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隔離

夜中に大きめの地震がありました。わたしのところは震度3程度。猫のマールが反応していました。

九州が震度5強ということです。被害が少ないことを願っています。

今日の句は、隔離ということですが、仕事をしながら感じたことを詠んでみました。


冬の虫受話器の声を手繰り寄せ

(ふゆのむし じゅわきのこえを たぐりよせ)

季語は「冬の虫」です。

秋美しい声で鳴いていたこおろぎなども寒くなってくると、短く弱々しく、縁の下などで鳴いています。

絶えゆく前の声は、憐れを誘うという意味だそうです。

冬って、それだけでも寂しいもんです。ましてや感染して、ひとりで療養となると、寂しさは倍増です。

「電話で話しています」と言われる療養者が多くいますが、なんとなく、電話の向こうの受話器の声を、手繰り寄せているように思われます。

でも、きっとこの句だけでは伝わりませんと突っ込みが入りそうです。

最初の句は、「冬に病む受話器の声を手繰り寄せ」でした。やはりこちらが分かりやすいかしら。


感染禍学ぶ生徒に春の風

(かんせんか まなぶせいとに はるのかぜ)

季語は「春の風」です。

たとえ世界がパンデミックであろうと、若者たちが学ぶ姿には勇気付けられます。

本当は、春告鳥である鶯を詠みたかったのですが、字余りのためこんな句になりました。

感染禍であっても、生徒は常に未来を向いて学んでいます。何でもいいから味方に付けて奮闘して欲しいです。

頑張る彼らに、心地よい春の風が早く吹いて欲しいです。


感染すひとり春待つ十日間

(かんせんす ひとりまつはる とおかかん)

季語は、「春待つ」です。

今は家庭内感染が増えているようで、家族が総出で療養しています。でも、たまに一人で療養ホテルに来る子もいれば、両親がともに入所して、一人で自宅にいる子もいます。

感染しても、濃厚接触者でも、待つ十日間は長いもんです。


差し入れの蕗の佃煮春近し

(さしいれの ふきのつくだに はるちかし)

季語は「蕗の薹」ですが、「春近し」もそうですね。

療養生活は弁当がメインになります。食べるものがあるだけ上等!と言いますが、流石に毎食の弁当は辛いもんです。

季節を感じる差し入れは、五臓六腑に沁みることでしょう。

もう少しでバレンタインですが、あまりにも入所者が多くてチロルチョコも買えません。


寒燈下隔離期間を確認す

(かんとうか かくりきかんを かくにんす)

季語は「寒燈下」です。

感染が判明した人は、退所の日を待ちわびています。ホテルの薄暗いライトの下で、その日を確認する様子を詠みました。

ホテルなので暖房もありますが、そこは無視です。心が寒いとライトも寒く感じそう。


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手作りの手帳カバーです。革ですが、どうも布製に見えます。

note仲間に教えてもらい、下書きなしでウニウニと描きました。

この線の歪みは旨味か、それとも雑味か。