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第14話:RTA 界の「勇者」たち

 最近E-Sports とかいって一部の「格闘ゲーマー」や「FPS」プレイヤーがもてはやされていますが、 今日はそんな「流行り」のゲームには見向きもしない、「レトロゲーム」を心から愛するRTA プレイヤーのお話です。

 皆さんはRTA って知っていますか?たぶん知らない人が多いと思うので説明します。 RTA とは、一言でいえば「どれだけ早くゲームをクリアできるか?」を競う競技です。そして競われているゲームは「昔人気のあったゲーム」であることが多いようです。 気が向いた時でいいので「You Tube」で昔自分が好きだったゲームと「RTA」で検索してみてください。 そこには「人智を超えた」恐ろしいテクニックを持つ「猛者」どもが、 日々修行僧のようにゲームをやりこみ1秒を争って競いあっている世界があります。 今日はそんな「人外」としかいいようのない「スーパープレイヤー」が集う「RTA界」の「ドラクエ3」についてのお話。


 「ドラクエ3」。たぶん聞いたことがないという人はいないでしょうが、一応説明します。 「ドラクエ3」はスクエア・エニックス(当時はエニックス)が出したファミコンソフトで、当時380 万本を売り上げたRPG ゲーム
です。 これだけ人気のあったソフトですので、当然「RTA」もおこなわれています。

 そんなドラクエ3、2020 年にある「バグ技」が発見されます。 その「バグ技」は、とある手順を踏むと「キャラクター」のレベルやアイテムが「ランダム」に生成されるというものです。具体的なやり方は、

① 王様の元に行きセーブし「リセットボタンを押しながら電源を切ってください」という画面が出るまで待つ
②①の画面が出たら、電源をOFF した後、すばやく電源を再度入れる③バグった画面で起動されるので、A ボタンを押す
④文字化けした状態でゲームが始まるので、再度セーブする
⑤その後リセットボタンを2 回押して、スタートする

 という手順なんですが、もうこんな「バグ技」を見つける時点で「一般人」お断りの世界ってのがわかると思いますw。 ここからは当然の帰着というべきか、なんというべきか、「ドラクエ3のRTA 界」の住人は、この
「バグ技」でできるキャラクターの「レベル」や「アイテム」の「ランダム性」の解析を始めてしまいます。

 そして半年の年月をかけて、かれらはこのバグ技を決める要因を見つけ出してしまったのです。つまり、

・発売されたカセットの時期や型番が関係する
・ファミコンの種類(旧ファミコン、新ファミコン、ツインファミコン、互換機等)が関係する
・ファミコンの型番が関係する
・バグ発生時の電圧や周波数が関係する
・バグを起こすときのファミコンの温度が関係する 等々、、、

 これがわかったら、あとは調査するだけです。ドラクエ3 のRTA プレイヤーは、 とあるショップの「中古ファミコン価格が暴騰するくらい」日本中のファミコンを買いあさり、 世界中のファミコン互換機を買いまくり、
「再現性がひどくて売れなかった」互換機をアマゾンで売り切れにし、 380 万本売れた「ドラクエ3」の中古カセットが「とあるショップ」から消えるほど「買い占めた」のです。 はっきりいって「狂気の沙汰」です。

 そして、そんな彼らが「執念」で捜しだした究極のハードが「FC tech+」という互換機。 「音はバグる」、「プレイできないソフトは多い」、「すぐ壊れる」等の問題だらけのこのハードがベストだという結論に達したそう
です。 しかし、このドラクエ3狂騒曲ラプソディーは、まだまだ続くんです。

 時は2020 年末、RTA-Japan という大会にてDQ3 RTA 競技が行われた際に会場にて起こったあるエピソード(嘘みたいな話ですが、残念ながら事実です)が業界を震撼させます。

 その大会にて、ゲームクリアに有利なバグを起こすためにはファミコンの温度を管理する必要があると考えたとあるプレイヤーは、 会場に「ホットプレイト」を持ち込み、競技開始前に「ファミコン」を「ホットプレイト」で
熱しはじめたのです。

 しかし、猛者は彼だけではありません。 このバグ技は、人間が「文字」を読めるような状態に戻すために「いろいろ」な手続きがいるのですが、 その時間がムダだと考えたこの猛者は、すべての敵のパターンやメッセージを覚えて「バグって文字が見えない状態」でゲームをクリアしてしまうのです。 まさに「心眼」、剣の達人も逃げ出すレベルの話です。

 結局この大会は、20 分台という世界記録で「ホットプレイト氏」が優勝しているのですが、 すごいとは思うけども「うらやましい」と思わない不思議な感覚に襲われるエピソードですよね?

 ちなみにDQ3 のRTA世界記録、2021年には50秒になっていましたw いやはや、ほんと「日本人」はこだわらせると「怖い」ですね。

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