第2回声ッセイ【秋】コタツ攻防戦
我が家は古い
軽く築45年は経っている
昭和50年代に建てられた家だ。
最近の高気密住宅には馴染みのない
「すきま風」も元気にひゅーひゅーしている。
古ぼけた物が好きな私は、この家が大好きなのだが、夏の暑さよりも、断然冬の寒さが堪える。
夜が明けて。
あー、起きなきゃ。お弁当にあさごはん。。あー。温まったお布団とずっと仲良ししていたいなぁ。なんて思いながら、後5分。。あ、54分?キリが悪いからちょうどまで、、なんて結局ドッタバッタの朝が増える頃
毎年我が家で繰り広げられる攻防戦がある
それがコタツ攻防戦だ
私もコタツは大好き
でも、動きたく無くなる
ダメ人間になっちゃう
なんかごちゃごちゃして散らかる
コタツにくつ下が片っぽ入ってるのが嫌だ
家族のコタツ出せ、の圧を感じながらも鮮やかに、スッパリとスルーする事、数日。
三男氏は
○○んちはもうコタツだしたって。
○○んちは暖かかったよ。
少年の純真無垢な真正面からの攻撃はなかなかのダメージだ。
よそはよそうちはうち!
寒いと思うから寒いんだよ!
乾布摩擦して来い!
めちゃくちゃな事を言う私。
いや、実際寒い。私も寒い。分かってる。窓の近くなんてヒューヒューだ。うちにはしゃれたペアガラスなんてない。それどころかすきま風オプションだ。タイルの床はキンキンに冷えてる。
今年はなかなか寒くならずに10月でも暖かい日が続いた。
急に気温が下がった10月半ば。
夕方、暗くなるのが早くなったなぁ。湿り気のある冷たい空気に追われるような気分で急ぎ足で家に帰った。
ただいまー!
リビングに入ったら
押し入れからひっぱりだした、毛布にくるまった夫氏が
ドロンとした目で「おかえりー」と迎えてくれた。
反対側には私が編んだ毛糸のひざ掛けを3枚くらい、ズラしながら体全体を覆うようにかけて爆睡している次男氏がいた。
うん。カオス。無言の圧に私は負けた。
次の日の朝
家族のみなさんが出払ってスグにコタツを出した。
ここ数年、コタツふとんは無印の羽毛のものを使っている。
軽くて暖かい。
去年洗っておいた布団とカバーを2時間ほどお日様にあててからセットした。
秋の日の、日なたのお日様をたっぷり浴びた羽毛布団は、フカフカのふわふわだ。
あたたかい。やだなにこれ幸せ。
私は何に対して意地を張り、あんなにコタツさんを拒んでいたのだろう。
コタツを作ったら、さっそくいそいそと毛糸を運びかぎ針を動かす。は〜幸せなお昼前。
最近はコタツのない家も多いけど、このすきま風の昭和の家にはやっぱりこたつが不可欠だ。
思えば、物心着いた時からコタツで冬を越してきた。
朝はなかったコタツが、学校から帰ってきて出現していた喜びたるや。
首までコタツにもぐる。
夕飯の支度のお醤油とゴボウの匂いがただよう。けんちん汁かな?筑前煮かな?
夕方のガンダムの再放送を見ながら
足が触った、触らないと、タチの悪い輩のケンカみたいな小競り合いを弟とする。
外が寒ければ寒いほど、家の中は暖かかった。
こたつ攻防戦に白旗を降った私だけど
次々に帰ってくる人達が、想像通りの喜びのリアクションでこたつに吸い込まれていく姿を見て満足だ。
どうだ!暖かいだろ!コタツの手柄を奪うようになぜかドヤ顔の私
コタツさんありがとう。
寒いほど暖かい。
毎年繰り返す秋の入口の私の思い出は、ほんのり暖かいコタツが真ん中にある
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