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稀人ハンター、誰の参考にもならない仕事術

誰か面白い人いない?という依頼をもらった時、僕は稀人ハンターを名乗っているので、既に広く知られている人は提案しない。時には、自信を持って、過去にほとんどメディア露出していない人を提案する。編集部からすれば、その人の仕事以外はほぼ情報がないわけだけど、それでもOKをくれるメディアがあるのはありがたい。

「既に広く知られている人の提案はしない」と言ったけど、稀人ハンターをしていると、ほぼ無名時代に取材させてもらった後、飛び抜けて有名になる人も少なくない。そういう時は「無名時代を知ってる」という希少性を活かし、あちこちで記事を書かせてもらったり、一緒にイベントに出たりする。ある意味、そういう種まきのような形で僕の仕事は成り立っている。

ちなみに、100億円超を調達してる某ベンチャーのCEOには、彼が二足の草鞋を履き、資金100万円もなかった時代に、自宅兼オフィスとして恵比寿のあるマンションを紹介したし、いま超売れっ子の写真家の人生最初の個展も、僕が恵比寿のギャラリー山小屋で企画した。ふたりには今も気軽に連絡できる。

ほかにもいろんな形で、稀人たちと関係を築いてきた。取材時に○○してみたい、○○を探してる的な話を聞けば、思い当たる稀人を紹介するということもよくある。美味しい牛乳を求めていた某職人さんと一緒に、稀人が経営する牧場にも行った。そこでふたりが意気投合した結果、面白い展開になった。

僕の記事がきっかけで、その職人さんは情熱大陸に出た。番組のラストは、僕が紹介した稀人の牧場を訪ね、談笑しているシーンだった。そのシーンを観ている僕は、最大限のドヤ顔をしていただろう。職人さんは後に世界大会でも活躍し、一気に売れっ子になったけど、先日「同志」と言われてグッときた。

僕には稀人になる才覚も根性もない。だから、彼らの追い風になりたい。取材対象とは距離を保つべきだという人もいるかもしれないけど、僕はむしろ縮めていきたい。物書きのカリスマ・沢木耕太郎さんは、懇意にするボクサーのためにプロモーターとして試合を企画した。その作品『一瞬の夏』は大好きな作品で、傑作だ。

僕もそうして稀人たちが羽ばたいていく姿を間近で見て、何度でもどや顔したい。その後、また取材をさせてもらうというループはほんと最高なんだよ。

そんな稀人ハンターの近著は「農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦」。10月18日の発売から2週間で重版出来、現在14000部!

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