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カイジ これがファイナルでよかったゲーム(「カイジ ファイナルゲーム」感想)

『カイジ ファイナルゲーム』の感想を書いてほしいと言われたので書きます。

映画『カイジ』シリーズの前2作はどちらも映画館で観た記憶があり、どちらも面白かったので『花束みたいな恋をした』とは違って自分との相性もいいのではないでしょうか。巷での評判は芳しくありませんが、いい感想が書けることが期待できますね。藤原竜也が主演で面白くないわけありませんもんね。

とりあえず予告編だけ見てみました。絶対面白いじゃんこんなの。スケールも金額も壮大になって、俳優陣も豪華、福本伸行が原作書いて、これがハズレなわけないです。安心して見られそうです。


では、観ます。


―2時間後―

見終わりました。ネタバレをふんだんに込めて感想をお送りします。最近の映画でもないのでネタバレを怒る人はもういないと思いますが、一応気を付けてください。あと、カイジ以外のキャラクター名をほとんど覚えていないので俳優の名前(敬称略)で呼びます。





ざっくりとした感想は、心にぽっかり空けられた穴がそのまま残るような映画でした。


『カイジ ファイナルゲーム』あらすじ

オリンピック後に大不況大インフレが起こってしまい労働者がおしまいになってしまった日本が舞台。その中でカイジが国家の陰謀を阻止するための勝負を3~4回するっていう話です。で、最後カイジが勝って国家の陰謀が阻止されます。


『花束みたいな恋をした』同様、先に良いところ・好きなところを述べてから、そのあとに良くないところ・嫌いなところを執念深く刻んでいきたいと思います。

良かったところ

役者が豪華

やっぱり藤原竜也はいいですね。福士蒼汰も振り切った演技だったし、吉田鋼太郎も人間性最悪でよかったです。ちょい役だけど松尾スズキも最高だったなあ。天海祐希も素晴らしいです。



……ということで、ここから悪口です。ごめんなさい、いいところが本当に見当たらなかったです。当然いい役者さんはいい役者さんでいてくれたんですけど、それ止まりでした。『花束~』は映画作品としてのクオリティは高かったのでそれなりに楽しんで観れましたが……

本編スタート。



導入雑すぎんか?

序盤で、国家の陰謀を阻止しようとする余命わずかの大金持ち(伊武雅刀)が、野心と運のある人を探すためにバベルの塔というイベントを開催するのですが、ほんと何このゲーム? ビルの上に建てられた太めの棒のてっぺんにあるアイテムをいち早く手に取ったものが"大金"or"重要な情報"を手に入れられる、って何それ? 百歩譲ってそのルールはいいとしてもまず参加者は準備しなさすぎだろ。ドローン用意したやつと別のビルの上から鉄骨渡りしたカイジはいいんだけど、他のやつやる気あんのか?

で、それを勝ち抜いて大金ではなく情報を手に入れたカイジは伊武雅刀の邸宅に呼ばれます。目の前の大金ではなく情報を選んだことは「野心がある」ことの証明らしいです。そこでヒロイン・関水渚と出会うんですけど、彼女が勝ち上がったゲームの内容は、アメリカ横断ウルトラクイズのバラマキクイズからクイズを引いたような完全運勝負のゲームでした。なおかつそのゲームでは情報しか選択肢がなかったようなので「野心どこいったんじゃおい!」となってしまいます。


その手段で本当に国の借金を解消できるのかい?

作中で福士蒼汰が「国民の資産をすべて凍結して国の借金の返済に回そう!(そして新貨幣を発行しよう!)」と政治家の重鎮の前で国家の大陰謀プレゼンをします。財政に詳しくないのでよくわかる人がいたら教えてほしいんですけど、そういうことできるんですか?? そもそも国債は国民の資産って聞いたことがあるんですけど……

そもそも福士蒼汰の作ったスライドが面白すぎます。でっかい字で「相殺」だけ書かれてるスライド用意するエリートなんなんだ。総裁の前でのプレゼンだからかい? ガハハハハハ!!


面白くない!!!!単純に面白くない!!!!

ごめんなさい、いろんなツッコミどころはまだまだたくさんあるんですけど、先にこの感想が出てきてしまいました。「最後の審判」で吉田鋼太郎が卑怯な手を使って伊武雅刀への支援を無力にしていくのは、誰の予想も裏切らないような展開で退屈キングになってしまいました。『ファーストラヴ』の回想シーンくらい退屈でした(延焼)。

そもそもなんなんですか?この人間秤のゲーム? 全然カイジに求めてる頭脳戦じゃないんですけど。政治力ゲームになってるじゃねえか。あとさ、これ観戦してるファンは何が面白くて盛り上がってんの? ギャンブルとして盛り上がるのはわかるけどさ、ギャンブル関係ないところでお前ら大盛り上がりしてんじゃん。お前らとは一人残らず友達になれそうにないよ。金持ちの演説聞いて大盛り上がりするなよ。


FAMILYは相手のFAMILYでもいいんかい

人間秤の支援者(3つのF)のうちのFAMILYって敵陣営にも支援できるって意味わかんなくない? 完全に他人じゃん。FAMILYじゃないじゃん。その場合なんのFになるの?フルパワー赤の他人のF?フェイクのF?よくわかりませんね。 


新田真剣佑って表情ない役しかしないな

すみません。これはもうただの悪口です。『十二人の死にたい子どもたち』でもそういう役だったので。新田真剣佑ってすごく精巧なサイボーグみたいですよね。あとめちゃくちゃ身体がごつい。ついでの悪口なんですけど、関水渚は普通に下手だったと思います。周りのレベルが高いからってのもあると思いますが。


伏線が下手すぎる

真剣佑が投げたコインも、謎の元・時計職人のおばさんも、伏線が過ぎる。「このくだりいるのか?」って思ったところは全部伏線…… いや、大体のくだりが余計な映画でした。ごめんなさい。突然「時計職人やってたけど……」ってなるの面白すぎるって。


自分でもグー出すわいな

そしてラストゲーム、限定じゃんけん紛いの「ゴールドジャンケン」。3回じゃんけんする中で、1回だけは手のひらサイズの金塊卵を握ったグーを出さなければいけないというルール。福士蒼汰は相手の筋肉の動きを見て金塊を持っているかどうかを判断するそうですが、もしムキムキのゴリゴリが相手だったら福士蒼汰は勝てないってことですか? 福士蒼汰は暴力がめちゃくちゃ嫌いなのに暴力装置みたいな人が来たら勝てないかもしれないの、皮肉すぎますね。

あとさ、チョキでも金塊持てるんじゃない? チョキがチョキたる所以って中指と薬指でしょ。親指薬指小指があればなんとか金塊卵モテるでしょ。福士蒼汰よ。成人男性の握力をなめるな。

あとさ、あとさ、金塊持ってなかったらチョキかパーを出すだろうって見通し甘すぎない?? 今までのカイジで最弱の相手でしょそんなん。金塊を持ってないってことは普通のじゃんけんをするんだから。普通のじゃんけんのルール知らないのかな。


なんで鹿島スタジアムにおるん?

ラストらへんの、カイジが福士蒼汰に種明かし&説教をするシーン、なんで大雨の鹿島スタジアムにいるんですか? こればっかりは粗いとか面白くないとかじゃなくて意味不明。これからサッカーでもするんですか? 「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」みたいに「1on1サッカー」ってアニメーションのカットインが入るんですか?


その他

まだまだツッコミどころはあるのですがうまくまとめきれなかったので箇条書きにしていきたいと思います。

・ドリームジャンプで「9」か「10」かわからないくだり、しょうもねえ~

・資産価値を判定する機械、裏になんでも鑑定団いないと成り立たないだろ

・いろんな説明セリフをカイジに任せすぎ 真剣佑にさせなよ

・人間秤の中間発表が「開示」って言われるの、普通にややこしい

・生瀬勝久必要だった??

・なんで時計の針に金貨が乗っかってるのよ??

・一枚の金貨であのデカい秤がそんなに傾くかね??

・「心理を突いた」場面、大体心理を突いてないな

・重心が変わってそんな露骨に振り子の周期は変わらないだろ

・吉田鋼太郎がカイジの首を絞める場面めちゃくちゃ安直で笑っちゃった




は~~~~言い足りねえ~~~~

言い足りないのですが心の穴がふさがらないのでちょっとギャンブルでもしてこようと思います。

あと、この映画を勧めてきた極悪人には損害賠償請求をしたいと思います。


以上です。ありがとうございました。

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