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【同性愛】 ただ同じ色だっただけ

 このまま二人一緒にいても、ただ仲が良い二人。
どこまでも延長線上にいる。それなら結末がちゃんとある恋愛を歩んでほしい。
「結婚」というゴールテープを切って。


あなたと私 混ざれないのかな
偶然 色が同じなだけ
たったそれだけで バツが悪いの
知っちゃった

indigo la Endさん「名前は片想い」歌詞から一部引用


indigo la Endさん『名前は片想い』MVから



 法的な手続きをするのも、苗字が違うのも、戸籍上の関係も。どうして近づけないのだろう。私と一緒に道を開拓しながら歩んで行くよりも、すでに間口が広く開けられた大通りを大きな手を繋いで、私は掴もうとすら思わない無骨な手を掴んでいけばいい。

掴んだら折れそうな手首の先に伸びる細い指ではなくて、ガッチリとゴツゴツとした指を掴んで。

相手のことを想うってなんだろう。私が私らしく生きたいと願うのと同時に、あなたにもあなたらしく生きて欲しいと思う。じゃあ、一緒には歩めないのか。


曖昧な関係の名前は 片想い
賢くなった私って 誰

そうやって縛った
いつも通りのこと

私らしく生きるより
あなたらしく生きて欲しいから
バイバイ

indigo la Endさん「名前は片想い」歌詞から一部引用


そんなふうに相手の幸せを願って身を引くこと。正しいか間違っているかなんて分からない。でも「いま付き合ってる人がね、」と相手の写真をなんの躊躇もなく嬉しそうに私に見せてくる様子を見ていると、その気軽さが眩しく目が痛い。

貴女が楽しそうで、幸せそうなら、それでいいか。でも、もう会えない。私には友だちにすら戻れない感情がずっとあったから。そんな気持ちを抱いていた過去に対して、水槽に入れた絵の具のように罪悪感が揺らぐ。まったくそんな必要はないのに。


私には掴むことのできなかった手。色が同じなだけでこんなにも遠い。


いつも悲しいけど
明るく歌ったよ
わかって欲しいけど
わかって欲しくもない

indigo la Endさん「名前は片想い」歌詞から一部引用


仕事の会議で話題に出る「LGBT」の言葉。まだ知られていないQ(クエスチョン)と+(プラス)の存在。流行りをそのまま追うことなく、すでに知った気でいる人たち。サステナブルでLGBTフレンドリーでダイバーシティな企画。言葉だけが資料の上をただ滑っていく。まさに、ここにいるのに。まるで該当人物がこの場には存在していないかのように不躾な言葉たちが飛んでいく。「最近は男だか女だか分からない人が多いでしょう?」視線がチラリと私に集まる。

どんなため息も見逃さないと
社会の空気が言い出した
正しさの矛先
たまに痛いよ ah

indigo la Endさん「名前は片想い」歌詞から一部引用


たまに思う。自分がもし同性愛者じゃなくて「普通」の恋愛をする人だったら、どんな人生だったのだろうと。自然な出会いの機会はもっと増えて、社会に溢れている話題作の物語や歌詞に共感することができたのかもしれない。小説も映画も歌詞もこんなにも探さなければ見つけられない。圧倒的に数が少ない。マイノリティのなかのマイノリティ。


でも、私が今までに抱いた気持ちも、深く考えて見つけ出してきた答えも、どれも見つからなかった出会わなかったと考えたら、どれもこれも貴重なものばかり。貴重な経験貴重な情報、貴重な人生。だから私はもう、私に生まれたことを疑問に思うことには終止符を打つ。後ろ向きではなくて、前を向いていく。


問題ない関係で悩んだりしないから
賢くなったつもりにならないで
そうやって縛ってしまって片想い
生きていくためのリアル
あなたはあなたらしく生きたの? 今日も

indigo la Endさん「名前は片想い」歌詞から一部引用


賢くなった私は、それはもはや私ではない。そんな私を生き抜く必要なんてないはず。誰も望んでない。私があの子の幸せを願ったように、私は私を愛してくれる人のために、私の幸せを願う。そうやって幸せが繋がっていくことを信じている。


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