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餅穂

いかん!

運転していても、目に入ってくるもの全てが俳句の題材に見えてきます(笑)。

看板とか標語を見ても、俳句に使える言葉はないかいな?と探してしまいます。

飽きるまでは飽きないので、飽きるまでは、俳人(廃人?)になるまでは、俳句を続けたいものです。


ひとり居の寂しくなりぬ餅穂かな

季語は「餅穂」です。大阪の児童養護施設で働き始めて、正月の餅穂(餅花)を始めて作りました。施設では、昔からの習わしや四季折々の行事を大切にしていて、わたし自身、いろんな経験をさせてもらいました。

この句は、父が亡くなり、ひとりになった今では、餅穂を作っても、ひとりで食べるのは寂しくて、ついつい餅穂が固くなりすぎる、という妄想を詠んでみました。

餅穂なんて作りませんし、ひとりの部屋に、華やかな餅穂がぶら下がっているのは、余計哀愁が漂いそうです。


具少なしひとりの雑煮三回忌
具は和芹ひとりの雑煮三回忌

季語は「雑煮」です。父が亡くなり三回忌。ひとりで食べる雑煮は、作るにも力が入らなくて、具材も少ない。そんな句です。

「具少なし」の句は、具材を具体的に書かないことで、読み手が自分の家の雑煮を思い浮かべるかな、と思いました。

ところが、上五ではなく上四と指摘がありました。ドキリ。

具は一つひとりの雑煮三回忌

そこで、具材はちゃっかり一つにしました。ただ、ものぐさなわたしは、父がいた頃も、雑煮の具は(正月のため高値の)蒲鉾と和芹、シンプルでした。

それに、雑煮を食べるのは来月ですね。


亡き父の髪とおぼしき白寒し

季語は「寒し」です。父が使っていた部屋の本棚に、白い髪の毛があると思ったら、どうやら父の白髪のようだった。

心が懐かしくもあり、寂しくもあり、という心情を詠んでみました。伝わるかな~。

と、ここで俳句の先輩から赤ペン✏️が入りました。「おぼしき」が説明的で「白」もやや違和感を感じるようです。

ここはやはり「白髪」というご意見でした。白髪が「亡き」父なのかは想像に任せて、「寒夜」に亡き父を想う寂しい気持ちを託してはどうかと。ふむふむ。

もしかしたら、わたしとか、親戚の叔母らの白髪かもしれませんし、断定しているように聞こえますが、ファイナルアンサー(笑)。

本棚に父の白髪寒夜かな

季語は「寒夜」です。

どうも、来年の一月は父の三回忌と思うと、ちょっと心侘しき句となりました。


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ちょっとセンチメンタルになってきました。なので、最近、知った「チルい」で一句詠みたいと思います。

わたしは知りませんでしたが、「チルい」を知っている方は、情報通で、感性が若くて、柔軟性があるということでしょうか。

辞書を編む人たちの、今年の新語大賞に選ばれたそうです。

チルいとは、「リラックスした様子」「落ち着いて気分がよい」などの意味らしいです。もともとは音楽分野の「チルアウト(chill-out)」から来ているそうです。

使われ始めたのは、 2010年代後半らしく、「最高にチルい時間」「チルい雰囲気」など音楽以外での用法が徐々に広まってきた、とありますが、看護の世界では誰も使っていませんでしたね。

とはいえ、わたしは緩和ケアにいましたし、まさか終末期の方に、「今日はチルっていて何よりです」とは言えません(使い方は合ってますか?)。


干蒲団中に潜りてチルアウト

季語は「干蒲団」です。

子どもの頃、母が瓦屋根の上に蒲団を干していましたが、昼になると蒲団の中がぬくぬくしています。

そこに潜り込んで、お昼寝タイム。チルってました(笑)。