Giraffe(2019)

 1984年生まれのデンマークの監督、アンナ・ソフィー・ハートマン(Anna Sophie Hartmann)による。ロカルノ映画祭出品作品。30代後半の民族学者がデンマークの小さな島で、取り壊しの決まったドイツとの間をつなぐトンネルを掘るために取り壊しの決まった古い家を巡ってフィールドワークする。地元住人と触れ合う一方、ポーランドからやってきた14歳年下の若い青年といっときの恋愛関係になる。

年上の女性学者と若い労働者の端正な恋愛劇で、それを掘り下げていくと土地の歴史とグローバリズムと、それに引き裂かれる小さな生活と、といったテーマが噴出する。問題設定は豊かだが、1シークエンス1ショットみたいな撮り方でモンタージュが綺麗な構図のフォトライブラリーみたいにのっぺらしていて、写真、特に工事現場や建築物、遺物写真のフェチなら楽しめるかといった感じの作品。映画というより短編の現代小説向きの題材に思えた。

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