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体験エッセー:マッサージ・セラピー

そもそもマッサージとは何なのだろう。そしてセラピストの役割は?そんな疑問を抱きながら、初めての全身マッサージを受けた。初めての体験なので正直なところ不安もあったし、本当に成果があるのかという半信半疑の気持ちもあったが、マッサージ師は体の筋肉をほぐし、痛みを取り除き、歪みを矯正してくれ、終わったら心身ともにリラックスできると言う漠然としたイメージしかなかった。

以前、友達に誘われて試した中国式フットマッサージは終わった後は筋肉がほぐされた記憶はあるが、それは(マッサージされている時の)痛みから解放される安堵感から得られる類いのものだったように思う。今思うと、それは「痛い」を経験するから、そこから逃れたことによって生まれる開放感だったかもしれない。

今回お願いしたのは、お任せの90分コース。まず、腰痛持ちということで、ソファにクッションをいくつも敷いて、心地よい環境を作ってくれ、毛布を用意してくれた。そして、簡単なフォームに個人情報や健康の基本情報を記入するのだが、わからないところは先生が説明してくれるのでスムーズに終了する。

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セッションは足湯から始まった。湯加減を確認しながら、お湯に足を浸け、程よくマッサージしてもらい、爪まで丁寧に切ってくれる上、溜まった爪の垢も取り除いてくれ、普段手が届きにくいところが、すっきりして、それだけでも気分が良くなる。酷使している、それも他人の足なのに、自分のことのように労わりながらケアしてくれ、仕事とは言え、その献身的な姿勢に感心してしまった。素直に心が「ありがとう」を連呼する。

セッション中は、耳に優しい音量でうっすらとヒーリング音楽が流れ、その旋律と共に、時間がダンスするかのように緩やかに流れていく。施される全身マッサージは体の細胞ひとつ1つを優しく包み込むようで、からだをほぐしてくれる先生の手からは「お疲れ様」というようなメッセージが伝わってくるかのようだった。あとで話を聞いてわかったことだが、先生はマッサージの間、僕のからだと会話をしているらしく、僕に話しかけているわけではないそうだ。ただ話をしている間も、最初は仰向け、そして、うつ伏せに体の向きを変えながらも、両腕、両脚、胸、お腹と全身の筋肉をくまなくほぐしてくれので、体はどんどんリラックスしていった。

極め付けは、一番最後に体験した背中のホットストーンマッサージ。すべすべした自然の熱石が、心地よく、満ち潮と引き潮のように背中を流れていく。背中は自分が見えない、手が届かない体のパーツだ。だから体験したことがない感覚の存在を発見できたし、自然界で得られる爽快感や開放感に似たものを感じることができた。それが表現しがたい「癒し」与えてくれ、さらに眠っていた感覚が呼び起こされるような刺激も促してくれた。

終わると、まるで、生まれたばかりの赤ん坊のような感じになってました。指を少しずつ動かすことが、これから人生の第一歩を踏み出すかのように、新鮮に感じられ、解放された肉体と瞑想状態の心は完全にリフレッシュ。


こうして初めての全身マッサージとセラピー・セッションが終了したが、言葉で表現するなら、心のヒーリング、からだのリラクゼーションと言ったところだろうか。今回の体験は明らかに新しい世界を見せてくれた。からだのケアの大切さ、そして、健康なからだがもたらす可能性を十分に感じさせるものだった。

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からだと心は非常に密な関係を作っており、心は、魂、記憶、五感、脳などに枝を伸ばしている。人間のからだの構造や仕組みは、医学的に解明されていることもたくさんあるが、心という目に見えない人間の核なるものは、セラピーによって癒されたり、浄化効果を生み出すことを知った。

これまでは、感動を与えてくれる芸術や音楽、気持ち良い自然環境に身をおくことで得られる爽快感、そして心温まる人との繋がりから「癒し」を得ていたように思う。しかし、実は癒しは、それだけではなく、自分のからだと対話することで生まれるものもあることを知った。

しばらくは、今日の体験を思い出しながら、体と対話していこうと思う。

マッサージセラピー情報
Where Healing Happens
インスタグラム @yumi.massage.therapy
地域:ニューヨーク市クイーンズ区アストリア

2021年10月25日
文:河野洋





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