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読んだ本

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読んだ本の感想です。基本、ネタバレはありません。
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#いとうせいこう

お二人が末永く雑談を続けられますように~『雑談藝』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

この本は、いとうせいこうとみうらじゅんのラジオ「ザツダン!」を書籍化したものです。 ↑kindle版 話はあっちに飛びこっちに飛び、2人ともまぁ、喋る喋る。特にどれがどちらの発言かも気にすることなく、ずるずると読み進めることができます。 本書の表紙は、ソファーに座って楽しそうに喋っている2人の写真なのですが、見るからに仲の良さが伝わってきます。2人で雑談をしているのが、本当に楽しいのでしょう。そんな相棒を見つけられたことは、2人にとってとても幸せなことだと思います。

「特別道草篇」の発行を待望します~『見仏記 道草篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

夢中になって集中的に読んできた「見仏記」シリーズも、とりあえずのところ、これでおしまいです。だから大事に読みました……と書きたいところですが、実際には3日弱で読了してしまいました。だって面白いんだもん。 ↑kindle版 表紙をめくってまず謎だったのは、表紙カバー見返しのリンゴの群れ。なぜに「見仏記」でリンゴなのかと不思議に思っていたら、長野の章で謎が解けました。 この巻はリンゴもパンダも登場し、ついには見るべき仏像も見そびれてしまったりしだします。でも以下の考えに基づ

【読書】『見仏記』は何度でも読みたくなる~『見仏記7 仏像ロケ隊がゆく』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

これはすでにご紹介済みの『見仏記 メディアミックス篇』を改題し、文庫化したものです。 だから本来は上記の記事をご覧いただければ、7巻についての記事を別に書く必要はありませんし、そもそも内容が同じなのに、改めて7巻を読んだ私は相当物好きだと、我ながら思います。 勘違いして、図書館で単行本と文庫の両方を時間差で取り寄せてしまい、せっかく借りたのだからとパラパラめくりはじめたら、結局文庫も完読してしまった次第です。私は読みながら気になったところに短冊をはさむ主義なのですが、気づ

奇跡を呼び込む見仏コンビ~『見仏記 メディアミックス篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

今回の『見仏記』はメディアミックス篇ということで、テレビ(DVD)の「見仏記」と合わせると、倍以上に楽しめそうです。残念ながら私は、テレビ版は観たことがありませんが。 口絵の写真から、目を奪われました。みうらじゅんが欲しいと言っていたロータスクッション(柄が蓮なのではなく、仏像が座っている蓮の形)、「国宝興福寺仏頭展」でグッズ化されたのですね。写真を見て、私もちょっと欲しくなりました。 なお、本書は文庫では『見仏記7 仏像ロケ隊がゆく』にあたりますが、文庫だと写真が白黒な

【読書】見仏に行きたくなる~『見仏記ガイドブック』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

『見仏記』シリーズでは、いとうせいこうの文章と、みうらじゅんのマンガ(巻を追うごとに、仏画の要素が強くなってきていますが)で、各寺の仏像が描写されます。それでまったく不満はないのですが、実際の仏像の写真も見たいなーとも思ってしまいます。 そんな欲求に応えてくれるのが、この『見仏記ガイドブック』です。kindle版がないのが残念。情報をアップデートして、電子化してくれれば良いのに。 『見仏記』シリーズに出てくるお寺や仏像の写真だけではなく、そのお寺を訪れた時のいとうせいこう

【読書】見仏コンビが悟りを開く日も、近いかも~『見仏記6 ぶらり旅篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

『見仏記』シリーズも、ついに6巻目です。 ↑kindle版 1巻から立て続けに読んできたわけですが、見仏コンビ2人の変化には目を見張るものがあります。仏像にしか興味のなかった2人が、庭や上人像を鑑賞するようになったのは、最大の変化と言えるでしょう。この記事の見出し画像を、毎度おなじみ浜松の龍雲寺の前庭にしたのは、それが理由です。 なぜ庭にも興味が出てきたか。それは「庭は生きた植物で出来ており、つまり生物を使って一定の抽象観念を伝えている」から。そして、 こんな境地にま

【読書】本来ゴールデンであったもの~『見仏記5 ゴールデンガイド篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

『見仏記』も第5弾です。「ゴールデンガイド」ということで、メジャーどころに絞っての紹介というコンセプトで始まったはずが、章が進むごとに、どんどんディープさが増していきます。 ↑kindle版 でもそれはただの脱線ではなく、「鶴林寺・浄土寺」の章にあるとおり、「本来ゴールデンであったものの掘り起こし」なのだと思います。交通の便が悪いといった人間側の都合で、良い仏像が見られることなく埋もれていくのは、あまりに惜しいです。 今回の見出し画像は、浜松の龍雲寺の六地蔵です。浜松も

【読書】深まっていく、仏友2人の思考~『見仏記4 親孝行篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

仏友2人の旅の記録も第4弾、今巻には副題通り、それぞれの両親を連れての旅の記録も含まれます。 ↑kindle版 役行者をエンノ、あるいはエンノ先生呼ばわりしたり、仏像がいる裏の壁を触って楽しんだり(みうらじゅん)、相変わらず好き勝手に仏像を楽しむ2人ですが、次第にその思考は深いところに到達します。 みうらじゅんが石山寺の大日如来に語りかけた以下の言葉が、まず心にしみました。 また、いとうせいこうの若狭に関する考察には、はっとさせられました。 みうらじゅんもまた、小浜

【読書】笑わされたり泣かされたり~『見仏記3 海外篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

いとうせいこう・みうらじゅんの「仏友」2人が、勝手な視点で仏像を見る旅行記第3弾です。ついに海外進出を果たし、韓国、タイ、中国、インドに行きました。 ↑kindle版 今巻も、大変楽しく読み進めました。長距離移動や飛行機が苦手なみうらじゅん、閉所恐怖症のいとうせいこうが、それらに加えて延々石段を登ったり、酷暑にやられたりと、様々な受難に見舞われます。それでも旅をするのは、それこそ「そこに仏像があるから」。 ゆるい感想だけではなく、相変わらず鋭い視点も見られます。韓国篇で

【読書】次々に読みたくなる~『見仏記2 仏友篇』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

「見仏記」の2巻目です。何とも言えない魅力を感じ、次々に読みたくなります。最近の私の一番の楽しみは、移動中や寝る前などにこのシリーズを読むことです。 ↑文庫版 この「何だか知らないけど良くて、次々に読み進めたくなる」という感覚は、武田百合子の『富士日記』以来かもしれません。武田百合子もいとうせいこうも、みうらじゅんも、この2つのシリーズを同列に並べられたら、戸惑うこと請け合いですが(^-^; そして今巻も、二人は絶好調です。四国のお遍路道を指して、以下のように表します。

【読書】面白いだけではなく、深い~『見仏記』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

久しぶりに「これは面白い!」という本に出会いました。 ↑文庫版 『見仏記』は、いとうせいこうとみうらじゅんが二人であちこちのお寺の仏像を見ては、好き勝手な感想を述べるものなのですが、いとうせいこうの文章とみうらじゅんの絵が絶妙なハーモニーを醸し出しており、何とも魅力があります。いとうせいこうの文章だけでもみうらじゅんの絵だけでもダメで、二人の才能が合わさってこその面白さだと思います。 あくまでも見仏(けんぶつ)なので原則的に手は合わせず、それどころか寝っ転がって仏像を眺