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自信を持った、幸せな大人になるためにーー私たちが大切にしたい「発達外来」の姿

みなさん、こんにちは。
マーガレットこどもクリニックの須田と申します。

今回私がこちらのnoteで取り上げるのは、発達障害のお話です。

テレビで取り上げられたり、関連する本が続々と出版されるなど、年々人々の関心が高まっている「発達障害」

その特性や対処法が世の中に広まりつつある一方で、日頃の育児に難しさを感じている親御さんの中には「もしかしてうちの子も……?」と、調べるほどに悩みを深めている方もいらっしゃるかもしれません。

「マーガレットこどもクリニック」では、『親子の「つらい」にともに立ち向かう』というビジョンを掲げて診療を行っており、2020年2月より、発達外来の診療をスタートしました。

ここでは、お子さんの言葉や運動の発達の評価や、発達障害の診断、必要に応じて療育施設へつなぐなどの診療を行っています。

※療育:
発達の遅れや特性があるお子さんに対して、個々の状態に応じた支援や働きかけを行うこと


とはいえ、

「これって誰しも通る成長の過程?それともなにか診断がつくような特性?でもこんな悩みで受診していいのかな?」
「発達障害の診断がついたらどうしたらいいのだろう…」

と、なかなか受診へ踏み切れない方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は田中院長と、実際に診療にあたっている室伏先生に、発達外来の受診目安や、診療の目指す姿についてきいてみました。

いろいろな相談ができるクリニックを目指して

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<マーガレットこどもクリニック 田中純子院長>

ーマーガレットこどもクリニックの診療の特長はどんなところですか?

田中:患者さん一人を見るための時間を長く取り、症状の他になにかありますか、と聞くようにしています。すると、「実は夜泣きがひどくて困ってます」とか「離乳食を食べなくて困っています」といった日常の困りごとがポロポロと出てくるんですね。親御さんがそうしたささいなことを相談しやすい雰囲気づくりを心がけています。

ー育児相談がたっぷりできるんですね。

田中:はい、患者さんを対象に行ったアンケートでも、「色々な相談ができるというのが助かっています」という声を頂いています。

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<クリニックでは診察時間の他に30分の「子育て相談」の受付もおこなっています>

ーそんな中で、発達外来の診療がスタートしましたが、大きな病院ではなく、クリニックで受診できるというのは珍しいのではないでしょうか?

田中:国内ではそもそも児童精神科が少ないんです。それでも東京は豊富なほうですが、小児科に併設されていることはまれで、小児の発達外来専門クリニックか大きい病院かという選択肢しかなく、3か月から半年待ちのところもあります。私たちのクリニックで診療が可能になることで、少しでもそうした状況を改善する事ができればと思います。

発達外来の診察の内容は?受診の目安は?

ー発達外来の診察はどのような内容ですか?

田中:診察は小児神経疾患や発達障害が専門の室伏佑香先生が担当しています。受診される方には、まずはWEBで問診表の入力をお願いしています。
「生まれた週数」「頭囲」「胸囲」「歩きはじめ」「言葉を話し始めた時期」「どういう経緯で心配になったのか」など、たくさんの項目にお答えいただきます。受診前にあらかじめ聞いておくことで先生と親御さんとのやり取りの時間を増やし、診察の時間を濃くしたいというねらいがあります。

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<発達外来を担当している室伏佑香先生>

田中:診察では親御さんからお話を伺う時間、大きなお子さんの場合は親御さんと別で本人とやり取りする時間をとる場合もあります。他にも、特徴を知るために簡単なテストを受けてもらったりもしますね。


ー子どもに発達障害があるかも…と思っても、発達外来を受診をするには勇気が出ないなど、腰が重くなると聞きます。受診の目安や、受診を検討したほうがいい状態を教えて下さい。

田中:お子さんに発達障害があっても、親御さんも周りも困っていないケースもあります。その場合は受診しなくてよいですし、診断をつける必要はありません。でも、ちょっとのでこぼこでも、親御さんや周りの人が、お子さんとのやり取りや対処に困っていたり、お子さん自身が困っているなど。日常的に困りごとが多い場合は受診をお勧めします。

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ー困っているというのは例えばどんな状況が挙げられますか?

田中:わかりやすい例でいえば、
・言葉が出にくい
・集団行動ができない
・かんしゃくがひどくて親も怒ってしまう
・行動の制限ができなくてバッと外に飛び出ていってしまう
・激しい兄弟げんかが多い
・お友達とのやり取りでけんかになりがち

などですね。
周りに理解されずに孤立しているといった「困り感」が多いご家庭は、一度受診すると解決のきっかけが見つかると思います。

ー受診をして診断がつくことでどう変わるのでしょうか?

田中:診断をつけることによって大きく何かが変わる、というわけではありません。ですが、発達障害の特性や傾向は世の中に知られるようになってきているので、診断がつくことによって、親御さんや周りの人たちが子どもを理解しやすくなり、その子に合った対応ができるメリットはあります。
また、クリニックだけでは子どもの行動を変えることは難しいのですが、療育と繋がることでお子さんにプラスの影響があるほか、親御さんが療育的な関わり方を取り入れることによって周りの環境が整い、お子さんが安定していくんです。
受診をとおして、ちょっとでも子育てに前向きな気持ちになれて、親子の笑顔が増えたらいいなと思っています。


お子さんの自尊心を育て、自信を持った幸せな大人になることをお手伝いしたい

最後に、実際に診療にあたっている室伏佑香先生からのコメントです。

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『忙しい毎日の中でお子さんに向き合い、困難に共に戦っていらっしゃるご家族のお話を聞かせていただいて、本当に頭が下がる想いです。

いらいらしてしまう、しんどくて逃げ出したくなる、将来を不安に思ってしまうなど、お話いただくことがありますが、きっと私も同じような気持ちになるだろうなと思いながら、お話をお伺いしています。

お子さんのことを誰よりもよく知っていて、誰よりも想っていらっしゃるのはご家族であり、ご家族にはかないません。でも、外の人間だからこそ、客観的にちょっと視点を変えて見ることができたり、日々の困難さに埋もれてしまった強みが見えたり、その大変さにはこんな対応が合うかもしれないとご提案もできるのではないかと思っています。

お子さんがどんなふうに感じて苦しんでいるか、なぜそんな言動にいたるのか、それをご本人、ご家族と一緒に考える中で、お子さんの大変さとその頑張りを理解し、それに合わせた対策を考えていけたらいいなと思います。

診断は、園や学校、療育などお子さんを取り巻く周囲の方々の理解を得るために時に必要なこともあります。

ただ、同じ診断であっても、お子さんが感じていること、困っていること、特性、家庭や学校の環境は、一人一人違い、必要な対応もぴったりくる対処法もきっと異なるので、これらをゆっくり一緒に探っていきたいです。

最終的には、もしどこかに困難さがあっても、お子さんがこれらとうまく折り合いをつけて、自信を持った、幸せな大人になることが一番の目標だと思っています。

これには、困りごとに対する工夫や、達成感や自信を感じられるような関わり方や課題設定、安心を感じられる環境調整が大切だと思います。大事な大事な幼少期に関わり、自尊心を育てるお手伝いが少しでもできたら嬉しいです。

受診の動機は、みなさま異なっていて、診断をつけてほしい、こういった行動が障害にあたるのか知りたい、検査をしてほしい、対策が知りたい、将来が心配、とにかく大変でどうしたらいいのか分からない、など様々です。あまり気負わず、気になることがあれば、お気軽にご相談ください。』

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マーガレットこどもクリニックでは隔週土曜日の午前中に発達外来の予約を受付しています。
少しでも子育ての悩みや不安が和らいで、親子が笑顔でいられるお手伝いができれば幸いです。

マーガレットこどもクリニックの発達外来


実際に受診してみてどうだったのか?
発達外来を受診したAさんのインタビューはこちら!



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