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【心の栄養!ノート】映画「はじまりのうた (BEGIN AGAIN)」

映画・ドラマというのは、"他の人生"を堂々と垣間見て心を揺さぶることができる、人としての心の栄養だ。
"他の人生"とは、映画の題材となっている人物でもあるし、その映画を作った監督の視点かもしれない、またはその台本を丹精込めて作った脚本家の心かもしれない。映像として起こすために必要な物すべてだ。
そして、映画は観た者の心も、反映するものだ。


ここに紡ぎ出す感想は、そんな心の反映の一つの例えに過ぎません。
映画大好きで映像業界に入った私が、映画館の暗闇の中、メモを走らせて感じ得た感想を綴っていきます。


哀愁香る幸せ・・・いいな。

一番最初に出てきた感想が、これ(笑)
マーク・ラッファロ(Mark Ruffalo)演じるレーベル会社のエグゼグティブであり、かつての栄光の影もない、酒にあけくれるDan。彼が主人公の1人。
Danは、妻と娘と別居中。その上、レーベル会社から解雇されてしまう。
そんなDanの全身から漂う「哀愁」がすごい。

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タイトル:BEGIN AGAIN
邦題:はじまりのうた

監督:ジョン・カーニー (John Carney)
脚本:ジョン・カーニー (John Carney)
上映時間:104分
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt1980929/


ログライン / LOGLINE

恋人に裏切られ、失意を抱えながらバーで歌っていた女性が、音楽プロデューサーを名乗る男との出会いを通して思わぬ運命をたどる。
A chance encounter between a down-and-out music-business executive and a young singer-songwriter, new to Manhattan, turns into a promising collaboration between the two talents.


あらすじ

シンガーソングライターである恋人のDave(アダム・レヴィーン)と共に、イギリスからニューヨークにやってきたGretta (キーラ・ナイトレー)。しかし、Daveと彼のアシスタントとの浮気が発覚してしまう。Greattは、友人のシンガーSteve (ジェームズ・コーデン)を頼ると、Steveが歌うライブで飛び込みで歌うように促されてしまう。Grettaは自分の曲を歌っている中、観客は誰も聞いてない。その中に熱心に聞いている男性がいた。
それが、エグゼグティブとして勤めていたレーベル会社に解雇されたばかりのDan (マーク・ラッファロ)だ。酒にあけくれているのは明らかな様相のまま、Danは、歌い終わったばかりのGrettaに声を掛ける。
「君の曲、最高だ。一緒にアルバムを作ろう」と。
怪しい風貌のDanを怪訝に思いつつも、一緒にアルバムを制作することになる。街中から"落ちぼれている"音楽家を集め、ニューヨークのストリートで収録していくコンセプトアルバムだ。
アルバム制作の過程で、Danは家族と向き合い、Grettaは自分の歌と声と向き合う・・・。


個人的感想

この監督ジョン・カーニーさんは、これまた音楽がメインの映画で少数の劇場公開から大ヒットになった『ONCE ダブリンの街角で』の監督さん。
きらびやかな職業とか、心引き裂かれるドラマティックな展開というよりも、日常の中でみんなが日々感じる「落ち込み」とか「どうしようも表現できない悲しさ」とかにフォーカスされる監督なんだろうーな、と今回の映画観て思いました。

個人的には、場所がニューヨークなだけに、自分の好きな町並みがふんだんに使われていて、しかも、ブルックリンとか、ビレッジとか観光客があまり行かない場所で撮影が多くて、とっても心にグサーと来ました。(なんのこっちゃw)
私のとって懐かしい第二の故郷ニューヨーク。早く帰りたいニューヨーク。その町並みが、しかも、日常生活を送っている人がいる町並み。
実際に、劇中では、その町並みで生み出される音を使ってアルバムを制作している。本当に面白いアイディア!

ゲリラ!?手持ち撮影シーン

途中、DanとGrettaが、お互いのプレイリストに入っている音楽を聴きながら町中を歩くシーンがあるんですが、その中の一つにブロードウェイがありました。
明らかに、少数スタッフで、手持ちカメラだけで、しかもどう見たって周りは一般の方。つまり、たまたまたその場にいた人たち(笑)で、撮影してた。
すごいなー!すごい。
ハリウッドの撮影って、通常は照明セッティングとか、めちゃくちゃ時間掛かる。でも、そういうのも無しな様で、その瞬間の看板からの明かりとかで撮っちゃってる感じ!
その雰囲気が、混沌としたニューヨーク!!!!!を表していて、そしてこの2人が作り上げようとしている「人生の哀愁」も表現していました。

ぱっと見は、ロマンチックな展開なんですよね。
だって、一つのプレイリストを一緒に聴きながらニューヨークの町中を歩くんですよ?でも、2人はそうじゃない。
音楽で結ばれた友情とも、上司と部下とも、言い難い、なんだろう
「同志」のような。
2人とも、自分の大事にしていた愛を受け取られずにいる状況。そのチクッとするところをシェアしているような、そんな「同志」。

この2人の雰囲気がとっても素敵です。

見終わったら、
「あー人生ってやっぱり、いいな」
って、自分の日常に希望が湧き出るような映画です。

公開情報

配信:NETFLIX / U-NEXT / AMAZON / Youtube


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