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今日のだいたい2時 10月上旬

10月1日(金)

夫が「ツナマヨを買いに行く」と言った。
まちがえたツナ缶だったと訂正していたけれど、わたしの頭の中ではすでにツナマヨ屋さんの妄想が膨らんでいた。そこは文字通りツナマヨを売っているお店で、100gから買える。ここのツナマヨを食べたらやみつき間違いなし。塩とコショウの加減が絶妙で、玉ねぎのみじん切りも入っている。食パンを持って行くとその場でとろっと塗ってくれて、お惣菜として買って帰る人の多くはだいたい300g注文する。そんなお店。

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10月2日(土)

ちょっと前までは必要だったんだけど今はいらなくなったものをものすごい勢いで捨てている。
本当に大事だったしなんなら今でも好きなものと、なんとなく未練があって決断を先延ばしにしていたものとが、ごみ袋の中にたっぷりと押し込まれている。胸が苦しい。「断捨離」と言うには随分とお粗末だ。そうしてたくさんの執着とさようならをしたら、藻とか虫とか葉っぱが浮かぶプールの水を抜いてピカピカに磨き上げたような気持ちになった。

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10月3日(日)

息子がソフトクリームを食べている。
よく冷えた銀の器にトロトロっとそびえるソフトクリーム。スプーンをたっぷりとさしこんですくいとり、あむッと頬張る。ソフトクリームを見つめながら食べながら、口のまわりを白いひげだらけにしながら、ずっとニコニコしている。本当に美味しいんだろうな。食べ終わった後、あきらかに「おかわり」をせがむ顔をされたときは笑った。

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10月4日(月)

コーヒー豆を挽こうと思ったら、マジカルが起きた。
我が家はミルのふたでコーヒー豆を計る。計った豆を本体に入れたらガーッとまわして、その間にお湯が沸くようにしておく。今日もその手順でミルのふたで豆を計り、本体に入れようとした。するとなんと、すでに豆が入っていました。

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10月5日(火)

右足のかかとだけ冷たいなと思って見ると、くつ下にまあるく穴が空いていた。

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10月6日(水)

家の外の道でボーッと過ごしている。
そこへ一台の車がそろりと近づいてきたかと思うと、運転席にいたのは会えば必ずと言っていいほど笑顔にさせてくれる知人だった。「元気かい?」という彼の声と表情だけでこちらの口元もガハハと大きくなり、お腹のあたりが温かくなる。そういう、身振りも心も分厚い人たちの存在がこの世の日常をやさしく見せてくれるんだと思う、今日の午後。

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10月7日(木)

町内の青山サイクルさんでバイクを見ている。
夫に「君好みのバイクがあるから見に行こう」と誘われ、見に来たそのバイクはバンバンと言うそうだ。大きめのシートに太くて小ぶりのタイヤ、オレンジ色のボディー。メンテナンスのしやすさとか燃費の良し悪しなんて全然知らないけど、そういう計算高いことを抜きにしないとロマンスは生まれない。本当に可愛らしい子だ。買う買わないは置いておいて。

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10月8日(金)

ビートルズの『イエスタデイ』を聴いている。

この曲を聴くと、物心ついた娘だったころのとある時期のことが走馬灯のように思い出される。あんまり乗り気でないのに通い続けたおかげで今弾けるからありがたかったなと思うピアノのレッスンの帰り、迎えに来てくれた母の車ではだいたいビートルズが流れていた。食べ盛りのわたしはよくモスバーガーのアップルパイを買ってもらい、助手席で食べた。母の思い切りのある運転と、とろっと甘くて温かいアップルパイのおいしさは、イエスタデイの思い出の一つ。

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10月9日(土)

数年ぶりに縦列駐車をした。
行きたい場所に対して車を停める場所がそこしかない、という状況だった。本当に車一台分のスキマしかなくて、(ちょっと歩くけど最寄りのホームセンターに停めてこようかな……)というアイディアが湧いてくる。しかし、この絶体絶命と言うにはおおげさな状況下は、わたしの運転魂に火をつけた。そうしてなんと一発で決めてしまった。ニヤニヤとほくほくが止まらない。

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10月10日(日)

友人の子らとUNOをしている。
そして(ア、わたし今そっち側にいないわ)と思った。そっちというのは子どもたちの側のことで、と言うとわたしのいるこっちは大人の側なのかというと、そういう感じではない。今目の前でカードゲームをしている彼らは、なんてキラキラして見えるんだろう。いろんなことを毎日感じて、傷ついたり悲しんだりすることもいっぱいあるはずなのに、それでも桁違いな命の勢いがあふれている。そういう目には見えない境界線みたいなものを感じてしまって、なんだか最近の自分がひどく上っ面で上手に生きてしまっているように思えた。それは手加減する理由にはなりませんでしたけど。

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