すてきな宝もの
水を打つ背平濡らされ睨む猫
俳優の故宝田明さんの言葉に、「小さな役はあっても、小さな役者は存在しない」というものがありました。
つい、体格のちっこい役者や芸人さんはいると突っ込みそうになりますが、何故か、この言葉を聞いたとき、いいなあと思いました。
宝田明さんの芝居も見たことがなく、先日のNHK「あの人に会いたい」で初めてまじまじお顔を拝見しました。
宝田明さん、なかなかの男前で、役者になるまでの彼の人生、彼の壮絶な物語を知ると、もっと早くに出会いたかったです。
つまらない、単純な作業をしていると、つい自分までもがつまらない存在に思えてきて、「あたしってショボいなあ」。
20代の後半、体力がなかったので、数時間の労働が精一杯でした。時給も500円でした。そんな低い生産性の自分が情けなく思えて、自己肯定感もめちゃくちゃ低空でした。
でも、少し年配の同僚の女性、彼女は正社員でしたが、給与はぼちぼち。お子さんが身体障害者で急に仕事を休むこともあり、家庭に対する理解のあるその職場を大切にしていました。
そんな彼女と職場をわたしも好きになると、自分のこともいいな!と思えるようになりました。
その職場は建て直しをする前の高知駅にある観光案内所でした。旧国鉄マンだった、飲んべえの所長さんと2名の正社員、そして有償通訳ガイドのボランティアが何名か登録していました。
協力して観光案内や旅館の予約や紹介などをしており、わたしもボランティアのひとりでした。
時給で自分を評価すると低い。でも、やっていることは海外からの観光客へのおもてなしであり、凄いことをやっていると思えると、さらに自分のことをいいな!と思いました。
時給や給与が安くても、わたしたちの価値が低いわけではない。
それまで外国人向けの観光マップはなくて、日本人向けのマップを使っていました。
さっそく、県に予算をつけてもらい、外国人向けのマップを作りました。
芋づる式にやりたいことが見つかり、時給を気にする暇もなく、脳裏に描いたことを実現することに楽しみを見いだしました。
今とは違い、県も快く予算をつけてくれた、古き良き時代でした。
宝田明さんを見て、遠い昔のことを思い出しました。