①アメリカの株式投資 2005/10/3

2005年10月からコラムを担当させていただくことになったテレビ東京・ニューヨーク支局特派員の足立真理です。コラムのタイトルは「まりりんのNYの風」ということで、ぜひ皆様にニューヨークの雰囲気、アメリカのうねり、新しいトレンドなどを伝えていきたいと思っています。

 現在私はテレビ東京の早朝のマーケット番組「モーニングサテライト」(平日毎朝5時45分から放送)でのアメリカニュースやレポートなどを担当していますが、時々ニューヨーク証券取引所から生中継もしています。さらに夜の「ワールドビジネスサテライト」(平日毎晩11時から放送)の「ワールドマーケット」のコーナーでもニューヨークから中継で市況やビジネスニュースなどを伝えています。是非機会がありましたらご覧ください。

 ところで、ここニューヨークに私が赴任して半年余りが過ぎました。日本から来たばかりのころはニューヨークの活気に圧倒されていました。まさしく「景気が良い」とはこのことを言うのだ、と実感したのです。街中モノが溢れ、平日でも買い物をする人でごった返す、ブランド品の紙袋を大人も子供も持って歩いている、かつての日本のバブルを彷彿とさせる光景でした。

 最近ではニューヨークの地下鉄料金が引き上げられたり、住宅価格や賃貸物件の家賃がどんどん上昇していったり、ガソリン価格が高騰したりとインフレ警戒感というのはこういうことを言うの?というのを実感しています。日本では久しくデフレが続き、物価は低下傾向にあるのが当たり前でしたから、ある意味、私にとって物価上昇は新鮮なのかもしれません。

 ニューヨークは消費税も8%あまりと日本より高く、レストランに行けば15%から20%近いチップを支払います。それでも人々は百貨店で買ったモノを両手いっぱいに抱え、高級レストランを1ヶ月前から予約する、そんな好景気を絵に書いたような状況となっているのです。

 アメリカ景気が好調に推移していれば、成長率に見合った物価上昇は決してインフレではない、という声をよく聞きます。特に今年初めの頃はアメリカ全体が総ブル(強気)状態となっていて、そのブルムードがまた景気を押し上げる、言ってみれば好景気の循環みたいなものがあるといえそうです。「根拠無き先行き楽観論」がアメリカ全土を覆っていると言っても過言ではないでしょう。つまり原油価格がじわじわと上昇していても中間財の価格は比較的安定していて、そうであれば消費者心理も冷やすことはない、という論調です。

 さらに日本との違いで驚いたのはアメリカ、特にニューヨークの人たちは株式投資がとても身近だということです。先日番組で「日本人オーナーのシュークリーム屋台、マンハッタンでオープン!」という話題を番組「モーニングサテライト」で生中継したときのことです。その当日、スタッフがあれこれ生中継の準備で追われていたとき、通りすがりの一人のアメリカ人女性が近寄ってきてスタッフに聞いたのです。
「何の取材?」
スタッフは
「日本のポピュラーなお菓子、シュークリームの屋台がきょうオープンなんですよ」
するとアメリカ人女性はすかさず
「なんか、とてもおいしそうね。この会社は上場しているの?」
中継をするほど話題の店ならば、きっとこれから株価はあがるのかもしれない、とその女性は考えたようです。つまりアメリカ人にとって株式投資はとても身近で、銘柄の発掘のタネはいつでも転がっている、と考えているようです。
スタッフが「まだ上場していないんですよ。そのうち上場するかもしれませんけどね」と言うとアメリカ人女性はちょっとがっかりした様子で去っていきました。
日本の街中で取材していても何の取材かを聞かれることはあっても、上場しているかはきかれることはまず無いですよね。その辺がだいぶ違うのかな、と思いました。また、こちらの企業はちょっとしたスーパーでもチェーン店でもレストランでも上場していることが多いので、より株式投資は生活に密着しているといえるのかもしれません。

 日々のニューヨーク証券取引所での取引はとてもダイナミックです。かつての東京証券取引所にもいた「場立ち」(証券取引所のフロアで株式取引の仲介をする人たち)がニューヨーク証券取引所にはたくさんいて、商いが盛り上がってくれば歓声や拍手が聞こえ、活気に溢れています。アメリカ好景気の一角を支える光景がそこにはあります。

 そんな株式投資大国アメリカの最新情報を今後もお伝えしていければと思います。
今後ともニューヨークからのリポートを楽しみにしていてください。

2005年10月3日
足立真理

https://plaza.rakuten.co.jp/ismaririn/diary/200510030000/

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