mar-マール猫エッセイ(14)猫のお留守番
こんにちは、猫のマールです。
ハルさんの父上さんが入院したことで、ハルさんは忙しくなりました。看護師のお仕事をして、帰り道で父上さんの病院に寄ってボケないように刺激を与えて、父上さんの汚れたパジャマを持って帰って洗濯して、あたしの世話して、回覧板を回して、庭や畑の手入れして、隙間時間に研修会や委員会の資料作りとかをしていました。
ただ、完璧を目指さない!てのがハルさん流らしくて、「まあ、ええんちゃう」と自分に声をかけてるのを聞きました。
看護師なのにそんなんでええかい?と思ったもんですが、まだ子猫だったあたし、まあ、仕事なんて、そんなもんでええんちゃう~とかまってもらうことに必死でした。
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父上さんは大腿骨の頚部骨折でした。確か、ハルさんの祖母さんも転けて、同じところを骨折したと聞きました。人間って、年取ると転けやすくなるし、転けたら骨が折れる脆い生きものみたいです。
猫はどうなんやろう。
祖母さんの足が折れているのを見つけたのもハルさんでした。ちょうど母上さんが入院をして、父上さんと二人で認知症の祖母さんの介護していた頃のことです。
あの当時、ハルさんはオペ室の勤務でした。よくは分からないけれど、なんかカッコいい響きです。
認知症の祖母さんを自分の病院に入院させ、ボケたことを言う祖母さんが安心して手術が出来るように、ハルさんも手術に参加したと聞きました。
外回りという業務についたハルさん、ボケた祖母さんの手を握ったり、話しかけたりしていたそうです。
でも、今回の父上さん、ハルさんのいる病院とは違うので、手術のあいだも待つしかありません。自分で手出しができないことや、「待て」が苦手なのに苛立ってないかなあ。
糖尿病やら心臓の病気やら、厄介なリスクをたくさん抱えた父上さん、大丈夫かなあ。
看護の仕事と父上さんの世話の両立を選んだハルさんだけど、自分がいないときの事故に責任を感じてないといいな。手術なるものが成功して、元の暮らしに戻れるといいな。
母上さんが病に倒れたときみたいに、親戚のおばさんどもにハルさんが責められたりすることがないといいな。
たくさんのお願いごとをしながら、ひとりでお家で待つあたしでした。
大丈夫!そう思いながらも心配で、心配で、山盛りのカリカリ餌はいっこうに減りませんでした。
ハルさん、早く帰ってこないかな。
to be continued