サクラ…失うことの恐怖
唐突だがぼくは桜が苦手だ。
この季節になると…あぁまた桜の季節が来てしまったと思う。
何故、桜が苦手かって?
正直、自分でもわからなかった。
でもさすがにいい年して分からないけど苦手なんです…という訳にもいかず向き合ってみたり離れてみたりを繰り返していた。
そもそものきっかけは写真だ。撮りはじめて2年は春を迎えると気合を入れて準備して桜ポートレートを狙った。
ところが毎年やっと桜が咲くと同時にまるで嫌がらせのように悪天候が続き雨だけでなく強風も吹く。やっと満開になったばかりのサクラは無残にも吹き飛ばされる。
…吹き飛びはしないが、正に今年もそうだ。
ご存じの通り桜(ここではソメイヨシノ)の淡いサクラ色は曇天や雨だと色が埋もれてしまいコントラストを出しにくい。
そして満足のいく撮れ高を得られずじまい。
3年目以降はもう本当に苦手で通勤路にある大きな桜の木も開花が近くなると意識的に見ないように避けた。
ギャラリーからは桜を一切なくした。
そんなぼくが昨年から縁があり桜ポートレートを再開した。天気にも恵まれた。
そして今年も早速、撮っている。
でも相変わらず苦手であることは変わらない。
そしてその正体は…”失うことの恐怖”なんだと思い至った。
心の奥底では桜が好きで好きで仕方ないのに、その愛しい物を別れを惜しむ間もなく失う怖さから来ているんだと。
…出会い、別れる季節。
期待や寂しさがない交ぜになって混沌とする。
そんな想いを全て桜の淡い花びらのせいにしたいんだろうな。
今週末もまた苦手と向き合う。
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