今日も靴作り
新規陽性者もずいぶんと減ってきて、気持ちよく山に行くことができた。
このまま仕事を辞めて、好きなことだけして暮らすのもいいかも、と思っちゃうほどだ。
でも、しんどい時があるから余計に楽しさが際立つというもんだし、毎日が日曜日という日々を送った経験もあるけれど、やっぱり、人間は働いている方が人間らしい。
働くって、どこかに就職して、給料を貰うというだけじゃなく、目的や目標に向かって、自分の時間を有意義に使うことだ。
わたしは庭の草引きが好きだが、誰も給料を払ってくれる訳ではないけれど、生活の場を心地よくしたいし、そのための作業が働くということだろう。
亡くなった祖母は「お仕事」と言いながら、毎日、父が用意した折り紙を折っていた。
折り紙を折ったって生産性がないし、無意味と言われそうだが、折り紙を折るには手先も頭も使わないといけないから認知症の予防になるし、寝てばっかりではなく座って過ごすので、重力に逆らうことで多少は体力もつくだろうし、何より、祖母が楽しそうにやっていた。
人間関係が煩わしくなると、祖母みたいに「お仕事」をして1日を過ごすのもいいなと思ってしまう。
そんな暮らしの予行練習ではないが、朝早くから起き出して、山へ向かった。
冬に履く予定のブーツ作りの続きだ。
今日は、バラバラのパーツを組み合わせて、ブーツらしい形にしていった。2足目ということで余裕のつもりが、意外に覚えていないから悲しい。
「あ~、そうやった」
師匠に説明してもらって、やっているうちに思い出すのだが、こうも完璧に忘れるなんて「認知症の始まり?」
自分の脳神経がカスカスになった気がして、若ぶっても体は正直やなあとタメ息が出た。
ただ、70歳をとうに過ぎた女性が、「説明は1つずつにしてくださいね」と師匠に頼んでいた。わたしは2つはいっぺんに指示受けが出来る、と心のなかでガッツポーズした。
板状のものを踵の形に成形し、薄く削る。 この板状のものを内側と外側の革の間に挟み込むことで、踵が頑丈になって、後ろの人に蹴られても平気だし、後ろから見ても綺麗な靴の形が作られる。
靴の木型に合わせて、革が弛まないように、ワニグチでグイグイ引っ張っていく。やっとブーツらしくなってきた。
ここで、残り時間が1時間を切った。そこで来年の手帳カバーを作ることにした。
綺麗な赤色を選択。
今は強烈な赤だが、紫外線の影響もあるし、手垢で薄汚れるし、数年後にはいい味わいになっているだろう。