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青い空白い雲

何気ない日常は一期一会でできている。


とある日曜日の午後、自室の部屋からふと、窓の外を見たくなりレースのカーテンを開けた。

本当に何も考えずに、ほぼ無意識で起こした行動だった。

窓の外の世界に異変が起きていたわけでも何でもない。目に映った景色は見慣れた街並みに青い空と白い雲、ただそれだけだ。

しかし、そこにあった雲からは、今までに見たことのない美しさと「オーラ」のようなものを感じた。

過去にも見事に発達した積乱雲や、広大に広がる高積雲を見た際には「おぉ〜」と、しばらく見惚れることもあった。

その時見た雲はそのどちらでも無く、よく見る普通の形をした雲だった。そう、小学生の頃、夏休みの宿題で絵日記に登場する、虫取り網を片手に麦わら帽子をかぶった自分や太陽と一緒に書かれる、あの感じの「雲」。


一見、普通の雲なのだが、日の当たる時間のせいか、その日の空気の澄みぐあいか、なんとも美しい雲だった。

絵日記では、白一色で表現される雲だが、実際は全く違う。

雲の左側は太陽の光を受け白金のように輝いている。その輝きも雲の輪郭に沿って強く「キラーン」と輝いている箇所もあれば万遍に薄く塗られている箇所もある。

右半分はグレー。光り輝く白金色との境界線からその色は深さを増している。

それは一色や二色では表現できない見事なグラデーションとなってわたしの目を釘付けにした。


色だけではない。

わたしが釘付けにされたもう一つの特徴は「質感」だった。

ぎっしりと中身の詰まった感じが半端ない。まるでマシュマロの質感を持った綿菓子のようだった。

手で掴めば弾き返される、そんな弾力感がその雲にはあった。


しばらく見惚れた後、一旦レースを閉めて考えた。この素晴らしい情景を、私は言葉で表現する事ができるのか。

そう思い、後でも見返す事ができるように写真に収めようと、もう一度レースのカーテンを開けたのだが、そこには先ほどの感動を覚えた情景はもう無かった。

色も形も質感も先ほどとは全く違う、「いつもの」景色がそこにはあった。ものの数分の出来事だった。


色、艶、形に質感、全てがベストなタイミングに「たまたま」「偶然」「奇跡的に」立ち会えたのかもしれない。


この奇跡的な出会いは日常の至る所に転がっている。それに気付けるかは自分次第。

人との出会い、モノとの出会い、景色との出会い、全ての出会いを大切にしたいと思った。

何気ない日常は一期一会でできている。

有料記事について調べていて思いました。有料記事は書き手が作品に価値を見出している。他方、サポートは読み手が作品に価値を見出している。自分以外の人から認めてもらえる、そんな文章をこれからも。