にゃんにゃん
家にはクーラーがなくて、夏は扇風機です。
政府が国民に節電をさせたくて、ポイントの還元とか考えているようです。
夏には消費電力がグッと減る我が家、恩恵はないなあ。
昔、"にゃんにゃん"と云う名前の雄猫がいました。捨て猫だったところをポッポが連れて来ました。
ポッポは猫が好きで、しょっちゅう捨て猫を見つけては連れ帰っていました。たいていの猫は餌をもらって腹一杯になると居なくなりましたが、その子はポッポの側から離れなくなりました。
仕方がにゃいなあ
にゃんにゃんは賢い猫で、我が家の暮らしに順応していきました。どのように振る舞えばよいかは、ポッポという手本がいます。
出掛ける用意をし始めるとポッポがそわそわし始めます。車が大好きな奴です。ポッポが颯爽と車に乗り込むとにゃんにゃんもあとを追います。
二匹が窓から顔を出しているものですから、通行人もすれ違うドライバーたちもついつい笑顔です。
夕方、父が日課のポッポとの散歩。30分近く田圃道を歩くのですが、にゃんにゃんも散歩です。太もも辺りの筋肉が半端なく鍛えられていました。
食事の時間、ポッポは父の横に座り(父が一番甘やかしていました)、あのうるうるした上目遣いをします。
その眼差しに毎度負ける父が、「ワンは?」と言うと、ポッポが「ワン!」と応えます。そうすると美味しそうなモノが貰えます。
すると隣で「うみゃみゃみゃみゃ」、ワンと鳴いているつもりかしら、真面目腐った顔のにゃんにゃんが初めて聞く声を出しました。
えっ?
「ワンは?」ともう一度父が言うと、犬より先に猫が「うみゃみゃみゃみゃ」、まさかの芸当に家族みんなが歓声をあげました。
嘘・・・
なんて犬のポッポが思ったかどうかは分かりませんが、その後、父が食事をし始めると、二匹が真剣な眼差しを父に送ります。
箸で褒美のおかずを摘まんで持ち上げると、二匹が競って鳴きます。得意気な父。
人も動物も環境に順応して、より良く生きるための居場所を自ら作っていくんやなあ、と感心しました。
順応、適応していく。だからといって、己を失うことはなく、爪を立てるべき時は主人が相手でもズブリとやる猫でした。
あっぱれ!にゃんにゃん!