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今日のだいたい2時 8月下旬

8月21日(土)

牛乳を買いに出かけた父を追って息子が玄関へトコトコ駆けていく。
一緒に行きたかったと言うのでサンダルを履いて急いで追いかけるも、父の姿はすでになかった。坂を降りるとファミリーマート、登るとセブンイレブン。どちらに行ったかわからないので、そこらへんで遊んで待つことにした。細い路地を行き交う新聞配達と郵便屋さんのバイク、自転車に乗るおまわりさんの腕まくり、ひぐらしの声。そんな空気の中にいると、「もう夏休み終わっちゃうな」なんて思った。

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8月22日(日)

夏休みが終わった。
東京から北海道へ戻り、あかぬけない緑の大地をかみしめる。
やっぱりここも好きだなと。

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8月23日(月)

温泉街に住んでいる友人が「温泉旅行に行きたい」と言っていた。
つまりはここじゃないどこか、誰も自分のことを知らないところへ。わたしもそういう気持ちにしょっちゅうなるから、彼の言い分に心から頷いた。そうやって“ひとり”になる時間は、からまっていた人生の糸をゆるゆるほぐしてくれるんだよね。
と思いながら、「わたしたちも南の島とか行きたいんだ」と笑った。

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8月24日(火)

ごまのない生活を堪能している。
冷蔵庫の中は奥まで見えるほどスッキリしていて、チルド室にたっぷりあるのは昨年の手前味噌くらい。納豆を混ぜても、加える具すらない。とある視点から見たら、きっとひもじい。でも、ものが少なく所作も少ないことで心がカパ〜っと解放されて、「なんかものがないのに自由な感じだよ〜」とひとり笑った今日のごまなし納豆。

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8月25日(水)

知人の店でトーストを食べていると、息子にと知人がお手製プリンを出してくれた。一口もらうと、あっという間に舌の上でとろとろとけた。とびきりのおいしさ。りゅうまがトーストにジャムを塗っているのを真似たのか、息子もプリンをすくって食パンに塗る。観察力に脱帽。

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8月26日(木)

そういえば庭の一角に新しい車庫ができている。
これは義父が家にある古材やらを使って一人で建ててしまった。「ひみつの部屋もあるんだ」と言われ子ども心をフルフルさせながら探すと、まずはしごを見つけ、その登った先に小部屋なるものを発見した。幼い頃、興味のあるものを見てはドキドキし、ワクワクした。そういうものを義父は、誰にも何にも迎合せず、大事にしてきたんだろうな。

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8月27日(金)

義父の運転で和琴半島に向かっている。
長時間ドライブに付き合わされている息子は、窓の外に見える猫じゃらしのみずみずしい緑色や稲穂の黄金色に目を輝かせ、何度も外に出たがる。そんな彼のリクエストに応えてとある駐車スペースで休憩していると、すぐ横の山肌に階段を見つけた。登っていくと、鳥居があった。さらに行くとまた鳥居がひとつ。その奥に、シンプルで厳かな雰囲気の神社があった。その辺りはカタクリの群生地らしい。気持ちの良い休憩場所。息子よ、リクエストしてくれてありがとう。

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8月28日(土)

長いおでかけの帰り道、車の中で深く眠る息子を見ている。
小さい頃に家族と出かけたキャンプとか旅行の帰り道のことはほとんど記憶にない。ということは、わたしももれなく爆睡していたんだろう。

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8月29日(日)

庭にいる。
ふいに、人懐こそうなトンボが飛んできた。人差し指をまっすぐ伸ばして静かに待っていると、絵に描いたようにスッと止まった。うれしい。

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8月30日(月)

息子をねこに乗せて近所のスーパーへ。
今日はお米を買いたかったので、車で行きたかった。車好きの息子は、運転席に座って「ぶーんぶーん」とやるのが最近のブームなので、かーちゃんなんぞに運転席を譲ってくれないだろう。他にスーパーに行ける乗り物はないかと探すと、ふと、庭に置いてあるねこが目につく。息子に見せてみると、すんなり乗ってくれた。よかった、これでお米を買いに行ける。

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8月31日(水)

お気に入りなんだけど、ベルトをつけないと履けないズボンがある。
おしゃれで楽ちんで居心地良い服が好みになってきたから、もう手放そうかな……などぶつぶつ言っていると、「ぼくはゴムのないズボンから卒業しましたよ」と、夫りゅうまから衝撃の告白があった。

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