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今日のだいたい2時 9月上旬

9月1日(水)

夏の終わりを家族でしっぽり味わうべく、花火を買おうと思った。
スーパーの季節もの売り場に並んでいる花火の中から、息子の名前の一文字が入っている12本入りのものを見つけた。これはすてきと思い、「ねぇ、これよくない?」とりゅうまに見せると、「それは、ロケット花火だねぇ」と言われた。すっかり手持ち花火だと思っていた。あやうくお祭り騒ぎになるところだった。

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9月2日(木)

となりのとなり町のお菓子屋さんに来ている。
レジでお会計をして店員さんに領収書を書いてもらっていると、
「角波って、もしかして上富良野の……?」と、恐る恐る聞かれた。
「ええそうですが、もしかして……?」
察しの通り、その方は先々代が営んでいた駄菓子屋の常連さんだった。

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9月3日(金)

「うどん好きかーい?」と、道の反対側で井戸端会議中のご近所さんから声をかけられた。(うどんかぁ、うどんは好きだなぁ)と思い、「好きでーす」と返すと、うどんではなくブドウをいただいた。聞き間違え。

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9月4日(土)

ちょっと悲しく心にひっかかることがあった。
一度意識してしまうと、指に刺さった小さなトゲみたいに気になって仕方がなくなる。こういうときユーミンの『やさしさに包まれたなら』を思い出すと、ある程度落ち着いてくる。そうして今夜はビールをしこたま飲んでお菓子もたっぷり食べることにした。

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9月5日(日)

息子のアヒルボート初体験に付き添っている。
本当は夫と3人で乗りたかったけど、彼は今日に限って仕事場に缶詰なので仕方がない。何かを操縦することに興味津々の息子の素晴らしいハンドルさばきは、どうも右にばかり回ってしまう。「ひだりだよひだりアー岸にぶつかる!」と進行方向を示そうとするとピシャリと叱られる。「だまってオイラにやらせてみろ」と言わんばかり。

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9月6日(月)

汽車の中で空いている席を探している。
出先で息子の靴が壊滅的にびしょぬれになったので、はだしの彼を抱っこしていた。学生の下校時間と重なったようで空いている席はなく、どこか体重を預けられる窓際に行こうと思ったその時、パンパンッと肩を叩かれた。妙に親しみがこもっていたので知り合いかなと思い振り向くと、快活そうな女子高生が立っていた。「座りますー?」と言うと今まで彼女が友人と座っていた席をさっと空けてくれた。それがなんとも小気味よくて、「え、いいのー?」と、友だちに話すみたいに返事してしまった。

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9月7日(火)

さっき作ったばかりのカフェオレがカップごと消えてしまった。
ぽんと置いてしまいそうなところを探してもなく、お昼に食べたそばの器を洗っていると、食器の水切りの上にカフェオレを入れておいたカップがひっくり返して置いてあった。いつの間にか飲み干し、おまけにしっかり洗っていたみたい。

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9月8日(水)

りゅうまのつくったおかゆを食べている。
半熟のたまごと利尻昆布がごろん、刻んだネギと擦ったしょうがも入っている。肌寒かったので、お腹からぽかぽか温まる感じがなんとも嬉しかった。これはもう秋だ。ダウン一択になる前に薄手のおしゃれ上着とか着ておかないとなぁと思った。「からだ冷えてたね〜」と言いながらフーフーガツガツおかゆを食べるりゅうまを見ると、半袖である。言ってることとやってることが真逆じゃないか。彼曰く「台所に立ってたら暑くなってきたの」だそう。

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9月9日(木)

自転車につけるクラクションが2つ届いた。
パフパフと鳴るやつで、2つセットで1400円だったらしい。そのうちの一つはチャイルドシートが付いているファットバイクに取り付けられ、もう一つは息子の三輪車に取り付けられた。パフパフすると、安っぽくて軽い音がだだっ広い空と地面を伝い、そこいら中に響く。なんて可愛いんだろう。もっとごちゃごちゃとくっつけて、にぎやかにしたくなってきた。

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9月10日(金)

出先で気になる洋服を見つけ、試着室に入った。
さっきまで息子と林のようなところで遊んでいて、落ちている木の実や葉っぱを各々拾っていた。(オーバオールの胸ポケットに入っていることを忘れないように脱がなきゃ)ということは直前までしっかり覚えていた。しかし試着室に入り、気になる洋服をうっとり眺めている間にすっかり忘れてしまう。オーバオールから腕を抜いて胸ポケットがペロンと自由になった瞬間、ボロボロっと木の実が床にこばれ、2、3個カーテンの向こうまで転がってしまった。赤面。

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