあります。
実験心理学者 ヘルマン・エビングハウスによれば、人間は20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%を忘れ、一か月後には元の記憶をほとんど残していないそうです。
だから、一か月後に復習しようとしても、最初から学び直すのとほぼ同じ労力がかかるわけです。

つまり、復習するにはタイミングが重要。

新たな情報をしっかり記憶したいなら、20分後くらいに一回、それから1時間後、一日後、一週間後、というように、「忘れてしまわないうちに」復習すればよいのです。
たいへんそうですが、すっかり忘れたあとに 一から学び直しをするよりは楽です。

復習の目的は、自分の脳をだますこと。
同じ情報に何度もさらされると、脳はだまされる。
ならば、時間をかけて復習するのではなく、覚えたいことを何度も繰り返しインプットする方が効果的です。

好きなこと、興味のあることは記憶しやすいのは、意識せずとも 好きなことにまつわる情報が 頻繁に脳に届いているからかもしれません。

一方で、興味のないことは、無意識に避けて通ります。脳に情報が入る機会が少ないのだから、当然 長期記憶にも移行しません。

思えば、認知症の方は、繰り返し繰り返し 昔の話をしたがります。
自分の長期記憶を取り出しては、復習を重ねる。
こうして、昔の話はずっと、その方の脳に長期記憶として保存され続けるのでしょう。





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