2022シーズンJ2注目クラブの補強状況について(大宮・山形)
2021年の営業収益(事業規模)がJ2で最も高い大宮(国内13位・30億3400万円)とJ1クラブよりも高い山形(国内25位・16億7400万円)の2クラブについて、補強状況を見ていきたい。
大宮アルディージャ
2021シーズン16位(J2) 勝ち点42
ジェフ千葉との対戦成績:2敗
監督
岩瀬健→霜田正浩(2021シーズン中)
昨年の6月から大宮の監督に就任。過去にレノファ山口を率いて魅力的なサッカーと多くの個人昇格選手を育成した。就任後の成績は25試合7勝10分8敗。低迷したシーズンだったが上手く戦い方を整理して最終節でJ2残留を決め、今季は「強くて魅力的なチームを作っていきたい」と宣言した。オナイウ阿道や菊池流帆など、選手の個を光らせるのが非常に上手い印象で、その手腕は「霜田塾」と呼ばれる。
放出
22名もの選手を放出させ、チームが生まれ変わることになりそう。チーム得点王の黒川とアシスト王の馬渡は個人昇格。ただ、エースとWボランチが残っているので戦力面のマイナスはさほど大きくない。
・CB 河面旺成(19試合)
・CB 櫛引一紀(21試合)
・CB 山越康平(20試合)
・SB 翁長聖(28試合)
・SB 馬渡和彰(41試合)
・OH 黒川淳史(42試合)
・CF ハスキッチ(21試合)
加入
GKは昨夏にレンタルで獲得した南雄太を完全移籍で獲得。センターバックには西村慧祐が残留した上、新里亮・田代真一・茂木力也とJ2でも有力な選手を集めて問題なし。多くの選手が抜けたがセンターラインは昨季の形をキープ出来そうだ。
ただ、馬渡と翁長の両翼が抜けた両サイドバックはやや不安が残る。右サイドは山田将之・吉永昇偉と前述の茂木で埋めるイメージだが、左サイドバックがどうなるのかが気になるところ。
右サイドバックの候補に挙げた吉永・茂木も数試合なら経験があるが量的にやや物足りず、追加補強があってもおかしくない。23年加入内定の鈴木俊也の出番も多くなるかも知れない。
トップ下の黒川が抜けたが、J2屈指のアタッカーである泉澤仁を獲得したことでリカバーに成功。さらにレノファ時代の教え子である三幸秀稔や矢島慎也、武田英寿という司令塔タイプを補強。大宮には小島幹敏という配球役がいるが、パサータイプが非常に増えた印象。その一方で、奥抜侃志&柴山昌也というドリブラーが残留しており多彩な攻撃が見られそう。センターハーフは大橋尚志という汗かき役も獲得、前線にはレンタル先の北九州で7得点の富山貴光が復帰した。
補強総括
「変革」を掲げる2022年。22名の選手がチームを去ったが、それでも残った個々のタレントは素晴らしい。外国籍選手こそ抜けた状態だが全体の選手層は厚くなっており、特に中盤のテクニシャンタイプの豊富さはリーグ屈指に。
最大の補強は泉澤仁。J2レベルを超える彼がどれだけ稼働することが出来るかに注目したい。監督交代から調子を取り戻したクラブだが、キャンプから霜田監督が指揮を執ることでポジショナルプレーもよりチームに浸透していくだろう。
「2022シーズン、強くて魅力的なクラブになるために、大宮アルディージャは歴史的な変革へ踏み出す覚悟です」と公式声明を出したクラブがどのように変わっていくのか、楽しみにしたい。
モンテディオ山形
2021シーズン7位 勝ち点68
ジェフ千葉との対戦成績:1勝1分
監督
石丸清隆→クラモフスキー
人心掌握に長けるモチベーター。序盤戦は大きく出遅れたが監督交代から一気に上位浮上。日々のトレーニングから強度を高め、マリノス時代に指導を受けた山田康太が完全移籍を選ぶなど選手からの信頼が厚い。
放出
大宮の22名には及ばないが、それでも19名が退団。中原はチームアシスト王の活躍でセレッソ大阪に個人昇格。
・GK ビクトル(23試合)
・CB 熊本雄太(20試合)
・SH 中原輝(41試合)
・SH 樺山諒乃介(16試合)
・SH マルティノス(13試合)
・CF 林誠道(36試合)
・CF ヴィニシウス アラウージョ(37試合)
加入
ビクトルが抜けたGKには金沢の守護神である後藤雅明を獲得。藤嶋栄介とハイレベルなポジション争いに。守備ラインはレギュラーを全員残留させており、熊本雄太が個人昇格してバックアップが抜けた分は木村誠二が埋める形に。J2最高の右サイドバックである半田陸にはいつ海外からオファーがあってもおかしくはないが、先回りして川井歩を獲得している。これで半田にはセンターバックを任せることも出来るだろう。
やはり主力が残っているセンターハーフは小西雄大を獲得して厚みを増しており、ヴィニシウス アラウージョが抜けそうな最前線にも鈴木国友と藤本佳希を獲得してすでに厚みを増している。
【2022/01/21追記】
得点数リーグ5位のヴィニシウス アラウージョは退団が決定したが、新外国人ストライカーとしてポーランド1部所属のチアゴ・アウベス(25)を獲得。ワンタッチゴーラーのヴィニシウス アラウージョとはタイプが異なるが、スピードや高い技術を持ち味とした攻撃的なタレントということで起用法が注目される。
入れ替えが発生するのは両サイドハーフか。左サイドはレギュラーの加藤大樹が残ったものの樺山とマルティノスが抜けた。河合秀人を獲得しているが、個人的に注目しているのは東洋大学から加入する横山塁。両足が使えるドリブラーで攻撃的なセンスが高い。中原が抜けた右サイドにはレフティーの新垣貴之が有力か。
補強総括
大宮アルディージャと状況が似ていて、有力な監督が就任してチーム状況は上向き。チームの得点王(まだ未定だが)とアシスト王など多くの選手を放出したが、レギュラー陣はおおよそ残留しており補強も順調。外国籍枠もたっぷり残している。
注目はやはり10番を背負う山田康太。昨季は8得点6アシストだったが、かつて指導を受けたクラモフスキーがシーズン開始から指揮を執る今季は10得点10アシストを期待したい。また加藤大樹の存在もクラモフスキーのサッカーを体現する意味で外せないメンバーだ。
今オフの勝ち組とも呼ばれ、戦力は確実に増している。昨季はジェフが2戦とも勝てなかったチームだけに脅威であるが、それだけにやりがいを感じる。プレーオフでの借りがある、昇格を目指して切磋琢磨したいクラブだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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