一期一会の乗務員・タクシー会社の仲間たち① 〜浅草一郎さん〜 2023年6月30日
タクシー乗務員になって、はや半年。今の会社に移ってからは2ヶ月が経過しました。
タクシー会社の移籍は大成功!会社にも人にも恵まれて、毎日楽しく働いています。
そんな素敵な会社の人々のことも紹介できたら… と考え、書いてみることにしました。
守秘義務とか、個人情報保護とか、色々とうるさいので、隠すとこ隠して、意図的に事実と変えている部分もあることをご了承くださいませ。🙇♀️🙇♀️
『タクシー会社の仲間たち』第1回目は、浅草マスターの一郎さんの話を書きます。
まずは、私がまだタクシー乗務員になりたてホヤホヤの頃の話から。
当時勤めていた会社の指示で、私を含む新人は夕方15時から翌朝10時までの勤務。
タクシープールの付け方も知らず習わず、「無線を取るか、酔っ払い客を乗せてください」みたいな感じでした。
そのため、夜から朝までに動く人を対象にお乗せしていましたが… やっぱりはじめは怖くてなりません💦 そんな私が初めに通った(?)町は、吉原でした。
その点、吉原ならば酔っ払いはほとんど居らず、沢山のお客さまを獲得できます。
慣れない私は、台東区千束、つまり吉原界隈ばかりを走るように。お客さまをお送りするにもこの町は覚えやすかったのです。
吉原のお客さまの目的地は、主に ①鶯谷駅、②南千住駅、③上野駅。その他、三ノ輪駅、入谷駅、浅草駅、浅草橋駅、蔵前駅などなど。
交通の便の良くない吉原だからこそ、駅までのお客さまが多くいらっしゃいます。
さらに、私は女性ドライバー。この町で働く女性は女性ドライバーを歓迎してくれました。(たまたま乗っただけの人も多いですけど)
数ヶ月後、私は会社を変えることにし、本社の研修でベテラン教官から『稼げる場所』を伝授されます。
その際、吉原について伺うと… 教官方は皆、口を揃えて吉原にわざわざ行かない、と言います。
「吉原だと、(お客さまをお乗せする)効率悪いよね」
そ、そんな〜ぁ😭😭
研修を終え、営業所に配属。稼げなくなるのを恐れて、私は吉原営業を封印することに。
しかし、ひと月ほどが経った頃でしょうか?素晴らしい出逢いがあったのです。
ちょっと先輩の同期が、同じ営業所のベテラン乗務員に話しかけていました。
「今日もまた稼いできたんですかーっ?」
ベテランさんのこの日1日の売上は、12万円ほど。つまり月収100万越え!の人です。
(月の売上が140万円を超えると、その位になる)
この同期と共に稼ぎ方や営業の仕方を教わっていると、ベテランさんは新人の私にこう言葉をかけてくれました。
「浅草のことなら答えられると思うので、何でも聞いてください」
えっ、えっ、良いのかな… そう思いつつ、せっかくなのでアレコレ質問を🙋♀️
「吉原で稼ぎたいのですが、どうすれば良いですか?」
すると、ベテランさん。
「吉原はね、時間帯によっては鶯谷駅との往復でお客さまが途切れないから、片道千円くらいだとしても十分稼げる。
鶯谷でお客さまが乗せられなかったら、坂を上がってすぐ、美術館に来ている外国人観光客も乗ってくるから上野駅公園口に(タクシーを)付ければ途切れにくい」
こんな感じで、ベテランさんはポイントやコツを伝授してくれます。今では私だけでなく、同期の新人も相談していたり…
※ ちなみに、吉原が稼げるのは夜中12時半までが限界のようです。
このベテランさん、実際はカッコ良い名前なのですが、私は『浅草一郎さん』とお呼びしています。
「一郎さん!教えてください、、、」と。物静かに話す御方なのですが、嫌な顔ひとつしません。
私の目には一郎さん、手塚治虫のキャラクター・レッド公に見えます… 笑 細身でメガネ、スラッとしたレッド公のイメージです。
一郎さんとは出番が異なります。私は火木土ですが、一郎さんは月水金。時々、日曜も出勤してるそうです。
そのため、私が一郎さんと会えるのは、一郎さんの出番が遅番かつ仕事明け、納金してる時間帯。
お見かけすると、おはよーございまーす!と声をかけ、同期と共に一郎さんの日報を拝見させて頂くのですが、、、いつも10万超え。
本社の熟練乗務員でも稼げない、玄人の町・浅草。
一郎さんのカッコ良さは、あの浅草に絞ってるにも関わらず、稼いで帰ってきちゃうところにあります。
近頃、私は浅草界隈を目的地としたお客さまをお乗せすると、こんな会話を始めます。
「私の働いてる営業所で、浅草マスターの先輩が居まして…」
吉原のことだけではありません。一郎さんが教えてくださる、通りの名前、グルメ、休憩スポットやイベント情報など、色んな話題を話しかけてみるのです。
続く。
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