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読んだ本の感想です。基本、ネタバレはありません。
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2023年2月の記事一覧

【読書】素敵なお母さん~『帰ってきた空飛び猫』(アーシュラ・K・ル・グウィン)~

『空飛び猫』の続編です。空飛び猫四きょうだいのうち2匹が里帰りし、妹とお母さんに出会う話です。 ↑文庫版 今巻で印象的だったのは、お母さん。前巻でも、子どもたちの負担にならないよう、「お母さんはここを出ていきたいとは思いません」と言って、子どもたちを送り出しましたが、今巻でも「この子(ジェーン)がお前たちと一緒に自由に空を飛びまわっている夢でも見るわ。それが私にとっての幸福というものなのよ」と言って、改めて子どもたちを送り出します。何てしっかり子離れのできた、素敵なお母さ

【読書】猫好きの人にお勧め~『空飛び猫』(アーシュラ・K.ル・グウィン著、村上春樹訳)~

買った時に一度読んだきりの本を、読み返してみました。 ↑文庫版 驚いたのは、内容をほぼ何も覚えていなかったこと。新鮮な気持ちで読めたのは良いですが、記憶力の衰えに、老いるショックを感じました。 大都会で生まれた4匹の子猫が、生まれ持った翼(彼らの母は持っていない)を活かし、環境の良い自然豊かな土地に移り住む話です。けれども自然の中で生きることは、決して容易くなく……。 子猫たちが選んだ道は、妥当かなと思います。自分たちの力だけで生きようと、突っ張ることも大事だけど、疲

野生動物にとっての幸せ~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.449 2023.2.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第52弾です。 そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「街にやってくる野生動物」です。 「野生動物は減少し、絶滅の危機に瀕している」というのは誤解だというのが、衝撃でした。もちろんヤンバルクイナとかアマミノクロウサギとかは別ですが、例えばニホンジカとかイノシシに関しては話が違うそう。1979年と2004年で比較すると、「全国のニホンジカの生息区画数は1.7倍に、イノ

【読書】百年経っても読むに値する本~『バビロンの大富豪「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか』(ジョージ・S・クレイソン)~

Prime Readingの特典を利用して読んだ2冊目がこれです。1冊目の感想記事はまだ執筆中なので、こちらを先に公開します。 この『バビロンの大富豪』を読んでみたのは、以前からちょっと興味があったからです。こういう風に、「ちょっと読んでみたいけど、買うほどでも図書館で借りるほどでもない」という本を読むのに、Prime Readingは良いですね。もちろんその本が対象になっていればですが。 ↑kindle版 この本で一番大事なのは、「収入の十分の一を自分のものとして取っ

フェミニズムとは何か~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.448 2023.2.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第51弾です。 そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「フェミニズムの来た道」です。 特集の中では、当然のことながら様々な人が様々な言葉で「フェミニズムとは何か」を説明していました。その中から、私にとってしっくりきたものを2つ書いておきます。 特集以外では、香山リカさんの「むかわ町穂別診療所の四季」の中の、ひとり暮らしの80代の女性が言ったという、「こっちにいるとな

選択の余地が残されているうちに~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.447 2023.1.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事第50弾です。 そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「新春スペシャル企画 南極と人類の未来」です。 かつ、「グリーンランド氷床が地球上の氷河の約10%を占めるのに対し、南極氷床は90%近くを占める巨大さ」だそうです。当然、地球最大の氷の塊で、すべて融ければ海水準60m上昇だとか。 まぁそれはありえないとしても、このままだと「21世紀末までに海水準が2m近く上昇する